はじめに
GoogleがCars with Google built-in搭載車にGemini AIアシスタントを順次展開すると、2026年4月30日にGoogle公式ブログで発表しました。従来のGoogle Assistantからのアップグレードとして提供され、既存の対象車両もソフトウェアアップデートで対応します。本稿では、発表内容をもとに新機能の概要と実用上のポイントを解説します。
参考記事
- タイトル: Your car with Google built-in is about to get smarter, thanks to Gemini
- 著者: Alankar Agnihotri(Senior Product Manager, Cars with Google built-in)
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年4月30日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/platforms/android/cars-with-google-built-in-gemini-tips-2026/
関連記事



要点
- Cars with Google built-in搭載の対象車両に、Google AssistantからGeminiへの切り替えアップグレードが順次配信される
- 新機能は「自然な会話によるタスク実行」「Gemini Live(ベータ)」「車両固有情報への対応」「車内設定の音声操作」の4領域に及ぶ
- GeminiはGoogle Mapsの情報をリアルタイムで参照し、ルート沿いの飲食店検索や渋滞回避を会話形式で支援する
- 車両メーカーが提供するオーナーズマニュアルと連携し、車種固有の操作方法や機能に関する質問に回答できる
- 展開は2026年内に米国英語から開始され、今後さらに言語・国・アプリ連携を拡大する予定である
詳細解説
Cars with Google built-inとGemini展開の背景
Cars with Google built-inは、Googleが2020年に提供を開始した車載Android基盤プラットフォームです。GoogleはサービスインからGoogle Assistantを音声AIとして搭載してきましたが、今回のアップデートでGeminiへの切り替えが始まります。
Googleによれば、今回のGemini展開は新型車のみならず、既存の対象車両にも無線ソフトウェアアップデート(OTA)で配信される点が大きな特徴です。「車は時間とともに進化する」という2020年当初の約束に基づいた対応だとされています。Googleアカウントにサインインしている対象ユーザーには、車のディスプレイにアップグレードを促す通知が表示されます。
なお、GoogleはGoogle MapsへのGemini統合として「Ask Maps」機能もすでに展開しており、今回の車載Geminiはそのマップ連携をドライビング文脈で深化させた位置づけと考えられます。
自然な会話によるタスク実行
従来の音声コマンドと異なり、Geminiでは文脈を引き継いだ自然な会話が可能になります。Googleの発表によれば、たとえば「途中で評価の高いテラス席のあるランチ場所を探して。急いでないし、外で食べたい」と伝えると、ルート沿いの候補を提示し、続けて「駐車場は?」「ベジタリアンメニューはある?」といったフォローアップ質問にも応答します。
メッセージ対応では、受信テキストの要約や「ジェーンに向かっていると伝えて。到着予定時刻も追加して」という自然な指示で返信を作成できます。さらに「やっぱり、デザートを買っていくか聞いて」と修正を口頭で加える形式も支援されており、ドライビング中のハンズフリー操作を意識した設計になっています。
音楽操作についても、ステーション名や周波数を知らなくても「ジャズのラジオをかけて」と伝えられるほか、YouTube Musicなどのストリーミングアプリと連携して「山道ドライブ向けの70年代フォークロックを、バラードは省いて」のような詳細なリクエストに応じます。
Gemini Live:ドライブ中の学習・ブレインストーミング
Gemini Live(ベータ)は、目的や検索意図に縛られない自由な会話セッションを提供する機能です。「ヘイGoogle、話そう」と呼びかけるか、画面上のボタンをタップして起動します。
Googleの説明では、「タホ湖に向かっている。歴史や面白い事実を教えて」と伝えると目的地に関する情報を話してくれ、「マーク・トウェインとこの地域に関係があるの?」と途中で割り込んで深堀りすることも可能です。旅行計画のブレインストーミングにも対応しており、ハイキングルートの眺望など具体的な質問を重ねながら情報を収集する用途を想定しています。
ドライブ中の学習支援という観点では、移動時間をより活用したい層にとって実用的な機能だと思います。ただしGemini Liveは現時点でベータ段階であり、精度や言語対応については引き続き改善が進むと考えられます。
車両固有の情報提供とEV対応
現代の車は多機能化が進んでいる一方、搭載機能を把握しきれていないユーザーも多いと考えられます。この課題に対応するため、Googleは自動車メーカーと連携してオーナーズマニュアルをGeminiに統合しました。「自動洗車前に何を確認すればいい?」「車庫の天井が低くてトランクが当たる。開く高さを制限したい」といった車種固有の質問に、そのモデルに合わせた回答を返します。ただしGoogleによれば、対応内容はブランドとモデルによって異なります。
EVユーザー向けには、現在の充電残量や目的地到着時の予測残量を確認したり、「近くの充電スタンドを探して」とGeminiに依頼したりできます。充電待ち時間を活用するため、「充電中に目的地近くのカフェはある?」という複合的な問いにも対応します。Googleが2026年3月にGoogle MapsでのEV充電ナビ機能を発表しており、今回の車載Geminiとの連携として機能が深化した形です。
さらに「霧が多くて寒い」と話しかけると、Geminiが意図を解釈して暖房の温度上昇とデフロスターを作動させます。具体的な設定操作を言語化せず、状況を伝えるだけで車内環境を調整できる点は実用性が高いと思います。
展開予定とアクセス方法
Googleによれば、Geminiへのアップグレードは対象ユーザーへの通知から始まり、「ヘイGoogle」の呼びかけ、ホーム画面のマイクアイコン、またはステアリングホイールボタンで起動できます。今後は追加言語・追加国への対応とともに、Gmail、Googleカレンダー、Google Homeなどのアプリ連携も予定されています。
まとめ
GeminiのCars with Google built-in搭載は、車内AIアシスタントの体験を「コマンド入力」から「自然な会話」へと移行させる取り組みです。オーナーズマニュアルとの連携や状況把握による設定調整など、車に特化した活用が広がりつつあります。まずは米国英語でのロールアウトからスタートし、日本語対応の時期には注目したいところです。Geminiの各デバイスへの展開という観点では、スマートスピーカー向けに実装された継続会話機能の仕組みもあわせてご覧いただければと思います。
