はじめに
Googleが2026年2月4日、2025年第4四半期(Q4)の決算発表を行い、Alphabet全体の年間収益が初めて4000億ドルを超えたことを明らかにしました。CEO Sundar Pichai氏は、Gemini 3のローンチを「大きなマイルストーン」と位置づけ、AI投資が全事業領域で収益成長を牽引していると強調しています。本稿では、この決算発表の内容をもとに、Googleの成長戦略と各事業部門の動向を解説します。
参考記事
- タイトル: Q4 earnings call: Remarks from our CEO
- 著者: Sundar Pichai
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年2月4日
- URL: https://blog.google/company-news/inside-google/message-ceo/alphabet-earnings-q4-2025/
要点
- Alphabet全体の年間収益が初めて4000億ドルを超え、Q4単独でSearch収益は17%成長、Cloud収益は48%成長を記録した
- Gemini 3 Proのローンチ以降、1日あたりの平均トークン処理量がGemini 2.5 Proの3倍に達し、過去最速の採用ペースを記録している
- Google Cloudの2025年における10億ドル超の大型契約数が過去3年間の合計を上回り、バックログは前四半期比55%増の2400億ドルに到達した
- Gemini Enterpriseは発売4か月で800万有料シートを販売し、Gemini Appの月間アクティブユーザー数は7億5000万人を超えた
- 2026年のCapEx(設備投資)は1750億〜1850億ドルを予定しており、AI需要への対応と成長機会の獲得を目指している
詳細解説
Gemini 3が牽引する全社的成長
Googleによれば、2025年Q4の決算は「Alphabetにとって素晴らしい四半期」であり、Gemini 3のローンチが大きな転機となったとされています。具体的な成果として、Search収益が17%成長、YouTubeの年間収益が広告とサブスクリプション合計で600億ドルを突破、Cloudは48%成長で年間700億ドルペースに達しました。
この成長の背景には、AI投資とインフラ整備が全事業領域で収益を押し上げている構造があります。AIモデルの性能向上とインフラ効率化により、Geminiのサービング単位コストは2025年を通じて78%削減されたとのことです。この効率改善は、モデル最適化、効率向上、利用率改善の組み合わせによって実現されており、AI事業の収益性向上に寄与していると考えられます。
AI基盤への大規模投資
Googleは2026年のCapExとして1750億〜1850億ドルの投資を予定していると発表しました。この規模の投資は、顧客需要への対応と将来の成長機会を確保するためとされています。
インフラ面では、NVIDIAの最新Vera Rubin GPUプラットフォームを初期採用する企業の一つとなるほか、10年以上開発を続けてきた独自のTPU(Tensor Processing Unit)も展開しています。さらに、12月にはデータセンターおよびエネルギーインフラソリューションを提供するIntersectの買収意向も発表されました。これらの投資は、AI需要の急増に対応するための戦略的な動きだと思います。
モデルとツールの拡充
Googleは世界で最も広範なモデルポートフォリオを提供しており、Text、Vision、Image-to-VideoのLMArenaリーダーボードで首位を占めているとされています。
Gemini 3 Proは推論とマルチモーダル理解において最先端を走り、同社史上最速の採用ペースを記録しました。ローンチ以降、Gemini 3 Proは平均して1日あたりGemini 2.5 Proの3倍のトークンを処理しているとのことです。
また、Gemini 3 Proを搭載した開発プラットフォーム「Google Antigravity」は、エージェントが複雑なソフトウェアタスクを自律的に計画・実行できる環境を提供しています。ローンチから2か月余りで週間アクティブユーザー数が150万人を超えたという数字は、開発者コミュニティでの関心の高さを示していると言えます。
さらに、Geminiなどのファーストパーティモデルは、顧客の直接API利用を通じて毎分100億トークン以上を処理しており、前四半期の70億トークンから増加しています。
製品・プラットフォームへのAI統合
Googleは2026年1月だけで、以下のような多数のAI機能を製品に統合しました:
- SearchおよびGemini AppにおけるAI ModeでのPersonal Intelligence
- GmailへのAI機能追加とVeoのアップデート
- Chrome Auto Browse機能によるAI優先のエージェント型ブラウザへの刷新
- リアルタイムで生成されるインタラクティブな世界を作成・探索できるProject Genie(Genie 3ワールドモデル搭載)
- 小売業界リーダーと共同で構築したエージェント型コマースの新しいオープンスタンダード「Universal Commerce Protocol」
このような急速な製品展開は、AI技術の実用化における同社のスピード感を示しています。また、AndroidからPixelまで、AI機能をより多くのデバイスに展開する動きも加速しており、CESではSamsungなどのパートナーがGeminiをXRからリビングルームまで幅広いデバイスに搭載する計画を発表しました。
Search事業の進化
Googleによれば、Q4のSearchは過去最高の利用状況を記録し、AIが「拡張の瞬間」を牽引し続けているとされています。同社は前四半期だけでAI ModeとAI Overviewsに関して250以上の製品ローンチを実施しました。
具体的な成果として、以下のデータが報告されています:
- 米国では、ローンチ以降、1ユーザーあたりの1日のAI Modeクエリ数が2倍に増加
- AI Modeのクエリは従来の検索の3倍の長さ
- AI Modeクエリの6件に1件が、音声または画像を使った非テキストクエリ
- Circle to Search機能は5億8000万台以上のAndroidデバイスで利用可能
これらの数値は、AI機能が単なる付加機能ではなく、ユーザーの検索行動そのものを変化させていることを示していると考えられます。より長く複雑なクエリや、会話形式での連続質問の増加は、検索体験の質的変化を表しています。
Google Cloudの急成長
Google Cloudは収益、営業利益率、バックログのすべてで力強い成長を示しました。Googleによれば、以下の3つのポイントが成長を牽引しているとされています:
新規顧客獲得の加速
2025年末時点での新規顧客獲得速度は第1四半期比で2倍に達しました。
大型契約の増加
2025年における10億ドル超の契約数は、過去3年間の合計を上回りました。バックログは前四半期比55%増の2400億ドルに達し、AI製品需要に牽引された幅広い顧客層を反映しています。
既存顧客との関係深化
既存顧客は当初のコミットメントを30%以上上回るペースで利用を拡大しているとのことです。
AI顧客に関しては、Google Cloud顧客の75%近くが垂直最適化されたAI(チップからモデル、AIプラットフォーム、エンタープライズAIエージェントまで)を利用しており、これらのAI顧客は非AI顧客の1.8倍の製品を使用していると報告されています。この傾向は、製品ポートフォリオの多様化、顧客関係の深化、収益成長の加速につながっていると言えます。
製品ラインは、インフラ、プラットフォーム、高利益率のAI搭載製品・サービスにわたる複数の収益化手段を持ち、年間収益10億ドルを超える製品ラインが14に達しています。
生成AIモデルを基盤とした製品の収益は、Q4に前年同期比約400%成長し、前四半期から大幅に加速しました。現在、12万社以上の企業がGeminiを利用しており、LovableやOpenEvidenceなどのAIユニコーン企業から、AirbusやHoneywellなどのグローバル企業まで含まれています。また、上位20社のSaaS企業の95%、上位100社の80%以上がGeminiを利用しており、SalesforceやShopifyも含まれます。
エンタープライズAIエージェントへの需要も高まっており、Gemini Enterpriseは発売から4か月で2800社以上に800万有料シートを販売しました。Q4には、Wendy’s、Kroger、Woolworths GroupなどがGemini Enterpriseを通じて管理した顧客インタラクションが50億件を超え、前年同期比65%増となりました。
なお、GoogleはAppleとの協業も発表しており、Appleの優先クラウドプロバイダーとなるとともに、Gemini技術をベースとした次世代Apple Foundation Modelsの開発を進めるとされています。この提携は、両社のAI戦略における重要な動きと考えられます。
YouTube事業の多角的成長
YouTube事業では4つの重点領域で成長が報告されています:
ストリーミング
Nielsen調査によれば、YouTubeはリビングルームで米国第1位のストリーマーの地位を約3年間維持しているとされています。NFLからCoachellaまで、今日の最大のポップカルチャーイベントが展開される場となっています。
サブスクリプション
YouTube全体で、特にYouTube Music Premiumを中心にサブスクリプション収益の力強い成長が続いています。近日中に10以上のジャンル別パッケージを提供する新しいYouTube TV Plansが開始される予定です。NFL Sunday Ticketも、YouTubeとの提携により製品史上最高の有料加入者数を記録しました。
ポッドキャスト
2025年10月には、視聴者がリビングルームデバイスで7億時間以上のポッドキャストを視聴し、前年同期比75%増を記録しました。
AIによる体験変革
2025年12月には、平均して毎日100万以上のチャンネルが新しいAI作成ツールを使用して創造性を高めており、同月には2000万人以上の視聴者がGemini搭載の新しいAskツールを使用して視聴したコンテンツについて学習しました。
Waymoの事業拡大
自動運転事業のWaymoは、今週過去最大の資金調達ラウンドを実施し、安全性を核としたモメンタムを継続する体制が整ったとされています。2025年12月には完全自動運転での移動回数が2000万回を突破し、現在は週40万回以上のライドを提供しています。
サービスエリアも拡大しており、6番目の市場であるMiamiが2週間前に開始されました。Waymoは近日中に米国の複数都市、さらに英国と日本でもサービスを拡大する予定です。また、空港や高速道路への公共サービス開放など、重要な機能での進展も報告されています。
まとめ
Googleの2025年Q4決算は、Gemini 3を中心としたAI投資が全事業領域で収益成長を牽引している構造を明確に示しています。年間収益4000億ドル突破という節目を迎え、2026年には1750億〜1850億ドルという大規模なCapEx投資を予定していることから、AI技術への長期的なコミットメントが伺えます。Search、Cloud、YouTubeの各事業でAI機能が利用拡大と収益成長の両面で成果を上げており、今後の展開が注目されます。
