はじめに
Adobeが2026年3月10日、PhotoshopのウェブおよびモバイルアプリにおけるAIアシスタントのパブリックベータ公開と、Firefly Image Editorの新機能追加を発表しました。本稿では、今回のアップデートの内容と実際の使い方、そして複数のAIモデルを選べる新しいクリエイティブ環境について解説します。
参考記事
- タイトル: Image editing just got smarter with AI in Photoshop and Firefly
- 著者: Mike Polner
- 発行元: Adobe Blog
- 発行日: 2026年3月10日
- URL: https://blog.adobe.com/en/publish/2026/03/10/image-editing-just-got-smarter-with-ai-photoshop-firefly
要点
- PhotoshopのAIアシスタント(パブリックベータ)が公開され、テキストや音声で編集内容を指示するだけで自動編集が行えるようになった
- Photoshopウェブ版では「AI Markup」機能も追加され、画像上に直接描き込んでプロンプトを入力することで編集箇所を細かく指定できる
- Firefly Image Editorに生成フィル・生成削除・背景除去などの編集ツールが統合され、25種類以上のAIモデルから選択して利用できる
- 有料プランの利用者は4月9日まで、PhotoshopウェブおよびモバイルのAIアシスタントで無制限の生成が可能である
- 無料版Photoshopユーザーも20回分の無料生成を利用できる
詳細解説
AIアシスタントとは——会話するだけで写真編集
Adobeによれば、今回公開されたAIアシスタントは、学生やイラストレーター、マーケターなど幅広いクリエイターを対象としたツールです。使い方はシンプルで、「背景を変えたい」「ライティングを調整したい」「不要な人物を消したい」といった指示をテキストで入力するだけで編集が自動的に適用されます。
編集の実行方法も2通り用意されています。AIが自動で処理を完結させる「自動モード」と、ステップごとに案内してもらいながら自分で操作を学ぶ「ガイドモード」を選べるため、初心者から上級者まで自分のスキルに合わせた使い方ができると考えられます。Photoshopアプリ版では音声入力にも対応しており、外出先でのモバイル編集もより手軽になります。
AI Markup——どこを編集するかを直接「描いて」指示する
Photoshopウェブ版では、AIアシスタントの機能の一つとして「AI Markup」(パブリックベータ)が追加されました。これはコンテキストバー内に統合された機能で、画像の上に直接ペンでエリアを描き込み、そのうえでプロンプトを入力することで、変更箇所を精密に指定できます。
たとえば、画像の一部にマークアップして「花畑に変える」と入力すると、数秒でその箇所だけが変換される、という使い方が可能です。これまでのAI編集では「どこを変えるか」の指定が難しいケースもありましたが、AI Markupはその課題を視覚的なアプローチで解決しようとするものと言えます。
Firefly Image Editorの統合アップデート
同日、Adobe Fireflyのイメージエディターにも複数の新機能が一斉に追加されました。Adobeの発表によれば、今回統合されたのは以下のツールです。
- Generative Fill:周囲の文脈に合わせて要素を追加・置換・修正する
- Generative Remove:不要なオブジェクトを素早く除去する
- Generative Expand:画像を別のサイズやアスペクト比にシームレスに拡張する
- Generative Upscale:解像度を上げてディテールをシャープにする
- Remove Background:ワンクリックで被写体を切り抜く
これらのツールが一つのワークスペースに集約されたことで、構図・スタイル・細部の調整を連続して行えるようになります。生成した画像をそのまま編集フローに持ち込めるため、作業の流れを止めずに完成まで持っていける点は実用的と思います。
25種類以上のAIモデルから選択可能
Firefly Image Editorのもう一つの特徴が、モデル選択の幅広さです。Adobeによれば、Adobeの商用利用に対応したモデルをはじめ、GoogleのNano Banana 2、OpenAIのImage Generation、RunwayのGen-4.5、Black Forest LabsのFlux.2 [pro]など、25種類以上のトップAIモデルを選んで利用できます。
クリエイターが目的や好みに応じてモデルを選べるという設計は、特定のモデルに依存しない柔軟な制作環境を実現しようとする取り組みと考えられます。各モデルの特性の違い——たとえば写実的な描写が得意なもの、スタイル表現に優れたものなど——を試しながら使い分けられるのは、プロフェッショナルな用途においても有用と思います。
利用条件と料金
今回の機能は段階的に公開されています。PhotoshopのAIアシスタントは現在パブリックベータ段階で、ウェブおよびiOS・Android向けモバイルアプリで利用可能です。有料プランの契約者は2026年4月9日まで無制限の生成が利用でき、無料版ユーザーは20回分の無料生成が付与されます。
Adobe Fireflyの新しいイメージ編集機能はすでに本日よりグローバルに提供が開始されており、Fireflyの利用者は無制限の生成にアクセスできます。
まとめ
今回のAdobeのアップデートは、「テキストで指示するだけで写真を編集できる」というAIアシスタントの一般公開と、Fireflyへの複数ツール統合が中心です。25種類以上のモデルを選べる環境が整いつつある中で、クリエイターの制作体験がどのように変わっていくか、今後の展開が注目されます。
