[ニュース解説]Autodeskが1,000人削減を発表——AI投資強化の一方で進む人員削減の実態

目次

はじめに

 設計・エンジニアリング向けソフトウェアを提供するAutodeskが、2026年1月23日に全従業員の約7%にあたる1,000人の削減を発表しました。Los Angeles Timesが同日報じた内容によれば、AI分野でのリーダーシップ拡大を含む「戦略的シフト」が理由とされています。本稿では、この発表の背景と影響について解説します。

参考記事

要点

  • Autodeskは全従業員の7%にあたる約1,000人の削減を発表した
  • AI分野でのリーダーシップ拡大を含む「戦略的シフト」が理由とされている
  • 顧客対応営業職が大きな影響を受け、削減で得られたコスト削減分は2027年1月期までの優先事項に再投資される
  • CEOは「AIによる人員置き換えが目的ではない」と従業員に説明している
  • 2025年にも約1,350人(9%)を削減しており、カリフォルニアの技術企業で連続するレイオフの一例となっている

詳細解説

削減の規模と対象部門

 Los Angeles Timesによれば、サンフランシスコを拠点とするAutodeskは、建築家、デザイナー、エンジニア向けのソフトウェアを提供する企業です。同社は1月23日、従業員に対して約1,000人の削減を通知しました。これは全従業員の約7%に相当します。

 米国証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、今回の削減では「顧客対応営業」職が大きな影響を受けるとされています。削減によって得られるコスト削減分は、2027年1月期までの会社の優先事項に再投資される計画です。

 カリフォルニア雇用開発局への通知書によれば、サンフランシスコ本社では4月に約104人が削減される予定です。同社は米国外にも欧州やアジアに拠点を持っていますが、カリフォルニア以外での削減人数は公表していません。

AI投資との関係—CEOの説明

 Andrew Anagnost最高経営責任者兼社長は、1月23日に従業員向けに送付した電子メールの中で、今回の削減の理由について説明しています。同CEOによれば、AIが生成するコード、テキスト、画像の台頭によって技術が労働者を代替するのではないかという懸念が高まっている中、「これらの変更は外部環境やAIによる人員置き換えの試みによって推進されているわけではない」と強調しました。

 CEOはさらに、「技術はそれを使う人々と同じくらい強力であり、人間が常に方程式の最も重要な部分であるという信念を堅持している」と述べ、「これがAutodeskで年次プロセスになることはない」と従業員に伝えています。

 一方で、同社は「戦略的シフト」の一環として、AI分野でのリーダーシップ拡大に焦点を当てていることも明らかにしています。この表現から、AI技術への投資と研究開発の強化が経営の優先事項になっていると考えられます。

ビジネスモデルの変更

 Autodeskは、顧客がソフトウェアのサブスクリプションを購入・更新する方法を変更し、顧客に対してAutodeskへ直接支払いを求めるようになりました。

 この変更は、販売チャネルの再編成を意味すると思われます。従来、再販業者やパートナー経由での販売が中心だった場合、直接販売モデルへの移行によって営業部門の役割や規模が変化する可能性があります。今回、顧客対応営業職が大きな影響を受けるとされている背景には、このビジネスモデルの転換があると考えられます。

カリフォルニア技術企業の連続するレイオフ

 Los Angeles Timesは、Autodeskが2026年に入って大規模な削減を発表したカリフォルニアの技術企業の最新例であると報じています。同社は2025年にも、地政学的・マクロ経済的要因とAI投資を理由に、約1,350人(全従業員の約9%)の削減を実施していました。

 同記事によれば、FacebookとInstagramの親会社であるMetaも、ウェアラブル機器への投資を強化する中で、1,000人以上の従業員を削減しています。特にメタバース関連の業務に従事していた従業員が大きな影響を受けたとされています。

 このように、カリフォルニアを拠点とする大手技術企業では、2025年に削減を実施した後も2026年に入ってさらなる人員削減を行うケースが見られます。AI技術への投資強化と並行して人員構成の見直しが進んでいる状況と言えます。

業績との関係

 Los Angeles Timesによれば、2025年10月期の第3四半期において、Autodeskの収益は前年同期比18%増の18.5億ドルに達しました。同期の純利益は3.43億ドルで、前年同期の2.75億ドルから増加しています。

 収益と利益が増加している中での大規模な人員削減という組み合わせは、一見矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、企業が成長戦略の一環として事業構造を再編成し、より収益性の高い分野へ資源を集中させる過程では、このような動きが起こり得ます。Autodeskの場合、AI技術への投資とビジネスモデルの転換を進める中で、営業部門の役割や規模を見直していると考えられます。

まとめ

 Autodeskは、AI分野でのリーダーシップ拡大を含む戦略的シフトを理由に、全従業員の7%にあたる約1,000人の削減を発表しました。CEOはAIによる人員置き換えではないと説明していますが、2025年に続く大規模削減であり、カリフォルニアの技術企業における人員再編の動きを示す一例となっています。業績が好調な中での削減は、企業が将来の成長領域へ資源を集中させる過程で起きていると思われます。

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