[ニュース解説]Amazon、16,000人削減でAI推進と効率化を加速──企業部門の約10%に影響

目次

はじめに

 Reutersが2026年1月29日、Amazonが企業部門で16,000人の人員削減を確認したと報じました。これは2025年10月以降で合計約30,000人の削減計画を完了するもので、同社の企業部門従業員の約10%に相当します。本稿では、この大規模人員削減の背景にあるAI活用と効率化戦略、影響を受ける事業領域について解説します。

参考記事

要点

  • Amazonは企業部門で16,000人の削減を確認し、2025年10月以降で合計約30,000人の削減計画を完了した
  • この削減は企業部門従業員の約10%に相当し、同社30年の歴史で最大規模である
  • Fresh食料品店とGo店舗の残存店舗をすべて閉鎖し、Amazon One生体認証決済システムも中止する
  • AI技術の進歩が企業の労働力動態を変化させており、AIアシスタントが定型業務から複雑なコーディング問題まで高速かつ正確に実行できるようになっている
  • AWS、Alexa、Prime Video、デバイス、広告、ラストマイル配送など複数の部門が影響を受けている

詳細解説

削減の規模と経緯

 Amazonによれば、今回の16,000人削減により、2025年10月以降の人員削減計画が完了したとのことです。Amazonの総従業員数は約158万人ですが、その大部分はフルフィルメントセンターや倉庫の従業員であり、今回の削減は主に企業部門を対象としています。企業部門の従業員数に対して約10%という削減率は、2022年後半から2023年初頭にかけて実施された27,000人削減を上回る、同社史上最大規模の人員整理となります。

 最高人事責任者のBeth Galettiは投稿の中で、この人員削減がAmazonを強化するために「階層を減らし、オーナーシップを高め、官僚主義を取り除く」ために必要だったと説明しています。一方で、一部のチームは今後も「適切に調整を続ける」と述べており、さらなる削減の可能性も示唆されています。

閉鎖される事業と撤退戦略

 Reutersによれば、Amazonは1月28日に残存するFresh食料品店とGo店舗をすべて閉鎖すると発表しました。これらの実店舗事業には長年取り組んできましたが、撤退を決定したとのことです。また、顧客の手のひらをスキャンする生体認証決済システム「Amazon One」も中止することを明らかにしました。

 これらの撤退は、Andy Jassy CEOの下で進められている不採算事業の整理という戦略の一環と考えられます。COVID-19パンデミック期にオンラインショッピングの需要が急増した際、Amazonは大幅に人員を増やしましたが、需要が正常化した現在、事業の選択と集中を進めている状況です。

AI技術が企業の労働力に与える影響

 Reutersは、今回の人員削減がAI技術の進歩によって企業の労働力動態がどのように変化しているかを浮き彫りにしていると指摘しています。AIアシスタントの大幅な改善により、企業は定型的な管理業務から複雑なコーディング問題まで、高速かつ正確に実行できるようになり、広範な導入が進んでいます。

 Jassy CEOは昨年夏、AIツールの利用増加により業務の自動化が進み、企業部門の雇用喪失につながると述べていました。ダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会では、経営幹部らが「雇用は消失するが新しい雇用も生まれる」と語り、一部の幹部は「AIが、いずれにせよ人員削減を計画していた企業の口実として使われる」とReutersに述べたとのことです。この指摘は、AI導入が企業のリストラ戦略とどのように結びついているかという、より広い文脈を示していると思います。

影響を受ける部門と「Project Dawn」

 Reutersによれば、削減の全体像は明らかになっていませんが、AWS(Amazon Web Services)の複数部門、Alexa音声アシスタント、Prime Video、デバイス、広告、ラストマイル配送などの従業員がオンラインやReutersへのメールで影響を受けたと示したとのことです。さらに、Kindleやフルフィルメントユニット内のサプライチェーン最適化グループの役職も影響を受けています。

 興味深いのは、Amazonが1月28日に一部のAWS従業員に対し、削減計画を「Project Dawn」と呼ぶと思われるメールを誤って送信したことです。この手違いにより、数千人の従業員が動揺する事態となりました。このような内部コード名の存在は、企業が大規模なリストラを計画的に進める際の組織的なプロセスを示していると考えられます。

テック業界全体の動向と今後の見通し

 Reutersは、AmazonだけでなくMeta Platforms(Facebookの親会社)やMicrosoftなどのテック大手が、COVID-19パンデミック期の需要急増時に大幅に人員を増やし、最近はリストラを進めていると報じています。UPS、Pinterest、ASMLも直近で人員削減を発表しており、業界全体でこうした動きが見られます。

 Amazonは倉庫でのロボット技術への投資を進めており、eコマース部門の梱包と配送を高速化し、人的労働への依存を減らし、コストを削減しようとしています。これは、単なる人員削減ではなく、業務プロセス全体の自動化と効率化を目指す包括的な戦略の一部と言えます。

 Galettiは「これが新しいリズムの始まりで、数か月ごとに大規模な削減を発表するのかと疑問に思う方もいるかもしれません」としながらも、「それは私たちの計画ではありません」と述べています。ただし、一部チームが今後も調整を続けるとしており、完全に削減が終了したわけではない点には注意が必要と思います。

まとめ

 Amazonの16,000人削減は、AI技術の進歩と効率化戦略が企業の労働力構造をどのように変えているかを示す象徴的な事例と考えられます。Fresh店舗やAmazon Oneといった不採算事業からの撤退も含め、同社は選択と集中を進めています。テック業界全体で同様の動きが見られる中、AI導入が企業のリストラにどのような影響を与えるかは、今後も注目すべきテーマと言えます。

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