[AIツール利用者向け]ローカルで動くAIエージェント「Personal Computer」をPerplexityが発表——セキュリティを重視した新たな選択肢

目次

はじめに

 Perplexityは2026年3月11日、サンフランシスコで初の開発者向けカンファレンス「Ask」を開催し、ローカル動作型のAIエージェント「Personal Computer」を発表しました。オープンソースのAIエージェントとして注目を集めるOpenClawより安全な設計を訴求しており、クラウド型エージェントの機能拡張とあわせて同社のエージェント戦略が明確になってきました。

参考記事

要点

  • Perplexityは初の開発者向けカンファレンス「Ask」で、専用端末上でローカル動作するAIエージェント「Personal Computer」を発表した
  • Personal ComputerはOpenClawより安全な設計を訴求しており、すべての操作にユーザー確認を必要とし、操作履歴の監査ログも内蔵している
  • 初期はMacのみ対応で、最上位プラン「Perplexity Max」加入者が優先アクセスを得られ、ウェイトリスト経由で提供開始となる
  • クラウド型エージェント「Perplexity Computer」はエンタープライズ向けにセキュリティ制御・コンプライアンス機能・シングルサインオンを追加し、モバイルからの利用も可能になった
  • 同社CEOのアラヴィンド・スリニヴァス氏は「従来のOSは命令を受け取るが、AIのOSは目標を受け取る」と述べ、AIエージェントの位置づけを示した

詳細解説

「Personal Computer」とは何か

 Perplexityが発表した「Personal Computer」は、Mac miniなどの専用デバイス上でローカル動作するAIエージェントです。クラウドにデータを送らず、端末内のファイルやアプリケーションに直接アクセスしながらタスクを実行できる点が特徴です。

 AIエージェントとは、ユーザーが指示した目標を達成するために、複数の操作を自律的に組み合わせて実行するソフトウェアのことです。単に質問に答えるだけでなく、ファイル操作やアプリ起動、情報収集といった一連の作業を連続して処理できます。ローカル動作型の場合、処理がすべて手元の端末内で完結するため、情報が外部に送信されないという点でプライバシーへの配慮がしやすいと考えられます。

OpenClawとの違いとセキュリティへの訴求

 Axiosの報道によれば、Perplexityは「Personal Computer」をOpenClawより安全な設計だと位置づけています。具体的には、すべての操作にユーザー確認を求める仕組みと、操作履歴を記録する監査ログ(オーディットトレイル)機能が内蔵されています。

 OpenClawは2026年初頭に急速に注目を集めたオープンソースのローカルAIエージェントです。GitHubで20万件以上のスターを獲得するなど開発者コミュニティに広がりましたが、セキュリティ面での課題も指摘されてきました。公開インターネット上に設定ミスで露出したインスタンスが多数確認されており、セキュリティ研究者からは技術的知識のないユーザーが安易に導入することへの警告も出ていました。Perplexityはこうした背景を意識し、確認ステップと操作ログを組み込んだより管理しやすい設計を打ち出したと言えます。

対象ユーザーと提供形態

 Axiosの報道では、「Personal Computer」の優先アクセスはPerplexityの最上位プラン「Perplexity Max」加入者に与えられ、ウェイトリスト経由での提供開始となるとされています。初期対応はMacのみで、Windowsへの対応時期は現時点では明らかにされていません。

 Perplexityは自社では大規模言語モデルを開発していない企業です。OpenAIやAnthropicといったモデル開発企業と同じ月額費用を支払う理由を顧客に示す必要があり、使いやすさやセキュリティへの配慮による差別化が戦略上の重点になっていると思われます。

クラウド型エージェント「Perplexity Computer」の機能拡張

 Axiosによれば、数週間前に発表済みのクラウド型エージェント「Perplexity Computer」についても今回のカンファレンスで機能拡張が発表されました。エンタープライズ版にはセキュリティ制御機能・コンプライアンス機能・シングルサインオン(SSO)が追加されています。また、これまでPCやMacからのみ利用可能だったエージェントが、スマートフォンからも操作できるようになりました。

 これにより、Perplexityはローカル動作型の「Personal Computer」とクラウド動作型の「Perplexity Computer」という2つのエージェントを組み合わせた体制を整えたことになります。個人ユーザーのプライバシー重視ニーズにはローカル型が、企業の統合管理ニーズにはクラウド型のエンタープライズ版が対応する形の設計と言えます。

AIエージェント時代のOSという視点

 カンファレンスでCEOのアラヴィンド・スリニヴァス氏は「従来のOSは命令を受け取るが、AIのOSは目標を受け取る」と述べました。これはAIエージェントがユーザーの意図(目標)を受け取り、そこに至るまでの具体的な操作を自律的に選択・実行するという考え方を示しています。単なるソフトウェアツールとしてではなく、コンピュータの動作基盤そのものを再定義する存在として位置づけようとする意図が感じられます。

まとめ

 Perplexityは初の開発者向けカンファレンスで、ローカル動作型の「Personal Computer」と強化されたクラウド型の「Perplexity Computer」という2つのAIエージェントを軸とした戦略を示しました。特にセキュリティ面での工夫は、OpenClawが抱える課題を意識した設計と言えます。実際の使い勝手や普及の広がりについては、ウェイトリストを経た提供開始後の反応が注目されます。

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