はじめに
本稿では、Googleの公式ブログで発表されたGoogleフォトの新しいアップデートについて解説します。今回のアップデートでは、最新の動画生成AIモデル「Veo 3」を搭載した機能や、各種の生成AI機能を集約した「Create」タブが追加され、写真や動画の楽しみ方が大きく変わる可能性があります。
なお、2025年9月5日現在は、まだ日本では利用できませんので、ご注意ください。
参考記事
- タイトル: Veo 3 comes to Google Photos. Try it in the new Create tab.
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2025年9月4日
- URL: https://blog.google/products/photos/google-photos-create-tab-editing-tools/
要点
- Googleフォトに、生成AI機能などを集約した新しい「Create」タブが導入される。
- 静止画から動画を生成する「Photo to video」機能が、Googleの最新動画生成モデル「Veo 3」によって強化される。
- ユーザーは写真を選び、簡単な指示(プロンプト)を選択するだけで、高品質な短い動画クリップを作成可能である。
- 無料ユーザーは1日に生成できる回数に制限があり、有料プラン「Google AI Pro」および「Ultra」の登録者はより多くの回数を生成できる。
- 「Create」タブは、まず米国で利用可能になる。
詳細解説
今回のアップデートの核心は、「Create」タブの新設と、そこに搭載される「Veo 3」による機能強化です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
創造性の拠点となる「Create」タブ
これまでGoogleフォトの編集機能は様々な場所に分散していましたが、新たに追加される「Create」タブは、いわば「クリエイティブ機能の拠点」です。このタブには、AIを活用したユニークな作品を手軽に作れる機能が集約されており、ユーザーは目的のツールを簡単に見つけ、新しい表現を発見できます。
Googleによると、「Create」タブには以下の機能が含まれます。
- Photo to video(Veo 3で強化): 静止画に動きを加えて短い動画クリップを生成します。今回のアップデートで最も注目すべき機能です。
- Remix: あなたの写真をアニメ、コミック、スケッチ、3Dアニメーションといった様々なスタイルに再創造します。
- Collage: 複数の写真を選び、デザインやレイアウトをカスタマイズして一枚のコラージュ画像を作成します。
- Highlight videos: 「母」や「パリ」といったキーワードで検索するだけで、関連する写真やクリップを集め、音楽付きのモンタージュ動画を自動で作成します。
- Cinematic photos: 写真を3D化し、まるで映画のワンシーンのような奥行きと動きのある表現に変換します。
- Animations: 複数の静止画を組み合わせて、アニメーションGIFを作成します。
最新AIモデル「Veo 3」が写真に命を吹き込む
今回のアップデートで技術的な核となるのが、「Veo 3」です。これはGoogleが開発した最先端の動画生成AIモデルで、テキストや画像から非常に高品質でリアルな動画を生成する能力を持っています。
この「Veo 3」が、既存の「Photo to video」機能に統合されることで、ユーザーは自身の静止画から、これまで以上に滑らかで質の高い動画を生成できるようになります。
使い方は非常にシンプルです。「Create」タブから「Photo to video」を選び、動かしたい写真を選択します。その後、「Subtle movement(繊細な動き)」または「I’m feeling lucky(おまかせ)」という2つのプロンプトから1つを選ぶだけで、AIが自動的に写真に命を吹き込み、短い動画クリップにしてくれます。複雑な動画編集の知識は一切不要です。
利用制限と今後の展開
この強力な機能は、Googleフォトの全ユーザーが利用できますが、1日に生成できる回数には制限が設けられています。より多くの動画を生成したい場合は、Google Oneの有料プランである「Google AI Pro」または「Ultra」への加入が必要となります。
なお、この「Create」タブはまず米国で提供が開始されます。日本を含む他の国での展開については、現時点では言及されていませんが、今後のグローバル展開が期待されます。
まとめ
本稿では、Googleフォトの新しい「Create」タブと、動画生成AI「Veo 3」の統合について解説しました。このアップデートにより、誰もが専門的なスキルなしで、自分の大切な思い出の写真を、動きのある魅力的な動画コンテンツへと生まれ変わらせることができるようになります。
「Create」タブという創造性の拠点を得て、Googleフォトは単なる写真ストレージサービスから、AIを活用したコンテンツ制作プラットフォームへと進化を遂げようとしています。日本でのサービス開始が待たれる、非常に楽しみなアップデートと言えるでしょう。