[AIツール利用者向け]Google検索の新機能とメディアパートナーシップ拡大──信頼できる情報源との接続を強化

目次

はじめに

 Googleが2025年12月10日、検索サービスとニュース配信における新機能の展開と、メディアパートナーシップの拡大を発表しました。本稿では、この発表内容をもとに、ユーザーが信頼する情報源との接続を強化する新機能と、AI時代に対応した報道機関との協業プログラムについて解説します。

参考記事

・本稿中の画像に関しては特に明示がない場合、引用元記事より引用しております。
・記載されている情報は、投稿日までに確認された内容となります。正確な情報に関しては、各種公式HPを参照するようお願い致します。
・内容に関してはあくまで執筆者の認識であり、誤っている場合があります。引用元記事を確認するようお願い致します。

要点

  • Preferred Sources機能が英語圏でグローバル展開され、来年初頭には全対応言語で利用可能になる
  • ニュースサブスクリプションからのリンクをGeminiアプリとAI Overviewsで優先表示する新機能が導入される
  • AI ModeとWeb Guideの改善により、ウェブサイトへのリンク表示が強化される
  • Google Newsでは、Der SpiegelやThe Washington Postなど世界の主要メディアと新たなAIパイロットプログラムを開始した
  • 過去数年で50か国以上、3,000以上の出版物やコンテンツプロバイダーとの商業パートナーシップを構築している

詳細解説

Preferred Sourcesのグローバル展開

 Googleによれば、検索結果のTop Storiesをカスタマイズできる「Preferred Sources」機能が、数日以内に英語圏のユーザー全体で利用可能になります。この機能は、ユーザーが信頼するニュースメディアやサイトを優先的に表示するもので、2026年初頭には全対応言語に拡大される予定です。

 同社の発表では、すでに約90,000のユニークなソース(ローカルブログから世界的なニュースメディアまで)がPreferred Sourcesとして選択されており、選択したサイトへのクリック率は平均で2倍になっているとのことです。この機能により、メディア側は読者との関係性を強化し、安定した流入を確保できると考えられます。

サブスクリプション購読者への優遇表示

 新たに導入される機能として、ユーザーが購読しているニュースメディアからのリンクを目立たせる仕組みが発表されました。この機能は数週間以内にGeminiアプリで先行展開され、その後AI OverviewsとAI Modeにも実装される予定です。

 購読メディアのリンクは専用のカルーセル形式で表示され、優先的に配置されます。これは、有料購読者がサブスクリプションから得られる価値を高めるとともに、信頼できる情報源へのアクセスを促進する取り組みと言えます。

AI機能におけるリンク表示の改善

 Googleは、AI Modeでのインラインリンク数を増やし、リンクデザインを改善すると発表しました。特に注目すべき変更として、AI Mode内の埋め込みリンクに「コンテクスチュアルイントロダクション」が追加されます。これは、そのリンク先を訪問することが有用である理由を説明する短い文章です。

 この改善により、ユーザーはAIが生成した回答からウェブサイトへとスムーズに移行できるようになります。従来のAI回答では、情報源へのアクセスが分かりにくいという指摘がありましたが、この更新はその課題に対応するものと考えられます。

Web Guideの高速化と拡大

 Web Guide機能は、複雑で開放的な検索クエリに対して、AIを活用してリンクを有用なトピックグループに整理する機能です。Googleによれば、この機能は処理速度が2倍に向上し、実験にオプトインしているユーザーの「すべて」タブでより多くの検索に表示されるようになりました。

 Web Guideは、ユーザーがこれまで発見していなかったリンクを見つけることを支援する機能として位置づけられています。情報が多様化する中で、関連性の高いウェブサイトを効率的に発見する手段として、今後の展開が注目されます。

報道機関との新たなパートナーシップ

 Googleは、Der Spiegel(ドイツ)、El País(スペイン)、Folha de S. Paulo(ブラジル)、The Guardian(英国)、The Washington Post(米国)など、世界各国の主要メディアとAIパイロットプログラムを開始しました。

 このプログラムでは、Google Newsの参加出版物ページにAI生成の記事概要を表示し、ユーザーがクリックする前により多くのコンテクストを提供する実験を行います。また、音声ブリーフィング機能も試験的に導入されます。これらの機能では、明確な出典表示と記事へのリンクが含まれる予定です。

 さらに、Estadão、Antara、Yonhap、The Associated Pressなどの通信社とも提携し、Geminiアプリにリアルタイム情報を統合する取り組みを進めています。過去数年間で、同社は50か国以上、3,000以上の出版物やコンテンツプロバイダーと商業パートナーシップを結んでおり、コンテンツ利用権やAPI経由でのコンテンツ配信に対して対価を支払っています。

まとめ

 Googleは、ユーザーが信頼する情報源との接続を強化する複数の新機能と、報道機関との協業拡大を発表しました。Preferred Sourcesのグローバル展開、サブスクリプション優遇表示、AI機能でのリンク改善により、ウェブエコシステム全体の活性化を目指しています。AI時代における情報配信のあり方として、プラットフォームとメディアの関係性がどのように進化していくか、今後の展開に注目したいと思います。

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