[ニュース解説]GoogleのAIアシスタント「NotebookLM」が動画要約に対応!学習と共同作業を加速させる新機能とは

目次

はじめに

 本稿では、Googleが提供するAIリサーチアシスタント「NotebookLM」に新たに追加された機能について、Googleの公式ブログに掲載された記事「What’s new in NotebookLM: Video Overviews and an upgraded Studio」および「The inside story of building NotebookLM」を基に、その詳細と意義を分かりやすく解説します。

 今回のアップデートにより、アップロードした資料から動画形式で概要を生成する機能や、生成したコンテンツをより柔軟に管理できる機能が追加されました。

参考記事

要点

  • NotebookLMに、資料の内容をナレーション付きスライド形式の動画で要約する「Video Overviews(ビデオ概要)」機能が追加された
  • アウトプットを生成・管理する「Studioパネル」が刷新され、同じ種類のコンテンツ(音声概要、マインドマップなど)を一つのノートブック内に複数作成・保存できるようになった
  • これらの新機能は、複雑な情報の視覚的な理解を助け、チーム内での役割に応じた資料共有を容易にするなど、学習や共同作業の効率を向上させることを目的としている。

詳細解説

そもそもNotebookLMとは?

 まず、本稿のテーマである「NotebookLM」について簡単にご説明します。NotebookLMは、Googleが開発したパーソナライズ可能なAIリサーチアシスタントです。ユーザーが持っているPDFファイル、Googleドキュメント、テキストファイル、ウェブサイトのURLなどを「ソース(情報源)」としてアップロードすると、NotebookLMはその内容を理解し、ユーザーの質問に答えたり、要約やFAQリストを作成したりしてくれます。

 一般的なチャットAIと異なり、あくまでアップロードされた資料の内容に基づいて応答を生成するため、より信頼性の高い、事実に基づいた情報整理や分析が可能になるのが大きな特徴です。

新機能1:視覚的な理解を促進する「Video Overviews」

 今回のアップデートで最も注目すべき機能が「Video Overviews(ビデオ概要)」です。これは、ソースとしてアップロードした資料の内容を基に、AIがナレーション付きのスライド形式の動画を自動で生成してくれる機能です。

 これまでも、資料の内容をAIアシスタント同士が対話するポッドキャスト風の音声で解説してくれる「Audio Overviews(音声概要)」という機能がありましたが、Video Overviewsはこれに視覚的な要素を加えたものと言えます。AIは、解説のポイントを補足するための新しいビジュアルを生成するだけでなく、元の資料に含まれる画像、図、グラフ、引用文なども動画内に効果的に配置してくれます。

 これにより、以下のような場面で特に有効です。

  • データの解説: 数値やグラフが示す意味を、視覚的に分かりやすく説明する。
  • プロセスの実演: 手順や流れを図解しながら解説する。
  • 抽象的な概念の具体化: 言葉だけでは伝わりにくい概念を、イラストや図で具体的に示す。

 また、この機能はカスタマイズ性も備えています。動画を生成する際に、「このトピックに焦点を当てて」「この学習目標を達成したい」「対象者は専門家です」といったように、目的や視聴者に合わせて内容を調整するようAIに指示することができます。

 この機能は2025年7月31日現在、英語のユーザー向けに展開が開始されており、今後、他の言語への対応も予定されています。

新機能2:柔軟性が向上した「Studioパネル」のアップグレード

 もう一つの大きなアップデートは、「Studioパネル」の機能向上です。Studioパネルは、前述のVideo OverviewsやAudio Overviews、あるいはマインドマップや学習ガイドといった、NotebookLMが生成する様々な形式のアウトプットを作成・管理する場所です。

 これまでの課題として、一つのノートブック(プロジェクト)につき、各種類のアウトプットは一つしか作成・保存できませんでした。例えば、ある論文に関する音声概要を一つ作ると、別の切り口での音声概要を追加で作成・保存することができなかったのです。

 今回のアップグレードにより、この制限がなくなり、同じ種類のアウトプットを一つのノートブック内に複数作成して保存できるようになりました。これにより、NotebookLMの活用方法が大きく広がります。

  • グローバルな情報共有: 一つの資料から、複数の言語で音声概要を作成し、世界中の人にアクセスしやすくする。
  • チームでの効率的な共同作業: チームの共有資料から、エンジニア向け、デザイナー向け、営業向けなど、役割ごとにカスタマイズされた動画概要や音声概要を作成する。
  • 効率的な学習: 試験勉強のために、教科書の章ごとにマインドマップや学習ガイドを作成し、整理する。

 Studioパネルの見た目も新しくなり、画面上部に「音声概要」「ビデオ概要」「マインドマップ」「レポート」の4つのタイルが配置され、作成したコンテンツはすべてその下にリスト表示されるようになりました。これにより、目的の機能に素早くアクセスし、生成したコンテンツを簡単に管理できます。

まとめ

 今回のNotebookLMのアップデートは、AIによる情報整理と理解を、新たな次元へと引き上げるものです。「Video Overviews」は、複雑な情報を視覚的に分かりやすく変換することで、私たちの理解を助けてくれます。また、刷新された「Studioパネル」は、個人の学習からチームでの共同作業まで、より多様なニーズに柔軟に応えることを可能にしました。

 Googleは、NotebookLMを開発するにあたり、ユーザーからのフィードバックを非常に重視してきたと述べています。今回の機能追加も、ユーザーが情報をより深く、そして多角的に理解・共有したいという要望に応えた結果と言えるでしょう。今後もさらなる動画フォーマットの追加などが計画されており、NotebookLMが私たちの知的な活動をどのようにサポートしていくのか、引き続き注目されます。

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