はじめに
Googleが2025年12月2日、最も知的なAIモデル「Gemini 3」と最新の画像生成モデル「Nano Banana Pro」を、Google SearchのAI Modeで約120か国・地域に展開すると発表しました。本稿では、この発表内容をもとに、新モデルの機能と利用可能性、そして検索体験がどのように進化するのかを解説します。
参考記事
- タイトル: Gemini 3 and Nano Banana Pro in Search are coming to more countries around the world
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2025年12月1日
- URL: https://blog.google/products/search/gemini-3-ai-mode-more-countries/
要点
- Googleは最も知的なモデル「Gemini 3」をGoogle SearchのAI Modeで約120か国・地域に英語で展開する
- Google AI ProおよびUltraサブスクライバーは、AI Modeのモデルドロップダウンから「Thinking with 3 Pro」を選択してGemini 3 Proを利用できる
- Gemini 3の推論能力、マルチモーダル理解、エージェントコーディング機能により、動的なビジュアルレイアウト、インタラクティブツール、カスタムシミュレーションが生成される
- 最新の画像生成モデル「Nano Banana Pro」もGoogle AI ProおよびUltraサブスクライバー向けにAI Modeで展開され、インフォグラフィック等の可視化を支援する
詳細解説
Gemini 3のグローバル展開と利用方法
Googleによれば、最も知的なモデルであるGemini 3が、Google SearchのAI Modeで約120か国・地域に英語で展開されます。この展開により、より多くのユーザーが高度な推論能力を持つAIモデルを検索体験の中で利用できるようになります。
利用方法は、Google AI ProまたはUltraのサブスクライバーがAI Modeのモデルドロップダウンメニューから「Thinking with 3 Pro」を選択するだけです。AI Modeは、従来の検索結果とは異なり、AIが質問の意図を深く理解して回答を生成する対話型の検索体験を指します。有料サブスクリプションが必要な点は、企業のビジネスモデルとして理解できるものと思います。
最先端の推論能力とマルチモーダル理解
Googleの発表では、Gemini 3が「最先端の推論能力」(state-of-the-art reasoning capabilities)を持つとされています。この推論能力により、AI Modeは複雑な質問のニュアンスを把握できるようになります。
さらに注目すべきは、Gemini 3の「比類のないマルチモーダル理解」(unparalleled multimodal understanding)です。マルチモーダルとは、テキスト、画像、音声など複数の形式のデータを統合的に理解する能力を指します。従来の検索エンジンがテキスト中心だったのに対し、Gemini 3は画像や動画を含む質問にも対応できると考えられます。
新しい生成的ユーザーインターフェースの実現
Googleは、Gemini 3の「強力なエージェントコーディング機能」(powerful agentic coding capabilities)が、新しい生成的ユーザーインターフェースを実現すると説明しています。
具体的には、以下の3つの要素が質問に応じてその場で生成されるとのことです:
- 動的なビジュアルレイアウト(dynamic visual layouts)
- インタラクティブツール(interactive tools)
- カスタムシミュレーション(custom simulations)
エージェントコーディングとは、AIが自律的にコードを生成して実行する能力を指します。つまり、ユーザーの質問に対して、単なるテキスト回答だけでなく、可視化ツールやシミュレーションプログラムまで生成できる可能性があります。例えば、「住宅ローンの返済シミュレーションを見せて」という質問に対して、計算ツールそのものを生成して提供するようなイメージです。
この機能は、検索エンジンが「情報を提示する」役割から「問題を解決するツールを提供する」役割へと進化することを示唆していると言えます。
Nano Banana Proによる画像生成機能
Googleは、最新の画像生成モデル「Nano Banana Pro」もAI Modeに展開すると発表しました。こちらもGoogle AI ProおよびUltraサブスクライバー向けに、英語でより多くの国で利用可能になります。
Nano Banana ProはGemini 3 Pro上に構築されており、Gemini 3の高度な推論能力を活用します。さらに、Googleの膨大な知識ベースと接続することで、インフォグラフィック等の可視化を支援するとされています。
従来の画像生成AIは、テキストプロンプトから画像を生成するものが主流でしたが、Nano Banana Proは検索エンジンの知識ベースと連携することで、より正確で情報価値の高い視覚的コンテンツを生成できると考えられます。例えば、「2024年の世界経済成長率を視覚化して」という質問に対して、正確なデータに基づいたインフォグラフィックを生成できる可能性があります。
より豊かで有用な理解の提供
Googleは、この展開により「何でも質問して、すぐに、より豊かで有用な理解を得ることが、今まで以上に簡単になります」(it’s now easier to ask anything and instantly get a richer, more helpful understanding)と述べています。
これは、検索エンジンが単なる情報検索ツールから、ユーザーの理解を深めるための対話的な学習パートナーへと進化していることを示していると思います。
まとめ
Googleは、最も知的なモデル「Gemini 3」と最新の画像生成モデル「Nano Banana Pro」を、Google SearchのAI Modeで約120か国・地域に展開します。Gemini 3の推論能力とエージェントコーディング機能により、動的なツールやシミュレーションの生成が可能になり、検索体験が大きく進化すると考えられます。有料サブスクリプションが必要な点は考慮すべきですが、AIを活用した情報検索の新しい形として注目に値します。
