はじめに
Google DeepMindは2026年4月21日、Gemini APIの自律型リサーチエージェントを大幅に刷新し、Deep Research と Deep Research Max の2種類を公開しました。Gemini 3.1 Proを基盤に、MCP(Model Context Protocol)によるプロプライエタリデータ連携やネイティブなグラフ・インフォグラフィック生成など、エンタープライズ向けの機能が一気に強化されています。
参考記事
- タイトル: Deep Research Max: a step change for autonomous research agents
- 著者: Lukas Haas(Product Manager, Google DeepMind)、Srinivas Tadepalli(Program Manager, Google DeepMind)
- 発行元: Google DeepMind Blog
- 発行日: 2026年4月21日
- URL: https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/next-generation-gemini-deep-research/
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要点
- Deep ResearchとDeep Research Maxの2エージェントが登場。前者は低レイテンシの対話型向け、後者は網羅性を重視したバックグラウンドバッチ処理向けに設計されている
- Gemini 3.1 Proを基盤とし、MCP経由でプロプライエタリデータ(金融・市場データ等)への接続が可能になった
- ネイティブのグラフ・インフォグラフィック生成機能が追加され、テキストだけでなく視覚的な分析レポートを自動生成できる
- PDF・CSV・画像・音声・動画など複数モダリティのファイルをリサーチのコンテキストとして入力できる
- FactSet・S&P Global・PitchBookとのMCPサーバー設計で協業中であり、金融・ライフサイエンス分野での実用化を進めている
詳細解説
2種類のエージェントと使い分け
2025年12月にGemini APIの「Interactions API」経由でプレビュー公開されたGemini Deep Researchエージェントが、Gemini 3.1 Proの採用により今回大幅に刷新されました。発表では用途に応じた2つの構成が提供されています。
Deep Research は、速度と効率を重視した設計です。12月のプレビュー版を置き換えるもので、Googleによればレイテンシとコストを削減しながら品質も向上しているとのことです。インタラクティブなユーザー画面に直接組み込む用途を想定しており、低遅延が求められる場面に適していると考えられます。
一方、Deep Research Max は最大限の網羅性と高品質な統合を目的として設計されており、拡張テスト時コンピューティングを活用して反復的な推論・検索・レポート精錬を繰り返します。Googleによれば、毎晩バックグラウンドで自動的にデューデリジェンスレポートを生成し翌朝アナリストチームに届けるような非同期ワークフローに最適なエンジンだとのことです。
MCPによるプロプライエタリデータ連携
今回の更新で特に注目に値するのがMCPサポートです。MCPはモデルと外部データソースを標準化されたインターフェースで繋ぐプロトコルで、Deep ResearchはこれによりオープンなWebだけでなく、カスタムデータリポジトリや専門的なデータストリームへもセキュアに接続できるようになりました。Gemini APIとMCPの組み合わせについては以前も取り上げていますので、技術的な背景に興味のある方はあわせてご覧いただければと思います(https://jobirun.com/gemini-api-docs-mcp-agent-skills/)。
任意のツール定義をサポートしており、Deep ResearchはWebサーチャーからあらゆるデータリポジトリを自律的に操作できるエージェントに変わります。Googleによれば、FactSet・S&P Global・PitchBookとのMCPサーバー設計を共同で進めており、金融データをDeep Researchワークフローへ統合することで膨大なデータユニバースの活用を大幅に高速化できるとのことです。
ネイティブのグラフ・インフォグラフィック生成
これまでのDeep Researchはテキストレポートの生成に限られていましたが、今回初めてHTMLまたはNano Banana形式でのネイティブなグラフおよびインフォグラフィックのインライン生成に対応しました。定性・定量の複雑なデータストリームをプレゼンテーションにそのまま使えるビジュアルへ自動変換できる点は、レポート作成の効率化に大きく寄与すると考えられます。
研究プロセスのコントロールと透明性
新機能としてコラボレーティブプランニング(協調的計画立案)が追加されました。エージェントが実行前に生成するリサーチプランをレビューし、調査範囲を細かく調整できます。エージェントが想定外の方向に調査を進めてしまうという、自律エージェント特有のコントロール問題への対応として有用だと思います。
ツール構成も柔軟で、Googleによれば Google Search・リモートMCPサーバー・URL Context・Code Execution・File Searchを同時に組み合わせて利用できるほか、Webアクセスを完全にオフにしてカスタムデータのみを対象にすることも可能です。リアルタイムストリーミング機能も備えており、エージェントの中間推論ステップをライブで追跡しながら、テキストと画像の出力をリアルタイムで受信できます。
マルチモーダル入力と専門家レベルの分析品質
PDF・CSV・画像・音声・動画など複数モダリティのファイルを入力として与え、独自のコンテキストでリサーチをグラウンディングするマルチモーダル対応も実現しています。Googleによれば、Deep Research MaxはSECファイリングやオープンアクセスの査読済み論文など権威ある情報源を広く参照し、競合する証拠を慎重に照合するよう設計されており、12月リリースと比較して見落としていた重要なニュアンスの把握が大幅に改善されているとのことです。
現在このインフラは、GeminiアプリのDeep Research機能・NotebookLM・Google Search・Google Financeなど、Googleの主要プロダクトを支えるインフラと同一のものです。Google FinanceにおけるAIリサーチ強化については、以前の記事でも取り上げていますので参考にしていただければと思います(https://jobirun.com/google-finance-ai-global-expansion/)。
利用方法
Deep ResearchおよびDeep Research MaxはGemini APIの有料ティアで、Interactions API経由のパブリックプレビューとして本日より提供開始されました。また、近日中にGoogle Cloudを通じてスタートアップ・エンタープライズ向けにも提供が予定されています。
まとめ
Google DeepMindが公開したDeep Research Maxは、Gemini 3.1 Proを核にMCPによるプロプライエタリデータ連携・ネイティブグラフ生成・マルチモーダル入力・協調的プランニングをひとつのAPIに統合した自律リサーチエージェントです。単一のAPIコールで金融・ライフサイエンス領域における専門家レベルの分析レポートを自動生成できる点は、エンタープライズ向け業務自動化の文脈で注目に値すると思います。
