はじめに
NVIDIAは2026年2月17日、Metaとの多年度・複数世代にわたる戦略的パートナーシップを発表しました。本稿では、このNVIDIA公式プレスリリースをもとに、CPU・GPU・ネットワーキング・プライバシー保護の各領域にわたる協業の詳細を解説します。
参考記事
- タイトル: Meta Builds AI Infrastructure With NVIDIA
- 著者: NVIDIA newsroom
- 発行元: NVIDIA
- 発行日: 2026年2月17日
- URL: https://nvidianews.nvidia.com/news/meta-builds-ai-infrastructure-with-nvidia
要点
- NVIDIAとMetaは、オンプレミス・クラウド・AIインフラにまたがる多年度・複数世代の戦略的パートナーシップを締結した
- 数百万基規模のNVIDIA Blackwell・Rubin GPUと、NVIDIAのArm系CPU(GraceおよびVera)を大規模展開する計画である
- MetaはNVIDIA Spectrum-X EthernetをAIスケールのネットワーキング基盤として採用した
- WhatsAppにおいてNVIDIA Confidential Computingを導入し、AIと個人情報保護の両立を図っている
- 両社のエンジニアリングチームがモデルや基盤ソフトウェアの共同設計(コデザイン)を推進している
詳細解説
パートナーシップの概要
NVIDIAの発表によれば、今回の協業はオンプレミス、クラウド、AIインフラにまたがる多年度・複数世代の戦略的パートナーシップです。MetaはトレーニングおよびInference(推論処理)の両方に最適化されたハイパースケールデータセンターを構築する計画で、数百万基規模のNVIDIA BlackwellおよびRubin GPUの大規模展開が見込まれています。
NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏は「MetaほどのスケールでAIを展開している企業はない」と述べており、両社の深い共同設計(コデザイン)を通じてNVIDIAのフルスタックプラットフォームをMetaの研究・開発チームに提供するとしています。またMeta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「Vera Rubinプラットフォームを活用し、世界中のすべての人にパーソナルな超知性を届けたい」とコメントしています。
CPU展開の拡大:GraceからVeraへ
NVIDIAの発表では、MetaとNVIDIAがArm系のNVIDIA Grace™ CPUをMetaのデータセンター本番環境に展開し続けていると説明されています。この協業は、NVIDIAのGrace CPUのみを大規模展開した初の事例とされており、CPUエコシステムライブラリへのソフトウェア最適化投資を通じて、世代ごとに電力効率(performance per watt)を高める取り組みが進んでいます。
さらに、次世代のNVIDIA Vera CPUの展開に向けても両社は協力しており、2027年には大規模展開の可能性があるとされています。Vera CPUの採用が進めば、Metaのエネルギー効率に優れたAIコンピューティング基盤がさらに拡張されると考えられます。ArmベースのCPUは一般的なx86系CPUと比較して消費電力が低い傾向があり、超大規模データセンターの運用コスト削減において重要な役割を果たすと言えます。
統合アーキテクチャとネットワーキング
MetaはNVIDIA GB300ベースのシステムを展開し、オンプレミスデータセンターとNVIDIAクラウドパートナー環境にまたがる統合アーキテクチャを構築するとされています。これにより、運用の簡素化と性能・スケーラビリティの最大化を図る方針です。
ネットワーク面では、MetaがNVIDIA Spectrum-X EthernetネットワーキングプラットフォームをAIスケールのネットワーキング基盤として採用したことが発表されています。NVIDIA Spectrum-Xは、AIワークロードに特化して設計されたイーサネット製品群で、予測可能かつ低遅延な通信性能を提供しながら、利用効率と電力効率の向上も実現するとされています。MetaのFacebook Open Switching System(FOSS)プラットフォームとの統合も行われる予定です。
WhatsAppにおけるConfidential Computing
MetaはWhatsAppのプライベート処理にNVIDIA Confidential Computingを採用したと発表されています。Confidential Computing(機密コンピューティング)とは、データを処理中においても暗号化・保護し続ける技術で、クラウドやデータセンター事業者側からもデータの内容を見えない状態に保つことができます。これにより、AIによる高度な機能をWhatsAppに実装しながら、ユーザーデータの機密性と完全性を維持する仕組みが整備されます。
また両社は、このConfidential Computeの活用範囲をWhatsAppにとどまらず、Metaのポートフォリオ全体のユースケースに拡大することも検討しているとされています。プライバシー規制への対応が世界的に強化されている現在、こうした技術の重要性は増していると考えられます。
次世代AIモデルの共同設計
NVIDIAとMetaのエンジニアリングチームは、Metaのコアワークロードにわたる最先端AIモデルの最適化・高速化に向けた深い共同設計(コデザイン)に取り組んでいると説明されています。NVIDIAのフルスタックプラットフォームとMetaの大規模本番ワークロードを組み合わせることで、数十億人が利用するAI機能のさらなる性能向上と効率化を目指しています。
まとめ
MetaとNVIDIAによる今回の戦略的パートナーシップは、CPU・GPU・ネットワーキング・プライバシー保護技術にまたがる包括的な協業です。2027年以降のVera CPU展開なども視野に入れており、今後のAIインフラ整備の動向として引き続き注目していきたいところです。
