はじめに
Googleは2026年7月28日、Gemini API上で動作する「Managed Agents」の機能拡張を発表しました。既定モデルが「Gemini 3.6 Flash」になったほか、ツール呼び出しを検査できる環境フックや予算制御などが加わっています。本稿では発表内容をもとに、各機能の仕組みを解説します。
参考記事
- タイトル: Gemini API Managed Agents: 3.6 Flash, hooks, and more
- 著者: Philipp Schmid, Mariano Cocirio
- 発行元: Google (blog.google)
- 発行日: 2026年07月28日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/technology/developers-tools/expanding-managed-agents-gemini-api-3-6-flash-hooks/
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要点
- Gemini API内の「Managed Agents」において、エージェント
antigravity-preview-05-2026の既定モデルがGemini 3.6 Flashになり、コード変更なしで性能が向上する。 - 開発者が自身のスクリプトをツール呼び出しの前後に実行できる「環境フック」機能が追加され、危険な操作の遮断やコード整形の自動化が可能になった。
- Managed Agentsが無料利用枠のプロジェクトでも利用可能になり、
max_total_tokensによるトークン予算の上限設定にも対応した。 - cronスケジュールに基づく定期実行トリガーと、サンドボックス環境を管理する「Environments API」が新設された。
詳細解説
Gemini 3.6 Flashが既定モデルに
Gemini Interactions API上でエージェントantigravity-preview-05-2026を呼び出すと、これまでの世代に代わって既定でGemini 3.6 Flashが使われるようになりました。コード側の変更は不要で、次回のインタラクションから自動的に切り替わります。Googleによれば、agent_config.modelにモデル名を渡すことで明示的な指定も可能で、低コスト用途にはGemini 3.5 Flash-Liteを選べるとされています。
Gemini 3.6 Flashは2026年7月22日に発表されたばかりのモデル群のひとつで、効率化モデルとサイバーセキュリティ専用モデルが同時に公開されています。発表から1週間ほどでエージェント基盤の既定モデルに採用された形であり、Googleがモデル更新とエージェント機能の改善を並行して進めていることがうかがえます。
npm install @google/genaiimport { GoogleGenAI } from "@google/genai";
const client = new GoogleGenAI({});
const interaction = await client.interactions.create({
agent: "antigravity-preview-05-2026",
input: "package.json内の依存関係を監査し、古いパッケージを更新した上でnpm testでビルドを確認してください。",
environment: "remote",
agent_config: {
type: "antigravity",
model: "gemini-3.5-flash-lite",
},
});
console.log(interaction.output_text);
このコード例は、リモートのサンドボックス環境でエージェントに依存関係の監査とビルド確認を任せる最小構成です。agent_config.modelでGemini 3.5 Flash-Liteを明示的に指定しており、コストや速度を優先したい場合に有効な指定方法だと考えられます。
環境フック:ツール呼び出しを検査・制御する仕組み
今回追加された環境フックは、エージェントがサンドボックス内でツールを呼び出す前後に、開発者自身のスクリプトを実行できる機能です。環境に.agents/hooks.jsonを配置すると、pre_tool_executionやpost_tool_executionのイベントに応じてランタイムがハンドラーを実行します。
{
"security-gate": {
"pre_tool_execution": [
{
"matcher": "code_execution|write_file",
"hooks": [
{
"type": "command",
"command": "python3 /.agents/hooks-scripts/gate.py",
"timeout": 10
}
]
}
]
},
"auto-format": {
"post_tool_execution": [
{
"matcher": "*",
"hooks": [
{
"type": "command",
"command": "python3 /.agents/hooks-scripts/auto_lint.py",
"timeout": 15
}
]
}
]
}
}
matcherには正規表現が使え、|で複数のツールをまとめて指定したり、*ですべてのツール呼び出しを対象にしたりできます。この設定例では、security-gateグループがcode_executionまたはwrite_fileの実行前にgate.pyを走らせ、スクリプトが{"decision": "deny", "reason": "..."}を返した場合はツール呼び出し自体がスキップされ、拒否理由がモデルのコンテキストに渡される仕組みです。またauto-formatグループは、あらゆるツール呼び出しの後にコード整形スクリプトを実行するよう設定されています。フックにはhttpタイプのハンドラーも用意されており、外部エンドポイントへ直接POSTすることも可能だとされています。
Googleによれば、AI主導の投資銀行Offdealはこのpost_tool_executionフックを使い、リモートサンドボックス内で画像検証を自動実行しているといいます。同社は資料に掲載する企業ロゴについて、正しい企業のものか、透過背景か、白背景での視認性は十分かといった品質チェックが必要でしたが、これまではリモートサンドボックスに検証コードを置く手段がありませんでした。フックの導入により、エージェントが企業リストを書き出した瞬間にパイプラインが起動し、ロゴ候補の取得からGemini visionによる検証、承認済みファイルの一覧作成までをサンドボックス内で完結できるようになったとのことです。この事例は、フックが単なるログ記録にとどまらず、実運用の品質保証プロセスに組み込める機能であることを示していると考えられます。
コスト管理と自動化まわりの拡張
Managed Agentsは無料利用枠のプロジェクトでも利用できるようになりました。課金設定のないプロジェクトのAPIキーでも、エージェントの動作を試すことができます。
自律的な多ターンループで動作するエージェントは、複雑なタスクほどトークン消費が膨らみやすいという課題があります。この対策として、agent_config内にmax_total_tokensを渡すことで、入力・出力・思考トークンを合算した消費量の上限を設定できるようになりました。上限に達すると処理は安全に一時停止し、レスポンスのステータスが"incomplete"になります。環境の状態は保持されるため、previous_interaction_idを新たな予算とともに渡せば、続きから再開できるとされています。
const interaction = await client.interactions.create({
agent: "antigravity-preview-05-2026",
input: "このリポジトリ内のすべてのモジュールを監査し、移行レポートを生成してください。",
agent_config: {
type: "antigravity",
max_total_tokens: 10000,
},
environment: "remote",
});
このコードは、max_total_tokensを1万トークンに設定してリポジトリ監査タスクを実行する例です。長時間の自律実行タスクを本番運用する際、想定外のトークン消費を防ぐ安全弁として機能すると考えられます。
さらに、スケジュールトリガーを使えば、エージェント・環境・プロンプト・cronスケジュールを1つの永続リソースとして紐づけ、手動操作なしで定期実行できます。各実行では同じサンドボックスが再利用されるため、ファイルは実行をまたいで保持される仕組みです。加えて新設されたEnvironments APIにより、サンドボックスセッションの一覧取得・確認・削除がコードから行えるようになりました。接続が切れた際に環境IDを復元したり、7日間のTTLを待たずにパイプライン終了時点でサンドボックスを片付けたりする用途に使えるとされています。
これらの機能は、7月8日の発表でバックグラウンド実行とリモートMCPサーバー連携が追加されたことの延長線上にあり、Managed Agentsを「コストを制御しながら定常的に稼働させられるワーカー」として実運用に近づける方向の拡張だと言えます。
まとめ
Gemini API上のManaged Agentsは、Gemini 3.6 Flashの既定採用に加え、環境フックによるツール呼び出しの検査、無料枠対応、トークン予算管理、スケジュール実行、Environments APIといった機能が一挙に追加されました。エージェントを外部オーケストレーションなしで安全に運用したい開発者にとって、注目したいアップデートだと思います。
タイトル候補
- [開発者向け] Gemini APIのManaged Agentsが「Gemini 3.6 Flash」標準化——環境フックや予算制御など新機能を追加
- [開発者向け] ツール呼び出しを検査・制御できる「環境フック」とは——Gemini APIのManaged Agents拡張を読む
- [開発者向け] Gemini APIのエージェント基盤はどこまで実運用に近づいたか——3.6 Flash標準化と予算管理機能
URL用英語タイトル
- gemini-api-managed-agents-3-6-flash-hooks
- gemini-managed-agents-environment-hooks-budget
- gemini-api-agents-scheduled-triggers-environments-api
アイキャッチ画像プロンプト
- フラットイラストで、中央に歯車とチェックマークのアイコンを組み合わせたロボット型エージェントのシルエットを配置し、周囲に小さなコードブロックのアイコンを散りばめた抽象的な構図。テキストは「Gemini」「Agent」の2語のみを英語で表示。フラットイラスト、抽象的なグラフィックスタイル、写真風は使わない。
- フラットイラストで、サンドボックスを表す四角い枠の中に歯車とロック(鍵)アイコンを配置し、枠の前後に矢印アイコンでフロー(pre/post)を示す抽象的なインフォグラフィック風構図。テキストは「Hooks」の1語のみ英語で表示。フラットイラスト、抽象的なグラフィックスタイル、写真風は使わない。
- フラットイラストで、時計・カレンダー・予算メーターのアイコンを幾何学的に配置し、クラウド型のサンドボックスアイコンと組み合わせた抽象的なベクターイラスト。テキストは「Budget」「Trigger」の2語のみ英語で表示。フラットイラスト、抽象的なグラフィックスタイル、写真風は使わない。
X投稿文
【ブログ更新:Gemini APIのManaged Agents拡張】
既定モデルがGemini 3.6 Flashに。ツール呼び出しを検査する環境フックや予算上限設定、スケジュール実行も追加されました。
※詳細はこちら:https://jobirun.com/gemini-api-managed-agents-3-6-flash-hooks
#GeminiAPI #AIエージェント
【ブログ更新:Gemini APIに「環境フック」登場】
サンドボックス内のツール呼び出しを検査・遮断できる新機能。投資銀行での画像検証事例も紹介されています。
※詳細はこちら:https://jobirun.com/gemini-api-managed-agents-3-6-flash-hooks
#環境フック #AIエージェント
【ブログ更新:Managed Agentsが無料枠にも対応】
トークン予算管理やcronトリガー、Environments APIも追加。エージェント運用の実務的な課題に応える更新です。
※詳細はこちら:https://jobirun.com/gemini-api-managed-agents-3-6-flash-hooks
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