[AIツール利用者向け]Google社員が転職活動で実践した3つのAIツール活用術

目次

はじめに

 Googleの公式ブログが2026年2月26日に、同社社員のAbby Crowe氏がキャリアチェンジの際にGoogleのAIツールをどのように活用したかを紹介する記事を公開しました。本稿では、NotebookLM・Career Dreamer・Geminiという3つのツールを使った具体的な活用法を解説します。

参考記事

要点

  • 筆者はNotebookLM、Career Dreamer、Geminiの3つのGoogle AIツールを転職活動全体で活用した
  • NotebookLMには履歴書・ピアフィードバック・求人情報を集約し、自身のキャリアパターンを分析するのに使用した
  • Career Dreamerでは、これまで見落としていたスキルの再発見と、職歴をまとめたアイデンティティステートメントの作成に役立てた
  • Geminiは職種比較や書類の磨き込みだけでなく、カスタムGemとGemini Liveを使ったモック面接の練習にも活用した
  • AIを人間のサポートの代替ではなく、「もう一人の協働パートナー」として位置づけている

詳細解説

1. NotebookLM:キャリア情報を一元管理し、パターンを見つける

 筆者は転職を考え始めた1年以上前から、気になる求人情報や人材プロフィールをNotebookLMの専用ノートブックに蓄積し始めました。そこに自身の履歴書、ピアフィードバック、定期レビュー、ストレングス系アセスメントの結果なども追加しています。

 これらのソースをすべて読み込んだ状態でAIに質問することで、自分のプロフィールが各ポジションとどう合致するか、どのスキルが求められ、どこにギャップがあるかを把握できたと説明されています。また時間をかけて使い続けることで、「人への関心」「目的ある発信」「新しいものを作ること」といったキャリアの軸も明確になったとのことです。

 NotebookLMは複数のドキュメントを一つの「知識ベース」として扱い、横断的な質問に答えられる点が特徴です。自分自身のキャリア情報を素材として使うことで、外部の転職サービスに頼るのとは異なる、個人に特化した分析が得られると考えられます。

2. Career Dreamer:見落としていたスキルの再発見と職業アイデンティティの整理

 次に活用したのが、Googleが提供するキャリア探索ツール「Career Dreamer」です。このツールは、これまでの経験から培った「ポータブルスキル(職種や業界を超えて活かせる能力)」を新しいキャリア方向にマッピングすることを目的としています。このツールは実験的なツールとして提供されており、おもに米国内での利用を想定されたもので米国内のキャリア情報をもとにマッピングされるという点で、日本国内居住者が利用するうえでは注意が必要です。(なお、日本国内居住者として利用してもある程度参考になる情報を得ること自体は可能でした。)

 筆者は、ツール上で職歴を整理していくプロセス自体が、自分でも気づいていなかったスキルや関心を言語化する機会になったと述べています。特に印象的だったのが「アイデンティティステートメント」の生成機能で、これまで一見バラバラに見えた職歴を、一貫したプロフェッショナルブランドとして再構成してくれたとのことです。

 広告営業からブランドスポンサーシップ、コンテンツマーケティング、そして従業員エンゲージメントへと続く筆者の職歴のように、「はしご型」ではなく「格子型(ラティス型)」のキャリアを持つ人にとって、自分の経験を一言で語ることは難しい課題です。AIがその整理を手伝ってくれる点は、実用的な価値があると思います。

3. Gemini:職種比較から書類作成、面接練習まで

 3つ目のツールとして、筆者はGeminiを多岐にわたる用途で活用しました。単なる履歴書や志望動機書の文章磨きにとどまらず、複数の候補職種を自身の強みや中長期的なキャリア目標と照らし合わせた比較検討にも使ったと説明されています。「役職Aはキャリアコーチとしての自分にどう役立つか」「いつか人とのつながりをテーマにしたブランドを立ち上げたい場合、役職Bのほうが活かせるスキルを得られるか」といった問いをGeminiに投げかけることで、選択肢を整理したとのことです。

 面接準備においては、カスタム「Gem(ジェム)」を作成して模擬面接に活用しました。Gemとは、Geminiをカスタマイズして特定のペルソナや役割を持たせる機能です。筆者は想定される質問を出題し、回答に対して批評的なフィードバックをもらえるよう設定しました。さらに、Gemini Liveを使って散歩中に声に出して練習することで、本番前に繰り返しトレーニングを積んだと述べています。

 Gemini LiveはGeminiのリアルタイム音声会話機能で、テキストではなく話し言葉でやり取りができます。実際の面接と近い形式で練習できる点で、面接対策ツールとして有効に機能すると考えられます。筆者は本番の面接では、すでに何度も練習してきた慣れた会話として臨めたと振り返っています。

AIをキャリア支援の「協働パートナー」として

 筆者は記事の最後で、マネージャーやメンター、家族や友人など多くの人から支援を受けてきたことを述べたうえで、AIをそのリストに加えることができたと語っています。重要なのは、AIを「人間の知恵の代替」ではなく「別の協働パートナー」として捉えていることです。

 今回紹介された使い方は、AIに答えを出させるのではなく、自分の思考や情報を整理・深化させる「思考のパートナー」としての活用に近いと言えます。転職活動という、情報量が多く感情的な負荷もかかりやすいプロセスに、AIをうまく組み込む実践例として参考になるのではないでしょうか。

まとめ

 Googleの社員が実践したNotebookLM・Career Dreamer・Geminiの活用事例は、AIを「ツール」としてだけでなく、自己理解や意思決定を深めるための「協働者」として使う視点を示しています。キャリアに迷いがある方にとって、一度試してみる価値があるアプローチだと思います。

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