はじめに
OpenAIは2026年5月6日、AIを思慮深く・意欲的な方法で活用する学生・若手ビルダー26名を表彰する「ChatGPT Futures Class of 2026」を発表しました。彼らは2022年秋にChatGPTとともに大学生活を始めた初の世代であり、その活動内容と背景にある教育戦略を本稿で解説します。
参考記事
- タイトル: Introducing ChatGPT Futures: Class of 2026
- 著者: Leah Belsky(OpenAI Chief Education Officer)
- 発行元: OpenAI
- 発行日: 2026年5月6日
- URL: https://openai.com/index/introducing-chatgpt-futures-class-of-2026/
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要点
- ChatGPT Futures Class of 2026は、AIを創造的・責任ある方法で活用する学生・若手ビルダー26名を表彰する、OpenAI初の取り組みである
- 受賞者は20以上の大学・機関から選出され、各自に1万ドルのグラントと最先端モデルへのアクセスが提供される
- 精神保健リソースの翻訳、アクセシビリティツールの開発、科学研究の推進など、社会課題に向き合う活用事例が目立つ
- OpenAIは「AIリテラシー」にとどまらず、変化に適応し行動できる思考者・創造者を育てることをAI教育の目標として掲げている
- 受賞者たちに共通するのは「専門家になるのを、資金調達を、許可を待たなくていい」という感覚である
詳細解説
ChatGPT Futures Class of 2026とは
OpenAIが2026年5月6日に発表した「ChatGPT Futures Class of 2026」は、AIを活用して意欲的かつ人間的な取り組みを進める学生・若手ビルダー26名を表彰するプログラムです。受賞者はVanderbilt大学、トロント大学、オックスフォード大学、ジョージア工科大学など20以上の大学・機関から選出されており、各受賞者には 1万ドルのグラント とOpenAIの最先端モデルへのアクセスが提供されます。
OpenAIによれば、2026年に卒業するこの世代は、2022年秋の入学時からChatGPTとともに大学生活を送った初めての世代です。彼らはAIの最初期のユーザーとして家族や教師にもツールを広め、AIが学習・創造・仕事の在り方を変えていく過程を最前線で経験してきた、という点でこれまでの卒業生とは異なる位置づけにあります。
受賞者の活用事例——「待たなくていい」という気づき
受賞者たちの活動は多岐にわたります。支援が届きにくいコミュニティへの精神保健リソースの翻訳、障害を持つ同級生のためのアクセシビリティツール開発、科学研究の推進、副業プロジェクトの実組織への発展など、いずれも社会的な問題意識を出発点にしています。
ウォータールー大学のKyle Scenna氏(24歳)は、「問題に気づいてから実際に何かを作るまでの距離が、これほど小さくなるとは思わなかった」と述べています。スミス・カレッジのMichelle Lawson氏(20歳)は、「AIは、自分が想像したことを実現できるようにしてくれた。それは私だけでなく、数十万人にとっても同じだ」と語っています。また、あるヘッジファンドでAI責任者を務める受賞者(23歳)は、「若い世代が、未来の技術を学ぼうとする社会の教師になる」という見通しを示しています。
プログラムを立ち上げたLeah Belsky氏は、複数のキャンパスを訪問した経験から、「多くの学生はAIを使って仕事を避けているのではなく、以前は不可能だと思っていたことに挑戦している」と指摘しています。「専門家になるのを待たなくていい」「資金調達を待たなくていい」「許可を待たなくていい」——OpenAIがこのプログラムに込めた思想はここにあると思います。
OpenAIの教育戦略——「リテラシー」を超えた目標
OpenAIはこれまでも教育分野への投資を積み重ねてきました。ChatGPTEdu、学生向け100チャットプロジェクト、Study Mode、全米教員連盟(AFT)との提携などがその例です。各国の教育システムへのAI導入を支援する「Education for Countries」プログラムを発表したのも、こうした一連の取り組みの延長線にあります。今回のChatGPT Futuresは、それらの施策が学生の「アウトプット」を社会に見せる場、という性格を持っていると考えられます。
OpenAIが今回の発表で示したメッセージは明確です。AI教育の目標は「AIリテラシー」にとどまるべきではなく、変化の中でも適応し、問題を発見し、アイデアを行動に移せる「思考者・創造者」を育てることだ、という主張です。技術の使い方を学ぶだけでなく、技術を使って何を生み出すかを問い続ける姿勢が重要だという点は、AI教育全般に通じる論点だと思います。
ただし、このようなプログラムの恩恵が届く学生は、現時点では一部にとどまる可能性もあります。アクセスの障壁が「下がりつつある」としても、インターネット環境や機器の整備状況、言語の壁など、地域・経済的な格差は依然として存在します。OpenAIが掲げる「誰もがAIの未来を形作る存在になれる」という理念が、実際にどこまで広がるかは、今後の取り組みにかかっていると思います。
まとめ
OpenAIの「ChatGPT Futures Class of 2026」は、AIと共に育った世代の可能性を社会に示す取り組みです。技術力だけでなく、問題発見力や行動力こそが重要だというメッセージは、AI教育の在り方を考えるうえで参考になります。若者がAIをどう使い、どんな社会を作るかを注視していきたいところです。
