[ビジネスマン向け]非エンジニアでもツールは作れる——GitHub法務チームがCopilot CLIで築いた2つの現場改善

目次

はじめに

 GitHubは2026年8月4日、同社ブログで法務チームによる「GitHub Copilot CLI」活用事例を公開しました。エンジニアではない弁護士やプログラムマネージャーが、コードを書かずに契約書ドラフトやDMCA(デジタルミレニアム著作権法)審査を支える独自ツールを構築した過程を紹介しています。

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要点

  • GitHubのプロダクト担当法務であるNgandu Kasuku氏は、Copilot CLIを使って契約書ドラフト支援ツール「terms-ai」を開発した
  • オンライン安全法務担当のJesse Geraci氏は、DMCA通知の一次審査を目的とした自然言語ベースのワークフローを構築し、後にデスクトップアプリへと発展させた
  • 両ツールとも、プログラミングコードではなく平易な言葉で書かれた指示書・テンプレート・ポリシー文書によって動作が定義されている
  • terms-aiの導入により、契約書のレビューおよびドラフト作業の時間はおおむね半減したという
  • Geraci氏のアプリは契約レビュー、NDA審査、リスク評価、コンプライアンスチェックなど複数の法務ワークフローに対応している

詳細解説

「作れない」から「作った」への転換

 GitHubの法務チームは弁護士やプログラムマネージャーで構成され、エンジニアではありません。契約審査や過去の見解の再利用など、同じような作業の繰り返しが多いことが課題でした。記事によれば、チームはCopilot CLIに自然言語で要望を伝え、社内リポジトリと接続することで、短期間で実際の変化を生み出したとされています。

 この分野では、非エンジニアが自らツールを作る動きが業界で広がりつつあり、社内向けの業務自動化ツールを個人が構築する事例は今後も増えていくと考えられます。

契約書ドラフト支援ツール「terms-ai」の仕組み

 Kasuku氏は商業契約を数多く担当する中で、案件ごとに一から検討し直す非効率さに悩んでいました。そこで作成したのが「terms-ai」です。プロジェクトの骨格をリポジトリ上に構築し、指示書やドラフト資料、ワークフローを一元管理することで、結果の一貫性が高まり、プロンプト集を都度コピー&ペーストする手間が減ったと述べています。

 主要な機能の一つが、平易な英語表現を重視した社内ドラフトスタイルガイドです。過去に完成させた契約書のライブラリも組み込まれており、新しい契約の際に過去の類似案件を参照できる仕組みになっています。これらの機密情報はオープンソース化されたツール本体とは別に、アクセス制御された内部環境で管理されているとのことです。terms-aiの導入によって、Kasuku氏はレビューとドラフトの時間をおおむね半分に減らせたと報告しています。

DMCA審査ワークフローから法務デスクトップアプリへ

 Geraci氏はDMCA通知に含まれるソースコードを迅速かつ正確に分析する必要があり、当初はDMCA一次審査・コード比較・ライセンス確認などの定型作業向けにCopilot向けの指示書を作成しました。中核部分はワークフロー指示書、ポリシー参照資料、レポートのひな型といった平易な文章で構成されており、コードを書く代わりに、弁護士としての文章構成力を仕組み作りに活かした形です。

 この取り組みはその後、クライアント向けと弁護士向けで分析モードを分けたり、外部データソースと連携したりする形に発展し、最終的には契約レビューやNDA審査、リスク評価、コンプライアンスチェックなどを担う専用デスクトップアプリへと成長しました。アプリの裏側では複数の役割に分かれた処理が動いているとされますが、記事では、技術的な複雑さよりも、法務チームが読みやすいMarkdownで挙動を管理できる点が重要だと位置づけられています。

「コード」の定義が広がるという視点

 従来、社内ツールの構築にはソフトウェア開発の専門知識が前提とされてきましたが、この事例集ではその前提が緩やかに崩れつつあることが示されています。方法論や判断基準、出力形式を明確に言葉で定義できれば、Copilot CLIのようなツールがそれを動く仕組みへ変換してくれると考えられます。ただし、記事内でもGeraci氏が述べているとおり、あくまで人間の法務判断を支える意思決定支援の仕組みであり、専門的な判断そのものを置き換えるものではないと言えます。

まとめ

 GitHubの事例は、エンジニアではない法務担当者がCopilot CLIを使い、契約ドラフトやDMCA審査といった定型業務を支えるツールを自ら構築した過程を紹介するものでした。Copilot CLIの活用については、GitHub幹部による40件の自動化事例でも近い視点が示されており、あわせて読むと理解が深まると思います。

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