はじめに
GoogleがNotebookLMの大規模アップグレードを2026年6月8日に発表しました。Gemini 3.5を搭載した新たな推論エンジンの導入、エージェント的なチャット機能の追加、そして出力フォーマットの大幅拡充が主な内容です。本稿では、この発表をもとにアップグレードの詳細を解説します。
参考記事
- タイトル: Do better research with NotebookLM
- 著者: Trond Wuellner(Director of Product Management, NotebookLM)、Usama Bin Shafqat(Software Engineer, NotebookLM)
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年6月8日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/products/notebooklm/better-research-notebooklm/
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要点
- NotebookLMがGemini 3.5と「Antigravity」上で動作するようになり、推論精度と信頼性が向上した
- 各ノートブックにセキュアなクラウドコンピュータが割り当てられ、コードの記述・実行が可能になった
- 新しい推論エンジンは旧システム比で平均勝率65%以上(差15ポイント)を達成し、大規模文書分析では69.9%、高度なウェブリサーチでは78.2%の勝率を記録した
- PDF・DOCX・スプレッドシート・PowerPoint・画像など多様なフォーマットへの出力と、生成後の編集に対応した
- 自らウェブ検索してソースを発見・追加する機能が加わり、ソースなしで研究をスタートできるようになった
詳細解説
Gemini 3.5と新推論エンジン「Antigravity」の導入
Googleによれば、今回のアップグレードでNotebookLMはGemini 3.5と「Antigravity」上で動作するようになりました。これにより、情報の正確性と信頼性が高まるとともに、思考プロセスの可視性も向上しています。Antigravityは5月のGoogle I/O 2026でも開発者向け機能として発表されており、Google I/O 2026の全体像を整理した記事も参考になります。
新推論エンジンの性能については、Googleが旧システムとのサイドバイサイド評価を実施しています。主要5評価軸での平均勝率は65%以上(差15ポイント)を達成しており、なかでも大規模文書分析では69.9%、高度なウェブリサーチとソース発見では78.2%という勝率が報告されています。これらの数値は自社評価によるものですが、複数の評価軸で一定以上の改善が確認されているという点は注目に値すると思います。
クラウドコンピュータとコード実行機能
今回のアップグレードで特徴的なのが、各ノートブックへのセキュアなクラウドコンピュータの割り当てです。これにより、NotebookLMはコードの記述と実行が可能になりました。さらに100以上のキュレーション済みソフトウェアスキルが組み込まれており、より深いリサーチや複雑なデータ分析を支援できるようになっています。
従来のNotebookLMは、ユーザーが用意したソースに基づいて質問に答えるツールという性格が強くありました。コード実行環境の追加により、データの加工・集計・可視化といった分析作業もNotebookLM内で完結できるようになり、リサーチから成果物作成までの流れが一体化しつつあると言えます。
出力フォーマットの大幅拡充
Googleの発表によれば、生成できる出力フォーマットが大幅に増えました。具体的には以下のフォーマットに対応しています。
- データビジュアライゼーション・チャート(PNG、SVG)
- ドキュメント(PDF、DOCX、Markdown、テキストファイル)
- 画像(PNG、JPG、GIF)
- 構造化データ(CSV、JSON)
- Microsoft Excel(XLSX)
- Microsoft PowerPoint(PPTX)
生成後の編集にも対応しており、スタジオパネルから直接ダウンロードできます。チャートや表を含むPDFレポート、予算スプレッドシート、学習ワークシートといった成果物を作成できると説明されています。2025年11月に追加されたDeep Research機能からの継続的な拡張として捉えると、出力の多様化という方向性が一貫していることが分かります。
エージェント的なリサーチ支援——ソースを自ら探す
これまでのNotebookLMは、ユーザー自身がソースを用意して持ち込む必要がありました。今回のアップグレードでは、Google検索と連携しながらNotebookLMが関連性の高いソースをウェブ上で見つけてノートブックに追加できるようになっています。他言語の一次資料を探す、特定の著者の関連作品を発見するといった用途が例として挙げられています。
ただし、ノートブックに追加するソースの最終的なコントロールはユーザーが持つとされており、すべてのソースには引用元が明示される仕組みが維持されています。自律的に動く範囲を制限しつつ、リサーチの入口のハードルを下げる設計だと考えられます。
対象ユーザーと提供状況
Googleによれば、今回の機能はGoogle AI Ultraユーザー全員と、AI Ultra AccessおよびAI Expanded Accessを持つWorkspaceビジネス顧客を対象に、2026年6月8日よりウェブ版でグローバル展開が開始されています。今後、さらに広いユーザー層への拡大も予定されているとのことです。
まとめ
今回のNotebookLMアップグレードは、ツールとしての性格を「受け身のQ&Aシステム」から「自律的なリサーチパートナー」へと大きく転換させるものだと思います。Gemini 3.5搭載、コード実行環境、多様な出力フォーマット、ソース自動収集という各要素が組み合わさることで、リサーチの開始から成果物の作成まで一つのツールで完結できる方向性が見えてきます。実際の精度や使い勝手については、ユーザーの実践的なフィードバックを待ちたいところです。
