はじめに
Googleは2026年3月25日、リードジェン広告に特化した動画シリーズ「Ads Decoded」のエピソード5を公開しました。リードジェン領域の専門家2名が、AI時代におけるリード品質向上のための実践的手法を詳しく解説しています。本稿では、データ活用と計測戦略の要点を整理します。

参考記事
メイン記事:
- タイトル: Ads Decoded episode 5 navigates the challenges and impact of effective lead gen advertising
- 著者: Google Ads チーム
- 発行元: Google
- 発行日: 2026年3月25日
- URL: https://blog.google/products/ads-commerce/effective-lead-gen-practices/
関連情報:
- タイトル: Beyond the form fill: Mastering lead quality in the AI era(Ads Decoded Season 1 Episode 5)
- 発行元: Google Ads(YouTube)
- 発行日: 2026年3月25日
- URL: https://www.youtube.com/watch?v=ayHPtTkLL9c
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要点
- リードジェン広告ではフォーム送信数の多さより、成約につながるリード品質の向上がGoogleの推奨する優先課題である
- カスタマージャーニーのマッピングとデータストレングスの構築が、Google AIを最大活用するための土台となる
- YouTubeはリードジェンのパフォーマンスチャネルとして有効で、Shortsの1日2000億回再生という規模がリードナーチャリングの場として注目されている
- ジャーニーアウェアビディングはパイロット段階にあり、カスタマージャーニー全体のタッチポイントを入札モデルに反映させる仕組みである
- リードフォームアセットに「絞り込み質問」機能が追加され、検索広告内で見込み客の事前フィルタリングが可能になった
詳細解説
リード品質とは何か:フォーム送信数の落とし穴
リードジェン広告の成果を測る際、フォーム送信数の多さを「成功」と捉える傾向があります。しかしCRMに蓄積された見込み客が購入意向を持たない場合、キャンペーンの実質的な効果は低いと言わざるを得ません。Googleのリードジェン領域責任者であるMimi Forsythe氏は「より高い意図を持つユーザーを見つけることは、より質の高いリードを見つけることとほぼ同義だ」と述べており、AIの役割を「コンバージョンにつながる可能性の高いユーザーの発見」と位置づけています。
リードジェンはECのような即時購買と異なり、初回接触から成約まで数か月から1年以上かかるケースも少なくありません。教育分野では入学申し込みから実際の学費支払いまで6〜18か月を要する事例も紹介されており、コンバージョンの遅延と低頻度がAIの学習データを不足させやすい構造的課題として指摘されています。
カスタマージャーニーのマッピングが最初のステップ
製品マネージャーのLydia Azaret氏は、リードジェン広告主が最初に取り組むべき施策として「リードから成約までの全行程のマッピング」を挙げています。ユーザーの接触点はオンライン・オフラインにまたがって分散しており、どのタッチポイントが最終的な購買決定に寄与しているかを把握することが、Google AIへの適切なデータ提供の前提となります。
具体的には、情報セッション参加・資料請求・商談・契約など各ステージをGoogle Adsのコンバージョンアクションとして設定し、それぞれにリードジェン専用のカテゴリ(「Qualified Lead」「Converted Lead」など)を割り当てることが推奨されています。このカテゴリ設定によりAIがジャーニーの各段階を意味的に理解できるようになり、後述するジャーニーアウェアビディングなど新機能の土台となります。
データストレングス:ファーストパーティデータの活用
「データストレングス」とは、Google AIに対して可能な限り包括的なシグナルを提供するための考え方です。プライバシー規制の強化やCookieの廃止傾向により広告主がGoogleに渡せるシグナルは年々減少しており、その欠落を補う手段として注目されています。
具体的な施策として紹介されたのは以下の通りです。
- Google Tag Gateway(GTG) の導入:オンラインコンバージョンの計測精度を手軽に改善できる
- Data Manager の活用:CRMなどのオフラインデータをGoogle Adsに取り込む一元管理ハブ。APIまたはネイティブコネクタで接続でき、UIによる診断機能も備える
- Enhanced Conversions for Leads(ECL) の設定:オフラインコンバージョンデータに「ユーザー提供データ(メールアドレスなど)」を付加し、計測カバレッジを拡大する
- IPアドレス・セッション属性・GBRAID などの追加シグナル:特にiOSトラフィックが多い環境ではこれらの補完情報が有効だとされています
データが豊富であるほどAIの予測精度が高まり、最終的なリード品質の向上につながります。「Google AIはフィードするデータの質に依存する」という原則がこのエピソードを通じて繰り返し強調されていました。
価値中心の計測:リードスコアリングとプロキシ値
オフラインデータが少ない・遅延が長い場合でも、リード品質を入札に反映させる手法として「価値中心の計測(value-centric measurement)」が紹介されています。
まず「プロキシ値」の活用があります。たとえば自動車ディーラーの場合、リード送信時点で車種・モデルごとに異なる値を付与することで、AIが高価値なリードの特徴を学習できます。B2Bソフトウェアであれば従業員規模をプロキシ値とする例も挙げられていました。さらに発展的な手法として「予測値」があり、過去データをもとにモデルを構築し、現在のコンバージョンに予測価値を付与してGoogleに渡す方法です。いずれも最終的な購買価値が即時に得られない場合の現実的な代替手段と考えられます。
入札戦略については、十分な価値データがある場合は目標広告費用対効果(tROAS)での価値ベース入札が推奨されており、それが難しい場合でも、コンバージョンが多く遅延の短いステージへの目標コンバージョン単価(tCPA)最適化が有効だとされています。
ジャーニーアウェアビディング:パイロット段階の新機能
現在パイロット運用中の「ジャーニーアウェアビディング」は、tCPAモデルに適用されるアップデートです。従来の入札モデルがクリックや直近のコンバージョンシグナルに依存していたのに対し、この機能ではユーザーのジャーニー全体のタッチポイントを入札予測に反映させます。
教育分野を例にすると、サイト訪問→情報セッション参加→資料請求→出願という一連のアクションすべてが、最終的な入学コンバージョンの予測精度向上に活用されます。本ブログでは以前 AI Max の全世界展開を取り上げましたが(→ https://jobirun.com/google-ads-ai-max-beata-global/ )、こうしたAIによる最適化の深度化という方向性は一貫しており、今回のジャーニーアウェアビディングもその延長線上にあると考えられます。
YouTubeとリードジェン:パフォーマンスチャネルとしての可能性
リードジェン広告主にとってYouTubeはブランド認知の媒体というイメージが根強い一方、Googleはこの認識の転換を促しています。Shortsの1日2000億回再生というデータが示すように、YouTubeはユーザーの検討初期から後期にかけてナーチャリングを行う場として有効だとされています。
Demand Genキャンペーンはパフォーマンス目標に対応しており、YouTube・ディスプレイなど検索以外のチャネルでも高品質リードへのアクセスが可能です。縦型動画(Shorts対応)・横型動画など複数のアスペクト比でアセットを準備することで、AIが適切なタイミング・コンテキストに合わせてクリエイティブを組み合わせる精度が向上します。
リードフォームアセットの「絞り込み質問」機能
検索広告に組み込めるリードフォームアセットに「Qualifying Questions(絞り込み質問)」機能が新たに追加されました。これによりフォーム送信前に「購入予定時期は?」「希望する車のメーカー・モデルは?」「志望するプログラムの種類は?」といった質問を設けることが可能になります。Forsythe氏はこの機能をリード品質とボリュームの両立に向けた投資の一例として紹介しており、今後も同機能の拡充が続く見通しです。
まとめ
Ads Decodedエピソード5では、Google AIをリードジェン広告で最大限に活用するための枠組みとして「マップ(ジャーニーの可視化)→ 計測(オンライン・オフライン全接点の把握)→ 活性化(AIへのデータ提供と入札最適化)」が一貫して示されました。ジャーニーアウェアビディングや絞り込み質問など新機能の動向も、引き続き注目したいと思います。
