はじめに
xAIが2026年5月15日に発表した統合により、GrokサブスクリプションをNous Research製のオープンソース自己改善エージェント「Hermes Agent」内で直接利用できるようになりました。本稿では、Hermes Agentの概要と、GrokをOAuth認証で接続してTUIモードで起動するまでの手順を解説します。
参考記事
- タイトル: Connect Grok to Hermes Agent
- 著者: –
- 発行元: xAI
- 発行日: 2026年5月15日
- URL: https://x.ai/news/grok-hermes
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要点
- Grokサブスクリプションを保有するユーザーは、Nous ResearchのオープンソースエージェントHermes AgentでGrokをOAuth認証経由で利用できる
- 統合によりHermes Agent内で、Grok 4.3によるテキスト・推論、Grok TTSによる音声応答、Grok Imagineによる画像・動画生成が使用可能になる
- Hermes Agentはセッションをまたいで長期記憶を蓄積・更新する自己改善型エージェントであり、PC・VPS・サンドボックスなどで常時動作する
- WhatsApp・Discord・Telegram・Signalなど主要メッセージングサービスへの接続をサポートしており、既存チャットツールからエージェントに指示を送ることも可能である
- インストールはLinux・macOS・WSL2・Android(Termux)でcurlワンコマンドにより完了し、全Grokサブスクリプションティアで利用できる
詳細解説
Hermes Agentとは
Hermes AgentはNous Researchが開発・公開するオープンソースのパーソナルエージェントです。Nous Researchは大規模言語モデルの研究を手がけるAIスタートアップで、HermesシリーズのモデルをHugging Faceで継続的に公開してきたことでも知られています。
Hermes Agentの設計上の特徴は大きく2点あります。1点目は 永続動作(persistent) で、PC・VPS(Virtual Private Server:仮想プライベートサーバー)・サンドボックスなどで常時稼働し続けます。通常のチャットアシスタントは会話終了とともにコンテキストが消えますが、Hermes Agentはセッションをまたいで長期記憶を蓄積・更新します。2点目は 自己改善(self-improving) の設計で、利用するほど学習が進み応答品質が向上する仕組みになっています。
また、WhatsApp・Discord・Telegram・Signalといった主要メッセージングサービスにプロバイダーとして接続できるため、日常的に使うチャットアプリから直接エージェントへ指示を送ることも可能です。
Grok統合で使えるようになる機能
今回の統合により、Hermes Agent内でGrokの以下3機能が利用できます。
Grok 4.3(テキスト・高度推論) テキスト会話と高度な推論タスクに対応するxAIの最新モデルです。複雑な問い合わせや多段階の論理推論を、エージェントのコンテキスト管理と組み合わせて活用できます。
Grok Text-to-Speech(音声レスポンス) エージェントの返答を音声で受け取れる機能です。xAIは4月にGrok音声APIを公開しており、Hermes Agentでもその技術が活用されています。
Grok Imagine(画像・動画生成) エージェントが画像や動画を生成できる機能です。Grok Imagineには高リアリズム画像生成モードも含まれており、Hermes Agent上からこれらの生成能力を呼び出せるようになります。
接続はGrok OAuth(SuperGrok Subscription)を通じたブラウザ認証で完結します。xAIの発表によれば、全Grokサブスクリプションティアで利用可能とのことです。
セットアップ手順
以下の手順で、Hermes AgentをインストールしてGrokと接続できます。参考記事のサンプルコマンドをもとにしています。
前提条件
- OS: Linux・macOS・WSL2(Windows Subsystem for Linux)・Android(Termux)のいずれか
- 有効なGrokサブスクリプション(全ティア対応)
- curl が利用可能なこと(ほぼすべての環境にプリインストール済み)
- インターネット接続
バージョン確認コマンド(curlの存在確認):
curl --version手順1: Hermes Agentのインストール
curlでGitHubのインストールスクリプトをダウンロードし、そのままbashに渡して実行します。
# GitHubのインストールスクリプトをダウンロードして即時実行します
# -f: HTTPエラー時に即座に失敗させる
# -s: 進捗バーを非表示にする(サイレントモード)
# -S: -s 使用時でもエラーは表示する
# -L: リダイレクトがあった場合は追従する
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash注意: | bash形式のインストールはスクリプトの内容をその場で確認できません。信頼できるソースのスクリプトかどうか、実行前にURLをブラウザで開いて内容を確認することをお勧めします。
手順2: モデル(プロバイダー)の選択
インストール完了後、次のコマンドでモデル選択メニューを起動します。
# 利用するAIモデル・プロバイダーを対話的に選択するメニューを開きます
hermes model表示される選択肢から 「xAI Grok OAuth (SuperGrok Subscription)」 を選択してください。ブラウザが自動で起動し、xAIアカウントへのサインインが求められます。
手順3: TUIモードで起動
認証完了後、以下のコマンドでTUI(Text User Interface:テキストユーザーインターフェース)モードでエージェントを起動します。
# TUI(ターミナル上で動作する対話型インターフェース)モードでHermes Agentを起動します
hermes --tuiTUIとはターミナル(コマンドライン)上で動作するインタラクティブな画面のことです。起動後はチャット形式でGrokを搭載したHermes Agentとやりとりできます。
詳細なドキュメントはxAI Grok OAuth接続に関するNous Research公式ドキュメントを参照してください(https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/guides/xai-grok-oauth)。
xAIのオープンソース戦略との文脈
今回の統合は、xAIが外部エコシステムとの連携を積極的に進めていることを示しています。これまでにも、Grok Voice Think Fast 1.0をStarlinkの顧客サポートに実装するといった自社内での応用が進んでいましたが、今後はNous ResearchのようなOSSコミュニティとの連携も増えていくと考えられます。エンドユーザーにとっては、既存のGrokサブスクリプションが単なるチャット画面を超えた活用方法を持つ可能性が広がっていると言えます。
まとめ
xAIとNous Researchの連携により、Grokの各機能をオープンソースの自己改善エージェントHermes Agent上で活用できるようになりました。長期記憶・メッセージング連携・マルチモーダル対応を備えたエージェントをcurlワンコマンドで試せる点は興味深いと思います。パーソナルエージェントをさらに活用したい方は、AIエージェントをライフインフラとして育てる方法を解説した記事もあわせてご参照いただければと思います。
