Googleの動画生成AI「Veo 3」が価格改定と新機能(縦型動画・1080p)を発表

目次

はじめに

 近年、テキストや画像から動画を生成するAI技術が急速に進化しています。その中でも注目を集めているGoogleの動画生成AIモデル「Veo 3」および「Veo 3 Fast」について、重要なアップデートが発表されました。

 本稿では、Google Developers Blogの「Veo 3 and Veo 3 Fast – new pricing, new configurations and better resolution」という記事を基に、今回のアップデートで発表された価格改定、新機能、そして具体的な利用方法について解説します。

参考記事

要点

  • 利用価格が大幅に引き下げられ、Veo 3は$0.40、Veo 3 Fastは$0.15になった
  • モバイルやSNS向けの縦型動画(9:16アスペクト比)と、より高品質な1080p HD解像度の出力に新たに対応したことである。
  • これらの新機能は、APIのパラメータを追記するだけで簡単に利用可能であること。

詳細解説

より利用しやすくなった新しい価格設定

 今回のアップデートで、利用価格が大幅に引き下げられました。具体的な価格変更は以下の通りです。

モデル旧価格(1秒あたり)新価格(1秒あたり)値下げ率
Veo 3$0.75$0.40約47% OFF
Veo 3 Fast$0.40$0.15約62.5% OFF

 この価格改定により、個人開発者から企業まで、より多くのユーザーが高品質な動画生成AIを試したり、サービスに導入したりする際の経済的なハードルが大きく下がりました

待望の新機能:縦型動画とHD画質への対応

 現代のコンテンツ消費の主流に合わせて、2つの実用的な新機能が追加されました。

1. 縦型動画(9:16アスペクト比)のサポート

 スマートフォンでの視聴が一般的なSNS(YouTubeショート、TikTok、Instagramリールなど)に最適な、縦型フォーマットの動画を生成できるようになりました。

 APIでリクエストを送る際に、aspectRatio パラメータを ‘9:16’ に設定するだけで、簡単に縦型動画を出力できます。

2. 1080p HD解像度のサポート

 より高画質でプロフェッショナルな映像制作のニーズに応えるため、1080pのHD解像度での出力が可能になりました。

 こちらも同様に、resolution パラメータを ‘1080p’ に設定するだけで、精細でクリアな動画を生成できます。

Pythonによる具体的な実装方法

 これらの新機能を利用する方法を解説します。以下のコードは、最新のgoogle-genaiライブラリをインストールすることで実行できます。

# 必要なライブラリをインポートします
import time
from google import genai
from google.genai import types


# APIクライアントを初期化します
client = genai.Client()


# 動画生成処理を開始します
operation = client.models.generate_videos(
    # 使用するモデルを指定します(高速版のVeo 3 Fast)
    model="veo-3.0-fast-generate-001",
   
    # 動画の内容を指示するプロンプト
    prompt="a close-up shot of a golden retriever playing in a field of sunflowers",
   
    # 生成に関する設定
    config=types.GenerateVideosConfig(
        # ネガティブプロンプト(生成してほしくない要素)
        negative_prompt="barking, woofing",
       
        # 【新機能】アスペクト比を9:16(縦型)に設定
        aspect_ratio="9:16",
       
        # 【新機能】解像度を1080pに設定(720pも指定可能)
        resolution="1080p",
    ),
)


# 動画の生成が完了するまで待機します
print("動画生成を開始しました。完了までお待ちください...")
while not operation.done:
    time.sleep(20) # 20秒ごとに進捗を確認
    operation = client.operations.get(operation)
    print(operation)


print("動画生成が完了しました。")


# 生成された動画を取得します
generated_video = operation.response.generated_videos[0]


# ファイルとして保存します
# client.files.download(file=generated_video.video) # 必要に応じてダウンロード
generated_video.video.save("golden_retriever.mp4")


print("動画を 'golden_retriever.mp4' として保存しました。")

 このように、`config` の中で `aspect_ratio` と `resolution` を指定するだけで、新しいフォーマットの動画を簡単に生成できることがわかります。また、生成処理は非同期で行われ、`operation.done`で完了を確認する仕組みになっています。

生成された動画の権利と透かし

 Veo 3によって生成されたすべての動画には、人間の目には見えないデジタル透かし「SynthID」が含まれます。これは、コンテンツがAIによって生成されたものであることを識別するための技術です。

まとめ

 今回のアップデートにより、より手頃な価格で、かつより実用的なフォーマット(縦型動画、HD画質)で利用できるようになりました。開発者やクリエイターにとって、表現の可能性を大きく広げる強力なツールとなることが期待されます。今後、SNSコンテンツ制作、広告、映像制作のプリビジュアライゼーション(事前視覚化)など、様々な分野での活用が加速することが予想されます。

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