はじめに
Googleは2026年3月10日、Google WorkspaceのGemini機能を大幅に強化すると発表しました。Gemini in Sheetsはスプレッドシート操作の公開ベンチマーク「SpreadsheetBench」で70.48%の成功率を記録し、人間のエキスパートに迫る水準に達しています。本稿では、Docs・Sheets・Slides・Driveに追加された新機能を解説します。
参考記事
- タイトル: Gemini in Google Sheets just achieved state-of-the-art performance.
- 著者: Eric Birnbaum(Group Product Manager, Google Sheets)
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年3月10日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/products/workspace/gemini-google-sheets-state-of-the-art/
- タイトル: New ways to create faster with Gemini in Docs, Sheets, Slides and Drive
- 著者: Yulie Kwon Kim(VP, Product, Google Workspace)
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年3月10日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/products/workspace/gemini-workspace-updates-march-2026/
要点
- Gemini in SheetsはSpreadsheetBenchの全データセットで70.48%の成功率を達成し、競合モデルを上回り人間のエキスパートに迫る水準に達した
- Gemini in Docsでは自分のファイルやメールを参照した文書の初稿を即座に生成でき、文体・書式の統一機能も追加された
- Gemini in Sheetsはプロンプト1つでスプレッドシート全体を構築でき、「Fill with Gemini」でリアルタイムのウェブ情報をテーブルに自動入力できる
- Gemini in Slidesは既存デッキのテーマに合わせた新スライドを生成でき、プレゼンテーション全体の自動生成機能も近日提供予定である
- Google Driveに「AI Overview」と「Ask Gemini in Drive」が追加され、ファイル・メール・カレンダーをまたいだ質問応答が可能になった
詳細解説
SpreadsheetBenchで最高水準の性能を記録
Googleによれば、Gemini in Sheetsは公開ベンチマーク「SpreadsheetBench」の全データセットで70.48%の成功率を達成しました。SpreadsheetBenchは、実際のビジネスシナリオでスプレッドシートを編集する能力を評価するための標準的な指標であり、データ整形や数式操作、セルの条件処理といった現実的なタスクをどの程度こなせるかを測定します。Googleはこの結果が競合モデルを上回り、人間のエキスパートの水準に近いと説明しています。
70.48%という成功率は、完全な自律処理には至っていないものの、日常的なスプレッドシート業務の補助ツールとして実用的な水準に近づいていると考えられます。特にルーティン的なデータ整理や集計作業での活用が見込まれます。
Gemini in Docs——ファイルとメールを活用した文書生成
Gemini in Docsでは、サイドパネルまたは新設されたボトムバーにプロンプトを入力するだけで、自分のファイルやメールの情報を参照した文書の初稿を即座に生成できるようになりました。たとえば「1月のHOA会議の議事録と今後のイベントリストをもとに近隣住民向けのニュースレターを作成して」と指示するだけで、関連情報を引き込んだカスタム初稿が生成されます。
さらに「Match writing style」機能では文書全体の文体・語調を統一でき、「Match doc format」機能では参照ドキュメントの書式を自動適用できます。たとえば気に入った旅程テンプレートがあれば、受信メールに含まれるフライト情報やホテルの詳細をもとに、Geminiが自動で旅程表を作成します。情報を手動でコピー&ペーストする手間が大幅に減らせると考えられます。
Gemini in Sheets——プロンプト1つでスプレッドシートを構築
Gemini in Sheetsはプロンプト1つでスプレッドシート全体を構築する機能を提供します。「シカゴへの引越しを整理したい。部屋別の荷造りチェックリスト、光熱費の連絡先リスト、受信ボックスの引越し業者見積もりを追跡するスプレッドシートを作成して」といった指示を入力するだけで、必要な情報を取り込んだプロジェクト全体を自動設定できます。
また新機能「Fill with Gemini」では、列ヘッダーを設定してドラッグするだけで、Google検索のリアルタイム情報をもとにデータを自動入力できます。Googleが実施した95人参加の調査では、100セルのタスクにおいて手動入力と比較した場合の時間短縮が確認されています。たとえば大学出願トラッカーを作成する際、各大学の出願期限や学費などをウェブで手動調査することなく、Geminiが一括入力することが可能です。
Gemini in Slides——デザインを担うAIコラボレーター
Gemini in Slidesでは、既存のデッキのテーマ・配色に合わせた新しいスライドを生成したり、「このスライドを他のスライドの色合いに合わせて」「もっとミニマルにして」といった自然言語での編集が可能になりました。生成されるスライドはすべて完全編集可能であり、AIが生成したレイアウトを出発点として自分でカスタマイズできます。
さらに「東京旅行の5スライドデッキを作成して」のような1つのプロンプトから、関連情報を引き込んだプレゼンテーション全体を自動生成する機能も近日提供予定とのことです。構成・デザイン・内容の初期生成をGeminiが担うことで、ゼロからの資料作成にかかる時間を短縮できると考えられます。
Ask Gemini in Drive——ファイルをまたいだ質問応答
Google Driveでは、Geminiを活用した2つの新機能が追加されました。Drive内でキーワード検索を行うと、上部に「AI Overview」として関連ファイルの情報を出典付きでまとめたサマリーが表示されます。ファイルを開かずに概要を確認できるため、情報収集の効率が上がると思います。
また「Ask Gemini in Drive」では、複数のドキュメント、メール、カレンダー、ウェブをまたいで複雑な質問を投げかけることができます。税務関連ファイルを選択して「今年の確定申告の前に税理士に確認すべきことは?」と問えば、自分の実際のデータをもとにした詳細な回答が得られます。バラバラに保存された情報を横断的に活用できる点は、業務上の意思決定を支援するうえで有用な機能と考えられます。
対象サブスクリプションと提供範囲
これらの新機能は本日よりベータ版として順次提供が開始され、まずGoogle AI UltraおよびProサブスクライバーが対象となります。Docs・Sheets・Slidesは英語で全世界で利用可能、Driveは現時点で米国のみの提供です。今後さらに多言語・多地域への対応が予定されています。日本語での利用可能時期は現時点では明示されていないため、今後のアップデートを注視する必要があります。
まとめ
Googleは2026年3月10日、Gemini in Sheetsがベンチマーク「SpreadsheetBench」で70.48%の成功率を達成したと発表するとともに、Docs・Sheets・Slides・Driveにわたる新機能を公開しました。自分のファイルやメール、ウェブ情報を組み合わせて文書・スプレッドシート・スライドを自動生成する機能が揃い、Google Workspaceの活用範囲はさらに広がりそうです。
