はじめに
Google Workspaceが2025年12月5日、22歳から39歳の若手リーダーを対象としたAI利用調査の結果を発表しました。Harris Pollと共同で実施されたこの調査では、若手世代がビジネスシーンでAIをどう活用し、何を求めているかが明らかになっています。本稿では、この調査結果をもとに、若手リーダーのAI利用における3つの主要傾向について解説します。
参考記事
- タイトル: New research from Google Workspace reveals how young leaders are using AI at work.
- 発行元: Google Workspace Blog
- 発行日: 2025年12月5日
- URL: https://blog.google/products/workspace/young-leaders-survey-ai/
要点
- Google WorkspaceとHarris Pollの共同調査により、22歳から39歳の若手リーダーのAI利用実態が明らかになった
- 92%の若手リーダーがパーソナライズされたAI応答を求めており、90%がパーソナライズされた応答があればAIを使いたいと回答している
- 若手リーダーは自分のワークフローに合わせてAIを積極的に活用する「AIアーキテクト」としての役割を担っている
- AIツールは若手リーダーの職場での自信を高め、専門性開発のツールとして活用されている
詳細解説
パーソナライズへの強い需要
Google Workspaceによれば、調査対象となった若手リーダーの92%がパーソナライズされたAI応答を求めていることが判明しました。具体的には、90%が「パーソナライズされた応答が得られるならAIを使いたい」と回答し、89%が「AIが自分の個人的なトーンやスタイルを捉えられるなら、携帯電話から長文メールを送ることに抵抗がなくなる」と答えています。
この結果は、若手世代が単なる汎用的な回答ではなく、自分の表現スタイルや好みに合わせた出力を重視していることを示しています。ビジネスコミュニケーションにおいて、個人のトーンや文体は信頼関係構築に重要な要素であり、AIがこの領域をサポートできれば、より効率的で質の高いコミュニケーションが可能になると考えられます。
「AIアーキテクト」としての積極的活用
調査では、若手リーダーが自分のワークフローに合わせてAIを設計・活用する「AIアーキテクト」としての役割を担っていることが明らかになりました。これは、受動的にツールを使うのではなく、自分の業務プロセスに最適化する形でAIを組み込んでいることを意味します。
従来のソフトウェアツールでは、提供される機能をそのまま利用することが一般的でしたが、生成AIの登場により、プロンプト設計や出力調整を通じて、各個人が自分に最適化された使い方を構築できるようになりました。この「ハンズオン」なアプローチは、若手世代がテクノロジーに対して能動的に関わる姿勢を持っていることを示していると思います。
職場での自信と専門性開発のツールとして
Google Workspaceの発表では、AIが若手リーダーの職場での自信を高めていることも報告されています。具体的には、AIを専門性開発(professional development)のツールとして活用する傾向が強まっているとのことです。
この点は、AIが単なる作業効率化ツールにとどまらず、スキル向上や能力開発の支援ツールとしても機能していることを示唆しています。例えば、文章作成の際にAIの提案を参考にすることで表現力を学んだり、データ分析の手法をAIとの対話を通じて習得したりするといった活用が考えられます。若手世代にとって、AIは「仕事を代替するもの」ではなく「成長を支援するパートナー」として位置づけられている可能性があります。
調査の背景と今後の展望
今回の調査は、Google WorkspaceがHarris Pollと提携して実施した2回目の調査です。Google Workspace VP of ProductのYulie Kwon Kim氏による詳細な見解は、プレスリリースで公開されています。
若手リーダー層のAI利用に関する具体的なデータが蓄積されることで、企業のAIツール導入や機能開発の方向性がより明確になると考えられます。特にパーソナライズ機能への強い需要は、今後のAIアシスタント開発において重要な指針となると思います。
まとめ
Google Workspaceの調査により、若手リーダーがパーソナライズされたAI応答を強く求めており、自分のワークフローに合わせてAIを積極的に設計・活用していることが明らかになりました。また、AIは単なる効率化ツールではなく、職場での自信や専門性開発を支援するツールとしても機能しています。こうした若手世代の利用傾向は、今後のビジネス向けAIツールの開発方向性に大きな影響を与えると考えられます。
