はじめに
Googleは2026年2月19日、最新AIモデル「Gemini 3.1 Pro」を発表しました。前世代の Gemini 3 Pro から大幅に推論性能を引き上げたとされるモデルで、開発者・企業・一般ユーザー向けに段階的な提供が始まっています。本稿では、発表内容をもとに性能の詳細とアクセス方法を解説します。
参考記事
メイン記事:
- タイトル: Gemini 3.1 Pro: A smarter model for your most complex tasks
- 著者: The Gemini Team
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年2月19日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/gemini-3-1-pro/
関連情報:
- タイトル: Introducing Gemini 3.1 Pro on Google Cloud
- 著者: Michael Gerstenhaber(VP of Product Management, Vertex AI)
- 発行元: Google Cloud Blog
- 発行日: 2026年2月20日
- URL: https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/gemini-3-1-pro-on-gemini-cli-gemini-enterprise-and-vertex-ai
要点
- Gemini 3.1 Pro は Gemini 3 シリーズの後継にあたるコア推論モデルであり、複雑な問題解決を主な用途として設計されている
- 推論能力の評価指標である ARC-AGI-2 ベンチマークにおいて、77.1% のスコアを記録した。これは前世代の Gemini 3 Pro の2倍以上の性能にあたる
- テキストプロンプトからアニメーション SVG を直接生成するコードベースのアニメーション機能が追加されている
- 開発者向けは Gemini API(Google AI Studio、Gemini CLI、Google Antigravity、Android Studio)で、企業向けは Vertex AI・Gemini Enterprise で、それぞれプレビュー提供が開始された
- 一般ユーザー向けは Gemini アプリと NotebookLM で利用可能だが、現時点では Google AI Pro・Ultra プランのユーザーに限定されている
詳細解説
Gemini 3.1 Pro の位置づけと背景
Googleは2025年11月に Gemini 3 Pro をリリースし、その後も継続的なアップデートを行ってきました。今回の Gemini 3.1 Pro は、同シリーズにおいて「コア推論能力の底上げ」を目的としたマイナーバージョンアップと位置づけられています。Googleによれば、先週リリースされた Gemini 3 Deep Think(科学・研究・エンジニアリング向けの更新版)を支える基盤インテリジェンスとして、今回の 3.1 Pro が機能するとのことです。
AIモデルの世代更新は、主要な番号変更(例:3→4)だけでなく、マイナーバージョン(例:3.0→3.1)でも性能が大きく変わるケースが増えています。今回の発表はその典型例と言えます。
ARC-AGI-2 で示された推論性能の向上
Googleの発表によれば、Gemini 3.1 Pro は ARC-AGI-2 ベンチマークで 77.1% のスコアを記録しました。これは Gemini 3 Pro の2倍以上の数値にあたります。

ARC-AGI-2 は、モデルが完全に新しい論理パターンを解く能力を評価する指標です。既存の学習データへの適応力ではなく、未知の問題に対する汎用的な推論力を測るために設計されており、AI研究コミュニティでも注目度の高いベンチマークの一つです。このスコアの倍増は、数値として見ると大幅な進歩と言えますが、実際の業務にどの程度反映されるかは用途によって異なると思います。
実用的な機能: データ統合とコードベースアニメーション
Googleは 3.1 Pro の応用例として、2つの代表的なユースケースを示しています。1つ目は、複数の情報源からのデータを単一のビューに統合する用途です。複雑な情報を整理・可視化するための推論能力の向上が、この機能を支えていると説明されています。
2つ目は、テキストプロンプトからアニメーション SVG(Scalable Vector Graphics)を直接生成する機能です。SVGはピクセル画像ではなくコードで描かれた図形のため、どのサイズに拡大・縮小しても画質が劣化しないという特徴があります。また、動画ファイルと比較してファイルサイズを大幅に抑えられる点も、Web コンテンツへの組み込みに適していると考えられます。
企業向けの評価: JetBrains の事例
Google Cloud のブログでは、開発ツールで知られる JetBrains が 3.1 Pro を評価した結果として、「Gemini 3 Pro Preview の最良の結果と比較して最大15%の改善を観察した」とのコメントが紹介されています。速度・効率性の向上も報告されており、エンタープライズ用途での実用的な改善として注目に値する情報と思います。
アクセス方法と現在の提供状況
Googleによれば、2026年2月20日時点での提供状況は以下の通りです。
開発者向けは、Gemini API 経由でプレビューとして利用可能です。対応プラットフォームは Google AI Studio、Gemini CLI、Google Antigravity(エージェント開発プラットフォーム)、Android Studio の4つです。
企業向けは Vertex AI と Gemini Enterprise でのプレビュー提供が始まっています。
一般ユーザー向けは Gemini アプリと NotebookLM で利用できますが、現時点では Google AI Pro・Ultra プランのユーザーに限定されており、一般提供の時期については「まもなく」と案内されているのみです。
「プレビュー」という提供形態は、機能の検証段階であることを示しており、今後のアップデートや変更が予定されている点に留意が必要です。
まとめ
Googleが発表した Gemini 3.1 Pro は、ARC-AGI-2 で前世代の2倍以上となる 77.1% を記録するなど、推論能力の向上が数値に現れています。開発者・企業・一般ユーザーそれぞれに向けた提供が始まっており、今後の一般提供や機能拡充がどのような形で進むか、引き続き注目したいところです。
