[AIツール利用者向け]Google、タブを理解してアプリを自動生成する「GenTabs」を発表

目次

はじめに

 Googleが2025年12月11日、ブラウジング体験を再構築する新しい実験プラットフォーム「Disco」と、その第1弾機能「GenTabs」を発表しました。GenTabsはGemini 3を活用し、ユーザーが開いているタブやチャット履歴から複雑なタスクを理解して、必要なWebアプリケーションを自動生成する機能です。本稿では、この発表内容をもとに、GenTabsの仕組みと可能性について解説します。なお、発表時はmacOS版のみ利用可能です。

参考記事

  • タイトル: Take the web for a fresh spin with GenTabs, built with Gemini 3
  • 著者: Manini Roy(Senior Product Manager for AI Innovation, Chrome)、Amit Pitaru(Director, Creative Lab)
  • 発行元: Google Blog
  • 発行日: 2025年12月11日
  • URL: https://blog.google/technology/google-labs/gentabs-gemini-3/

要点

  • Google LabsがDiscoという新しいブラウジング実験プラットフォームを発表した
  • 第1弾機能のGenTabsは、Gemini 3を使用して開いているタブとチャット履歴からユーザーのタスクを理解する
  • コードを書かずに自然言語だけでインタラクティブなWebアプリケーションを生成できる
  • 食事計画、旅行プラン、子供の学習支援など多様な用途で活用されている
  • macOS向けにウェイトリストの受付を開始した

詳細解説

Discoプラットフォームの目的

 Googleによれば、Discoは新しい実験プラットフォームです。現代のWeb利用では、リサーチや旅行計画などの複雑なタスクを実行する際に、多数のタブを開いて情報を行き来する必要があり、これが大きなストレスとなっています。

 この課題に対して、Discoは「Web自体が複雑さに適応する機会がある」という考えのもと設計されました。AI愛好家と協力しながら、より速く学習し、Webブラウジングの未来を形作ることを目指しています。Discoで得られた最も有望なアイデアは、将来的にGoogleの大規模製品に統合される可能性があるとのことです。

 この「実験プラットフォーム」というアプローチは、完成品を提供するのではなく、ユーザーからのフィードバックを早期に得ながら開発を進める手法と言えます。Google Labsが採用するこの方式は、AI技術の急速な進化に対応しながら、実際のユーザーニーズを反映した製品開発を可能にすると考えられます。

GenTabsの動作原理

 GenTabsは、ユーザーの現在のタスクを理解するために、開いているタブとチャット履歴を分析します。この分析に基づいて、タスク完了を支援するインタラクティブなWebアプリケーションを自動的に作成します。

 重要な特徴として、ユーザーはコードを一切書く必要がなく、自然言語で必要なツールを説明し、同じく自然言語で改善を加えることができます。さらに、現在のタスクに応じて、ユーザーが思いつかなかったアプリケーションの提案も行います。

 また、生成される要素はすべてWebに結び付いており、常に元のソースへのリンクが含まれるとされています。これは情報の信頼性を確保する上で重要な設計となります。

 この「タブとチャット履歴からの文脈理解」という機能は、従来のブラウザ自動化ツールとは異なるアプローチです。従来のツールは明示的な指示に基づいて動作しますが、GenTabsはユーザーの暗黙的な意図を推測してアプリケーションを提案する点が特徴的と言えます。

実際の活用例

 Googleの発表では、初期テスターがすでに様々な用途でGenTabsを活用していることが紹介されています。具体的には、週間の食事計画の作成、桜を見るための日本旅行の計画、小学生の子供向けの惑星学習支援などが挙げられています。

 これらの例は、いずれも複数の情報源を参照しながら、カスタマイズされた成果物を作成する必要があるタスクです。従来であれば、レシピサイト、旅行予約サイト、教育コンテンツなど、複数のタブを開いて情報を統合する必要がありましたが、GenTabsはこのプロセスを統合的に支援すると考えられます。

 「bespoke apps(オーダーメイドアプリ)」という表現が使われている点も注目に値します。これは、汎用的なツールではなく、その時々のユーザーの特定のニーズに合わせたアプリケーションが生成されることを意味しています。

今後の展開と留意点

 GenTabsは現在、macOS向けにウェイトリストの受付を開始しています。Googleは「初期段階であり、すべてが完璧に動作するわけではない」と明言しており、小規模なテスターグループから始めて、何が有用か、何に改善が必要か、今後何を見たいかについてのフィードバックを収集する方針です。

 この慎重なアプローチは、AI生成コンテンツの品質やプライバシーの懸念に配慮したものと思います。開いているタブやチャット履歴を分析する機能は、ユーザーの行動を深く理解する必要があるため、データの取り扱いやプライバシー保護の仕組みが重要になると考えられます。

 また、Gemini 3という「最も高度なモデル」を使用している点も注目されます。これは複雑な文脈理解と適切なアプリケーション生成に高度なAI能力が必要であることを示唆しています。

まとめ

 Googleが発表したDiscoとGenTabsは、ブラウジング体験を根本から再考する試みです。開いているタブから文脈を理解し、必要なアプリケーションを自動生成する機能は、Web利用の複雑さに対する新しいアプローチと言えます。現在はmacOS向けのウェイトリスト段階ですが、今後のフィードバックを通じて、どのような形でGoogleの製品に統合されていくか注目されます。

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