[AIツール利用者向け]SpaceXAIが「Grok 4.5」を発表——コーディングとオフィス業務を高速・低コストでこなす新フラッグシップ

目次

はじめに

 SpaceXAIは2026年7月8日、コーディングやエージェント作業、知識労働向けの新フラッグシップモデル「Grok 4.5」を発表しました。同モデルはCursorと共同でトレーニングされており、実務レベルのソフトウェア開発タスクで高い性能を記録しています。本稿では、Grok 4.5の性能・設計思想・料金体系について、公式発表の内容をもとに解説します。

参考記事

  • タイトル: Introducing Grok 4.5
  • 発行元: SpaceXAI(公式ブログ)
  • 発行日: 2026年7月8日
  • URL: https://x.ai/news/grok-4-5

関連記事

あわせて読みたい
[開発者向け]xAIのコーディング特化モデル「grok-build-0.1」がAPI経由で公開——Grok Build CLIと同一... はじめに  xAIが2026年5月28日、エージェントコーディング向けに特化したモデル「grok-build-0.1」をxAI API経由でパブリックベータ公開しました。本稿では、このモデ...
あわせて読みたい
[開発者向け]xAIがターミナル用コーディングエージェント「Grok Build」をベータ公開——インストールか... はじめに  xAIが2026年5月14日、ターミナルから直接動作するコーディングエージェント「Grok Build」のアーリーベータをリリースしました。現在は SuperGrok Heavy サ...
あわせて読みたい
[ニュース解説]SpaceXがxAIを買収し史上最高額の民間企業に——マスク氏の宇宙ベースAI構想とは はじめに  イーロン・マスク氏が率いるSpaceXが、同氏のAI企業xAIを買収したことが2026年2月3日、BBC Newsによって報じられました。この統合により、SpaceXは評価額1兆...

要点

  • Grok 4.5は、コーディング・エージェントタスク・知識労働向けに設計されたSpaceXAIの新フラッグシップモデルであり、Cursorと共同でトレーニングされている
  • DeepSWE、SWE Marathon、Terminal Bench 2.1、SWE Bench Proなど複数のソフトウェア工学系ベンチマークで評価され、一部の指標では競合モデルを上回る結果を記録した
  • 出力トークン効率が高く、比較対象モデルよりも少ないトークン数でタスクを解決できるとされている
  • Grok Build(ターミナル向けコーディングエージェント)の標準モデルとなったほか、Excel・PowerPoint・Word向けのプラグインでもオフィス業務に対応する
  • 料金は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり6ドルに設定されている

詳細解説

実務エンジニアリング性能

 SpaceXAIによれば、Grok 4.5はコーディング・科学・工学・数学にまたがるデータセットで訓練されており、実際のエンジニアリングタスクで高い性能を発揮するとされています。DeepSWE 1.0(pass@1)では、Grok 4.5が62.0%を記録し、Opus 4.8(max)の55.75%やOpus 4.7(max)の40.12%を上回った一方、Fable(max)の66.1%やGPT 5.5(xhigh)の64.31%には届いていません。DeepSWE 1.1でも同様の傾向で、Fable(max)が70%と最上位に位置し、Grok 4.5は53%にとどまっています。

 一方で、SWE Marathon(解決率、pass@1)ではGrok 4.5が29.0%を記録し、Opus 4.8(max)の26.0%、Fable(max)の24.0%を上回って最上位となりました。Terminal Bench 2.1では83.3%と僅差の3位、SWE Bench Proでは64.7%という結果です。ベンチマークによって順位が入れ替わっていることから、Grok 4.5は特定のタスク領域で強みを持つモデルと考えられます。長時間かかるタスクの持続力を測るSWE Marathonでの好成績は、エージェントとして長く粘り強く作業を続ける能力に一定の強みがあることを示していると言えるでしょう。

開発の背景:データ品質とRLへの投資

 Grok 4.5は、数万台規模のNVIDIA GB300 GPUを用いてトレーニングされました。SpaceXAIは、単純なトークン量の増加だけでなく、重複排除・品質スコアリング・領域特化型の選定といったデータフィルタリングにも力を入れたとしています。また、強化学習(RL)については数十万件のタスクを対象に、複数ステップにわたるソフトウェア開発作業を中心として、自動採点とモデルベースの採点を組み合わせて実施したと説明されています。

 こうした手法は、1トークンあたりの「賢さ」を高めることを狙ったものです。長時間の非同期的なエージェント実行を可能にする学習基盤を整えることで、数万台規模のGPUを使いながら並行してエージェントのロールアウトを継続できる点が特徴だとされています。強化学習の規模と学習の持続時間を両立させる設計は、近年の大規模モデル開発における一つの潮流であり、実運用に近い長時間タスクへの対応力を重視する流れと重なると考えられます。

速度とコスト効率

 Grok 4.5は80TPS(秒間トークン数)という高速な応答速度で提供されており、SpaceXAIは主要な競合モデルと比較して2倍のトークン効率を実現しているとしています。具体的には、SWE Bench Proの1タスクあたりの平均出力トークン数がGrok 4.5で15,954トークンであるのに対し、Opus 4.8(max)は67,020トークンとされ、約4.2倍の差があると報告されています。

 トークン効率の高さは、応答速度の向上だけでなく、API利用コストの抑制にも直結します。同じタスクを少ないトークン数で解決できるという特性は、日常的にAPIを使う開発者や企業にとって、体感速度とコストの両面でメリットになると考えられます。

オフィス業務への展開

 Grok 4.5は、ターミナル向けコーディングエージェント「Grok Build」(こちらのベータ版でも解説しています)の標準モデルとなっています。コーディングだけでなく、Web上の情報を調査しながら複数シートにまたがる数式を組み込んだExcelモデルを構築したり、後から参照できるようメモを残したりする機能も備えているとのことです。

 PowerPointでは、ネイティブの図形機能を使った複雑な図の作成やスライド構成の設計に対応し、Wordでは読みやすい文章の作成も可能だとされています。SpaceXAIはWord・PowerPoint・Excel向けのプラグインも用意しており、Microsoft Officeの各アプリケーション内でGrok 4.5を直接利用できる環境が整えられています。コーディング性能の高いモデルがオフィス文書作成にも展開される流れは、開発者だけでなく一般的な知識労働者にとっても実用的な選択肢が広がることを意味していると言えるでしょう。

料金と利用開始

 料金体系は、入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり6ドルに設定されています。SpaceXAIは、比較対象となるモデルのおよそ2倍のトークン効率を持ち、タスクをより少ないステップ数で解決できる点を、コストパフォーマンスの高さの根拠として挙げています。

 Grok 4.5は、Grok Build、全プランのCursor、SpaceXAIコンソールから利用可能で、APIキーを取得すればすぐに利用を開始できます。モデル名は「grok-4.5」として指定する形式です。なお、EU圏ではSpaceXAIの各種製品およびAPIコンソールを通じたGrok 4.5の提供が現時点では行われておらず、提供開始は7月中旬を予定しているとのことです。

まとめ

 Grok 4.5は、コーディング・エージェント作業・オフィス業務を高速かつ低コストでこなすことを目指したSpaceXAIの新フラッグシップモデルです。ベンチマークによって得意分野が異なる点も含め、今後の実運用でどのような評価が定着していくか注目したいところです。コーディング特化モデルの実装面についてより詳しく知りたい方は、過去記事でも整理していますので、あわせてご覧いただければと思います。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次