はじめに
Googleは2026年3月25日、Google広告とGoogle Analyticsに統合されたエージェント型AIツール「Ads Advisor」と「Analytics Advisor」の活用ベストプラクティスを公開しました。本稿では、マーケティング担当者や広告運用者に向けて、これら2つのアドバイザーを日常業務でどう活かすかを解説します。
参考記事
- タイトル: 5 ways to collaborate with our agentic advisors
- 著者: Omer Shakil, Ashutosh Kumar Mishra
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年3月25日
- URL: https://blog.google/products/ads-commerce/tips-to-collaborate-with-agentic-advisors/
要点
- Ads AdvisorとAnalytics Advisorは、単なるチャット機能ではなく、データから意思決定へとつなぐエージェント型AIである
- コーディングや専門用語の知識は不要で、日常会話と同じ自然言語で操作できる
- Analytics Advisorは、ユーザーが探していないデータの傾向やインサイトを自発的に提示する機能を持つ
- Ads Advisorは、広告パフォーマンス低下の原因をポリシー問題と市場変動の観点から切り分けて診断できる
- アドバイザーはフィードバックを通じて学習し、やり取りを重ねるごとにより精度の高い提案が可能になる
詳細解説
Ads AdvisorとAnalytics Advisorとは
Googleが提供するAds AdvisorはGoogle広告に、Analytics AdvisorはGoogle Analyticsにそれぞれ統合されたAIアドバイザーです。Googleによれば、これらは単なるチャットインターフェースではなく、「何が起きたか」から「次に何をすべきか」へのギャップを埋めるエージェント型コラボレーターとして設計されています。
「エージェント型(agentic)」とは、AIが受動的に質問へ答えるだけでなく、自律的に情報を収集・分析し、次の行動を提案まで行う特性を指します。こうした設計により、単純な数値の確認にとどまらず、より踏み込んだ分析支援が可能になっています。
自然言語での対話と記憶による精度向上
Googleの発表では、コーディングスキルや専門的な用語知識は不要で、日常会話と同じ感覚で質問するだけで活用できると説明されています。「このデータをまとめて」「分析を実行して」といった依頼にも対応します。追加で質問すれば、アドバイザーはさらに詳しい情報や次のステップの推奨を提示します。
また、過去の会話を記憶している点も特徴のひとつです。やり取りを重ねるごとに、アドバイザーはそのビジネスの状況を蓄積し、より個別化された推奨を提供できるようになります。一般的なAIチャットツールではセッションごとに会話がリセットされるケースが多いですが、記憶機能を持つことで長期的な業務支援として活用しやすい設計と言えます。
Analytics Advisorによる自発的なインサイト発見
Analytics Advisorは、パーソナルなデータアナリストとして機能するよう設計されており、ユーザーが意図的に探していなかった傾向やインサイトを自発的に提示します。
たとえば「先週の新規ユーザー数は?」という質問に答えたうえで、データ内の異常なスパイクを自動的に検出し、追加情報として提示します。「そのスパイクの原因は?」と掘り下げると、流入チャネルの変化(ダイレクトやオーガニック検索の急増など)を特定できます。さらに「カートへの追加率や購入完了率への影響は?」と問うと、これらの指標をその場で計算します。加えて「商品閲覧から購入までのユーザー離脱ポイントを分析して」と依頼すれば、ファネル全体の分析も実施できます。一連のやり取りを通じて、個別の数値確認だけでは見えにくいビジネス上の示唆を引き出しやすくなっています。
Ads Advisorによる広告パフォーマンスの診断
Ads Advisorは、広告のパフォーマンスが変化した際、その原因がポリシー問題によるものか、市場環境の変動によるものかを切り分けて診断できます。「なぜ広告が配信されていないのか」「なぜ広告が不承認になったのか」といった技術的な問いにも対応します。
戦略的な分析と技術的なトラブル対応が同一インターフェース内で完結できる点は、実務上の利点と考えられます。広告運用では戦略判断と技術的な設定対応が並行して求められることが多く、それらをまとめて扱えることでダウンタイムの最小化とパフォーマンスの最大化が図れると説明されています。
クリエイティブ支援とキーワード提案
両アドバイザーはクリエイティブ面の支援にも対応しています。「キャンペーンのキーワードアイデアを出して」「コンバージョン率が下がった理由は?」といった問いに答えるほか、「広告の見出しをいくつか生成して」「広告の説明文を書く手伝いをして」といった依頼にも対応します。
提案内容はビジネスの目標に合わせてカスタマイズされており、次のクリエイティブ戦略やキャンペーン更新の出発点として活用することが想定されています。コピーライティングやキーワード選定は専門的なスキルを要する作業ですが、AIを起点として草案を作成し、そこに自身の知見を加える進め方は、業務効率の観点から取り入れやすいと思います。
人間の専門知識とフィードバックの役割
Googleは、AIはあくまで強力なコラボレーターであり、最終的な判断には人間の専門知識と判断が不可欠だと明記しています。アカウントに大きな変更を加える前には、アドバイザーの提案・推奨・データを必ず自身の知見と照らし合わせることが推奨されています。
また、各回答に設けられた「いいね・よくない」ボタンによるフィードバック機能も用意されており、どのような情報がより有用かをアドバイザーが学習する仕組みになっています。日々の利用を通じてフィードバックを積み重ねることで、自身のビジネスに最適化された提案へと精度が上がっていく設計です。
まとめ
GoogleのAds AdvisorとAnalytics Advisorは、自然言語で操作でき、データ分析から広告診断、クリエイティブ支援まで幅広く対応するエージェント型AIツールです。会話の蓄積とフィードバックによって精度が向上する仕組みを持ち、AIの提案を参考にしながら自身の専門知識と組み合わせることで、より効果的なマーケティング運用につながると考えられます。
