[開発者向け]GitHub Copilotの真価:IDEの外で開発ワークフローを加速する方法

目次

はじめに

 多くの開発者が統合開発環境(IDE)でコード補完ツールとして利用しているGitHub Copilotですが、その能力はIDE内に留まりません。実は、github.comのウェブサイト上で直接利用できるGitHub Copilotには、プロジェクト管理やチーム連携、迅速なプロトタイピングといった、まったく異なる側面を支援する強力な機能が備わっています。

 本稿では、IDEを離れてgithub.com上でCopilotを最大限に活用するための具体的な方法を公式ブログの内容をもとに解説します。

参考記事

要点

  • github.com上のCopilotは、IDE不要で利用できるAI搭載のコマンドセンターである。
  • スクリーンショットをドラッグ&ドロップするだけで、バグ報告のIssueを自動で作成可能である。
  • 作成したIssueをAIエージェントに割り当て、コードの修正案(Pull Request)を自動で作成させることができる。
  • GitHub Spark機能を使い、ブラウザ上で動作するプロトタイプを迅速に構築・共有できる。
  • タスクに応じてGPT-4.1やClaude 4など、複数のAIモデルを会話の途中で切り替えて利用できる。
  • プロジェクト管理はWeb、詳細な実装はIDEというように、双方を戦略的に使い分けることで開発ワークフロー全体が効率化される。

詳細解説

 github.com上で提供されるGitHub Copilotは、単なるコード補完ツールではなく、開発の司令塔とも言える役割を果たします。特別な拡張機能のインストールは不要で、github.com/copilotにアクセスするだけで、すぐに使い始めることができます。ここでは、その具体的な活用方法を解説します。

スクリーンショットからIssueを自動作成する

 ユーザーから送られてきたバグレポートのスクリーンショットを見て、手動でIssueを作成するのは手間がかかります。github.comのCopilotを使えば、この作業を自動化できます。

手順:

  1. バグのスクリーンショット(例:UIの表示崩れ)を撮影します。
  2. github.com/copilot のチャット画面に、その画像をドラッグ&ドロップします。
  3. 以下のようなプロンプト(指示文)を入力します。

‘bug’ラベルを付けて新しいIssueを作成してください。このスクリーンショットを使い、重なっている矢印アイコンについて説明してください。このリポジトリのUI issueテンプレートを適用してください。

 

 これだけで、Copilotが画像を解析し、適切なタイトルと詳細な説明文を生成します。さらに、指示通りにラベルを付け、リポジトリに設定されているIssueテンプレートを適用した上で、Issueを起票してくれます。手作業で転記するよりも速く、見落としがちな細部まで記述してくれることがあります。

AIエージェントにタスクを任せる

 Issueを作成した後は、その修正作業をCopilotのAIエージェントに任せることができます。AIエージェントとは、自律的にタスクを分析し、解決策を実行しようとするAIプログラムを指します。

手順:

  1. Issueを作成したチャットのスレッドで、Copilotに次のように指示します。

このIssueにあなた自身を割り当てて、修正案を作成してください。

  1. 指示を受けたエージェントは、コードベースを分析して問題の根本原因を特定し、修正を含むプルリクエスト(Pull Request)の草稿を自動で提出します。

 この機能は、定型的なバグ修正、ドキュメントの更新、ライブラリなどの依存関係のアップグレードといった作業に適しています。より複雑な機能開発については、従来通りIDEでの手動開発が推奨されますが、ルーチンワークをAIに任せることで、開発者はより創造的な作業に集中できます。

GitHub Sparkで素早くプロトタイプを作成する

 新しいコンポーネントの動作確認や、デザイン案の検証が必要な場合、IDEを立ち上げずにブラウザ上で完結するGitHub Sparkが役立ちます。(なお、GitHub Sparkは2025年9月1日現在だと、まだすべてのユーザーが限定的なユーザーのみ利用が可能なツールとなっています。)

手順:

  1. Copilotのチャットで、作成したいものの仕様を伝えます。

APIの料金プランページの機能比較表を作成してください。Free、Pro、Enterpriseの3つのプランで、各機能が利用可能かチェックマークで示してください。

  1. 数分で、実際に動作するコードとライブプレビューが生成されます。
  2. 生成されたコードはSpark上で直接編集できるほか、GitHub CodespacesやローカルのVS Codeで開いてさらに作り込むことも可能です。完成したプロトタイプは、リンク一つでチームメンバーと簡単に共有できます。

最適なAIモデルを選択・比較する

 github.com上のCopilotでは、複数のAIモデルを切り替えながら利用できます。それぞれのモデルには得意分野があり、タスクに応じて最適なものを選択することで、より質の高い回答を得られます。

モデル最適な用途
GPT-4.1一般的なコーディングと論理的推論
Claude Sonnet 4構造化された文章作成、リファクタリング、文脈が重要なタスク
Opus 4創造性、エッジケースの発見、代替案の提案

 チャット画面でモデル名をクリックするだけで、簡単にモデルを切り替えられます。同じ質問を異なるモデルに投げかけて回答を比較することで、より多角的な視点から問題を検討したり、AIの誤り(ハルシネーション)を減らしたりすることができます。

WebとIDEを戦略的に使い分ける

 Copilotの真価は、github.comとIDEを連携させて使うことで発揮されます。それぞれが得意な領域を担当させることで、開発ワークフロー全体を最適化できます。

タスクgithub.comの役割IDEの役割
プロジェクト連携複数リポジトリを横断した状況把握単一コードベースへの集中
Issue管理Issueの作成と担当者の割り当て解決策の実装
エージェント作業AIエージェントによる非同期の自動化リアルタイムでの共同作業
プロトタイピング素早いデモ作成と共有詳細なデバッグ

 例えば、「github.comでプロジェクトの議論を始め、Sparkで解決策のプロトタイプを作り、チームメンバーにIssueを割り振る。その後、VS Codeに切り替えて詳細な実装を行う」といった流れが考えられます。

まとめ

 本稿では、GitHubのブログ記事を基に、github.com上でGitHub Copilotを活用する方法を解説しました。

 github.com上のCopilotは、もはや単なるコード補完ツールではありません。スクリーンショットからのIssue作成、AIエージェントによる自動修正、Sparkでの迅速なプロトタイピングといった機能を駆使することで、開発ワークフロー全体を調整・効率化するオーケストレーターとして機能します。

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