はじめに
Googleが2025年1月、イギリスで開催されたBETT(British Educational Training and Technology)カンファレンスにおいて、教育機関向けの新しいAIソリューションを発表しました。本稿では、Gemini in Workspaceの無償提供拡大、Google Workspace Studioの導入、Google AI Pro for Educationの強化について解説します。
参考記事
- タイトル: Premium Google AI for more educators and students
- 著者: Vivek Chachcha
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2025年1月22日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/products/education/bett26-premium-ai/
要点
- GoogleはGemini in Workspaceの一部機能を、Education Fundamentals、Education Plus、Teaching and Learningアドオンで無償提供する
- Education FundamentalsではGemini in Gmailが、Education Plus等ではDocs、Slides、Forms、Vids、SheetsでのGemini機能が利用可能になる
- 全Workspace for Educationエディションに、AIエージェント作成ツールGoogle Workspace Studioが標準搭載される
- Google AI Pro for Educationは、プレミアムAIモデルへのアクセスやNotebookLMなど、最新機能を提供し続ける
詳細解説
Gemini in Workspaceの無償提供拡大
Googleによれば、Gemini in Workspaceを昨年導入して以来、世界中の教育者から「既存のツールやワークフローに生成AIを統合することで、何時間もの時間を節約し、より創造的になれた」というフィードバックを受けてきたとのことです。この成果を踏まえ、より多くの教育者や学生に恩恵をもたらすため、Google Workspace for Educationの主要エディションで、Gemini in Workspaceの一部機能を無償提供することを決定しました。
Education Fundamentalsでは、Gemini in Gmailが利用可能になります。「Help Me Write」によるメール下書き、長いスレッドの要約、メールスレッド向けAI Overviewsなどの機能が含まれます。
Education PlusおよびTeaching and Learningアドオンでは、さらに多くのアプリでGemini機能が利用できます。Gemini in Docsでは「Help Me Write」とサイドパネルでのGeminiを使って、数秒でコンテンツを作成できます。Gemini in Slidesでは、サイドパネルでオリジナル画像やスライドを作成し、プレゼンテーションを強化できます。Gemini in Formsでは、フォームを素早く作成し、回答のAI要約を確認できます。Gemini in Vidsでは、シンプルなテキストプロンプトや既存のスライドから、洗練された動画を作成できます。Gemini in Sheetsでは、AIカスタム関数とサイドパネルでのGeminiを使って、データの整理と分析が可能になります。
これらの機能は、18歳以上のユーザーを対象に今後数週間で順次展開される予定です。ただし、Gemini in GmailとGemini in Sheetsについては、今後数ヶ月以内の提供となります。また、管理者向けに、個別のGemini in Workspaceアプリへのアクセスをきめ細かく管理できる機能も近日中に提供されるとのことです。
この段階的な展開は、教育機関が自組織のポリシーに応じて導入を調整できるよう配慮されていると考えられます。
Google AI Pro for Educationの位置づけ
Google AI Pro for Educationは、引き続きGoogleの教育機関向けプレミアムAIソリューションとして提供されます。Googleによれば、このサービスは教育者、教職員、スタッフの生産性と創造性を解放するために構築されているとのことです。
AI Proでは、Gemini for EducationやNotebookLMにおけるプレミアムAIモデルや機能(Deep Research、Nano Banana Proなど)への拡張アクセス、そしてWorkspaceアプリ全体でのGeminiとのより深い統合が提供されます。無償提供されるGemini in Workspace機能とは別に、AI Proでは昨年実装された30以上の改善、Gemini in MeetやDriveなどの人気機能、そして近日公開予定のGmailのAI inbox、Proofread、AI OverviewsによるInbox質問機能などのプレミアム機能への優先アクセスが含まれます。
つまり、無償提供は基本的なGemini機能を広く利用可能にするものであり、AI Proは常に最新かつ最高の機能を提供する位置づけと言えます。
Google Workspace Studioの導入
今回の発表で注目すべき新機能が、Google Workspace Studioです。これは、AIエージェントの設計、管理、共有のための新しいプラットフォームで、全Google Workspace for Educationエディションに標準サービスとして含まれます。
Workspace Studioは、Gemini 3の高度な推論能力を活用しながら、すべてのユーザーがコードを書くことなく、数分でカスタムエージェントを構築できるシンプルさを兼ね備えています。Gemini 3は、Googleの最新世代のAIモデルであり、より高度な推論能力を持つと考えられます。
Googleが示した活用例には、以下のようなものがあります。会議の準備では、会議やスタディグループの詳細、重要な期限、参加者、添付ファイルを要約し、Chat経由で情報を提供するエージェントを作成できます。添付ファイルのDrive保存では、メールの添付ファイルを自動的にDriveフォルダに保存し、Sheetsに記録するエージェントを構築できます。例えば、教育者が署名済みの許可書を安全なフォルダに自動保存しながら、クラス名簿を即座に更新するといった使い方が想定されます。管理者のメールトリアージでは、メールをトリアージして重要な優先事項を抽出し、実行可能なタスクと期限を取り出すエージェントが活用できます。
これらの例から、Workspace Studioは反復的な業務を自動化し、教育者や管理者の時間を本質的な業務に振り向けることを目的としていると思います。
まとめ
Googleは、Gemini in Workspaceの一部機能を教育機関向けに無償提供することで、AIツールへのアクセスを大幅に拡大しました。同時に、Google AI Pro for Educationでは最先端の機能を提供し続け、Workspace Studioでは誰でも使えるAIエージェント作成環境を整備しています。教育現場でのAI活用が、より多くの教育者と学生にとって身近なものになると考えられます。今後、これらのツールが実際の教育現場でどのように活用されていくのか、注目したいところです。
