[ニュース解説]高校生の73.7%が生成AIを利用――学研調査が示す日本の子どもたちのAI活用実態と思考力への影響

目次

はじめに

 学研教育総合研究所が2025年11月に実施したオンライン調査によれば、日本の高校生の73.7%が対話型AIを利用していることが明らかになりました。毎日新聞が2026年4月12日に報じたこの調査結果をもとに、本稿では小学生から高校生までのAI活用実態と、思考力への影響に関する専門家の見解を解説します。

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要点

  • 学研教育総合研究所の調査(2025年11月、2,400人対象)で、高校生の73.7%が対話型AIを利用していることが判明した
  • 小学生は36.6%、中学生は43.2%が利用しており、校種が上がるほど利用率が高い傾向がある
  • 高校生の利用目的は「勉強・宿題の補助」が42.3%で最多、次いで「情報収集」が26.0%だった
  • 思考力の変化について「特に変化を感じない」が各校種で最多だが、高校生では「弱くなった」と答えた割合が「強くなった」を上回った
  • 青山学院大学の増川宏一教授(認知科学)は、AIを思考力向上の補助ツールとして使えるようAIリテラシー教育を進めることが不可欠だと述べた

詳細解説

調査の概要

 本調査は学研教育総合研究所が2025年11月にオンラインで実施しました。小学1年生から高校3年生まで各学年から男女100名ずつ、合計2,400名が回答しており、ChatGPTをはじめとする生成AIの利用状況について複数回答形式で質問しています。

 小・中・高の全校種を対象に男女均等なサンプリングを行っており、日本の学齢期における生成AI利用実態を把握するうえで参考になる調査と言えます。

利用率:校種が上がるほど高い傾向

 毎日新聞の報道によれば、対話型AIの利用率は小学生36.6%、中学生43.2%、高校生73.7%と、校種が上がるにつれて顕著に上昇しています。特に高校生では約4人に3人がすでに活用しており、生成AIは高校生の間では広く普及したツールになりつつあると考えられます。

 一方、小学生・中学生でも3〜4割が利用している点は注目に値します。生成AIの活用はもはや大学生や社会人に限った話ではなく、義務教育段階からすでに始まっているとも言えます。

利用目的:勉強補助と情報収集が中心

 利用目的では、高校生の42.3%が「勉強・宿題の補助」を挙げ、26.0%が「情報収集」と回答しました。中学生でも「情報収集」が17.8%、「勉強・宿題の補助」が17.7%と同様の傾向が見られます。

 一方、小学生は「情報収集」が44.0%で最多ですが、「挿絵・画像の作成」が23.7%に上っているのが特徴的です。テキスト系AIにとどまらず、画像生成AIを含むマルチモーダルなAI活用が低学年の間でも広がりつつある傾向がうかがえます。

思考力への影響:高校生で「弱くなった」が逆転

 生成AIの利用を通じた思考力の変化については、「特に変化を感じない」が各校種で最多(小学生42.1%、中学生49.8%、高校生42.1%)でした。

 注目されるのは校種間での傾向の違いです。小学生・中学生では「強くなった」と答えた割合が「弱くなった」を上回っているのに対し、高校生では逆転し「弱くなった」と感じる割合が「強くなった」を上回りました。この差の背景には、高校生の学習課題の難易度が上がる中でAIへの依存が進むことで、自力で考える機会が相対的に減っていると感じやすい状況があるのかもしれません。

 青山学院大学教授の増川宏一氏(認知科学)は、「AIを活用することで学習が改善されるかどうか、社会全体で考えることが必要だ」とコメントしています。

AIリテラシー教育への示唆

 増川教授はさらに、「子どもたちが思考力を高める補助ツールとしてAIを使えるように、AIリテラシーを育てることが不可欠だ」と述べています。

 AIの使用自体を禁止するのではなく、「どのように使うか」を教える教育設計の重要性が改めて問われているといえます。高校生の利用率が7割を超えた現状では、AIリテラシー教育はすでに待ったなしの段階に来ていると思います。本ブログでもAI時代の教育論についてはこれまで複数回取り上げてきましたが、今回の調査は日本国内の実態を示す具体的なデータとして、議論の出発点になると考えられます。

まとめ

 学研調査によれば、高校生の73.7%が対話型AIを活用しており、主目的は学習補助と情報収集です。思考力については高校生で「弱くなった」との回答が増える傾向が見られ、AIリテラシー教育の整備が急務だと思います。AIを使うことの認知的なコストについては、以前取り上げた記事もあわせてご覧ください。(→ https://jobirun.com/the-cognitive-cost-of-ai/)

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