はじめに
Googleは2026年4月8日、クラウド型Pythonノートブック環境「Google Colab」のGemini連携機能を強化する2つのアップデートを発表しました。新たに追加された「カスタム指示(Custom Instructions)」と「学習モード(Learn Mode)」は、AIアシスタントの振る舞いを細かく調整できる仕組みです。本稿では、これらの機能の内容と実用的な活用方法を解説します。
参考記事
- タイトル: Introducing Learn Mode: your personal coding tutor in Google Colab
- 著者: Spencer Shumway(プロダクトマネージャー)、Mae LaPresta(ソフトウェアエンジニア)
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年4月8日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/technology/developers-tools/colab-updates/


要点
- Google Colabに「カスタム指示」と「学習モード」の2機能が追加された
- カスタム指示はノートブック単位で保存・共有でき、Geminiの振る舞いを細かく設定できる
- 学習モードはカスタム指示を基盤として動作し、コードの答えを直接渡す代わりに段階的なガイダンスを提供する
- ノートブックを共有すると、設定したカスタム指示もそのまま引き継がれる
- 学習者・教育者・開発者の3つの用途を想定した設計となっている
詳細解説
カスタム指示(Custom Instructions)とは
カスタム指示は、Geminiに対してノートブックごとに事前の文脈や好みを設定できる機能です。Googleの発表によれば、コーディングスタイルの好み、授業のシラバス、使用するライブラリの指定など、プロジェクトやクラスの要件に合わせた情報を自由に追加できます。設定はGeminiのチャットボックスから直接オン・オフを切り替えられ、ノートブックファイルの中に保存される仕組みです。





ノートブックに設定を埋め込む方式は、チームや授業での活用において特に効果的だと思います。従来のAIアシスタントはユーザーアカウントに紐づいた設定を持つ場合が多いですが、ファイルに設定を持たせることで、ノートブックを共有した相手が同じAI体験を得られるという実用的な利点があります。
学習モード(Learn Mode)の仕組み
学習モードは、カスタム指示の仕組みを活用して実装された機能です。有効にすると、Geminiはコードをそのまま生成して渡すのではなく、概念の解説と段階的な手順の提示を通じて、ユーザー自身がコードを書く力を養う方向でサポートします。



コピー&ペーストできるコードを即座に渡すアプローチは作業効率という点では優れていますが、プログラミングを学習中の人にとっては理解の深まりが得られにくいという課題があります。学習モードはこの問いに対するGoogleの一つの回答と言えます。Googleのブログでは、Pythonのリスト操作や文字列操作を題材にしたサンプルノートブックも公開されており、実際の使い心地を試せるようになっています。
想定される利用者像
Googleの発表では、この機能の対象として3つの利用者像が挙げられています。まず、新しいフレームワークを学び直している経験豊富な開発者。次に、授業設計を行う教育者。そして、プログラミングを初めて学ぶ学生です。
教育現場での活用は特に興味深い可能性を持つと思います。教師がカスタム指示でシラバスの内容を設定したノートブックを作成し、学生に配布することで、AIが授業の内容に沿った形でサポートを行う環境を構築できると考えられます。また、学習モードを組み込んだノートブックをColab上で広く公開・共有することで、一種の教材として機能させる使い方も考えられます。
コミュニティとの連携
Colabには以前からノートブックを共有する文化が根付いており、今回の機能はその文化と親和性が高い設計になっています。カスタム指示がノートブック内に保存されるため、著者が意図したAIの振る舞いをそのまま受け取り手に届けることができます。教材や学習リソースとしてのノートブック共有が、より体系的に行えるようになると言えます。
まとめ
Google Colabの新機能「カスタム指示」と「学習モード」は、AIアシスタントをより目的に合わせて使いこなすための仕組みです。特に学習モードは、答えを渡すのではなく考え方を引き出すというアプローチで、コーディング学習の場面での活用が期待されます。共有時に設定が引き継がれる点も含め、教育用途での展開が注目されると思います。
