はじめに
Google Labsが2026年2月24日、AIアプリ構築ツール「Opal」に新たな「エージェントステップ」を追加したと発表しました。本稿では、この発表をもとに、Opalのワークフローがどのように変化し、どのような新機能が利用可能になったかを解説します。
参考記事
- タイトル: Build dynamic agentic workflows in Opal
- 著者: Dimitri Glazkov
- 発行元: Google Labs(blog.google)
- 発行日: 2026年2月24日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-labs/opal-agent/
要点
- Opalの「generateステップ」でモデルの代わりにエージェントを選択できるようになり、目標に応じて適切なツールやモデルを自律的に選択・実行できる
- エージェントステップには「メモリ」「ダイナミックルーティング」「インタラクティブチャット」の3つの新機能が追加された
- 従来の固定ステップも引き続き利用可能で、エージェントと組み合わせた柔軟な構成が可能である
- インテリアデザインや動画フック生成など、複数のサンプルOpalで実際の活用イメージが公開されている
詳細解説
エージェントステップとは何か
OpalはGoogle Labsが提供するAIワークフロー構築ツールで、複数のAIモデルやツールを組み合わせたアプリ(Opal)をノーコードに近い形で作成できるサービスです。Googleによれば、今回のアップデートにより、従来の「generateステップ」ではモデルを手動で指定する必要がありましたが、新たにエージェントを選択するオプションが加わりました。
エージェントステップでは、ユーザーが設定した目標をもとに、Webサーチや動画生成ツール「Veo」など、必要なツールやモデルをエージェントが自律的に判断して呼び出します。これにより、ステップごとに細かく設定を手動で組む作業を減らし、より複雑なタスクを少ない設定量で自動化できると考えられます。
従来のAIワークフローツールは、あらかじめ決められた手順に沿って処理を進める「静的」な設計が主流でした。エージェントを組み込むことで、実行中に状況を判断しながら処理を分岐させる「動的」な設計が現実的な選択肢になってきていると言えます。
3つの新機能:メモリ・ダイナミックルーティング・インタラクティブチャット
Googleの発表では、エージェントステップを強化する3つの機能が紹介されています。
メモリ機能は、ユーザーの名前やスタイルの好み、ショッピングリストといった情報をセッションをまたいで記憶するものです。動画フックアイデアを生成するサンプルOpalでは、ブランドのアイデンティティや嗜好をエージェントが記憶しておき、毎回同じ情報を入力し直す手間を省けることが示されています。利用頻度が増えるほどOpalがユーザーに最適化されていく設計です。
ダイナミックルーティングは、ワークフロー内で複数の分岐パスを定義し、条件に応じてエージェントが適切なルートに自動で切り替える機能です。Googleが紹介した「エグゼクティブブリーフィングOpal」の例では、商談相手が既存顧客か新規顧客かによって、内部メモを参照するルートとWeb検索で背景情報を取得するルートを自動で使い分けます。ビジネスの現場ではケースバイケースの判断が多く、こうした条件分岐を自然言語で定義できる点は実用的だと思います。
インタラクティブチャットは、エージェントが必要な情報を収集するためにユーザーに質問を投げかけたり、選択肢を提示したりできる機能です。「ルームスタイラーOpal」の例では、ユーザーが最初に十分な詳細を入力しなかった場合でも、エージェントが対話を通じて必要な情報を引き出し、次のステップへ進みます。一方向的な入力フォームではなく、会話形式でユーザーの意図を引き出す設計は、AIエージェント全般の課題である「曖昧な指示への対応」に直接アプローチするものと考えられます。
インテリアデザイン事例:静的から対話的なプロセスへ
Googleは具体的な活用例として、インテリアデザインOpalを挙げています。以前の「インテリアデザインOpal」は、写真をアップロードしてスタイルを指定すると改装イメージ画像が生成される、一方向的なプロセスでした。
新たな「ルームスタイラーOpal」では、エージェントが初期コンセプトを提示した後、ユーザーが特定の要素についてフィードバックを返すと、エージェントはそれを受けてさらに好みを理解し、ニッチなデザインサブスタイルをリサーチした上で再提案を行います。Googleはこの変化を「ショールームのテンプレートではなく、あなた固有のデザイン」を生み出すプロセスと表現しており、対話を重ねるほど出力の精度が上がる設計になっています。
既存の固定ステップとの共存
Googleによれば、エージェントステップの追加後も、従来の固定ステップは引き続き利用可能です。精度の高いプロトタイピングや厳格なロジックが必要な場面では固定ステップが有効で、エージェントステップと組み合わせて使い分けられる構成になっています。新規ユーザーはエージェントの自律性に頼りながら手軽に始めることができ、上級ユーザーはより細かな制御が必要な部分では固定ステップで対応するという使い方が想定されていると考えられます。
まとめ
GoogleはOpalのアップデートにより、AIワークフローを「静的な自動化」から「対話的なエージェント処理」へと拡張しました。メモリ、ダイナミックルーティング、インタラクティブチャットの3機能が加わったことで、より柔軟なアプリ設計が可能になっています。実際の業務にどこまで応用できるか、今後の事例が注目されます。
