はじめに
Googleが2026年1月28日、ChromeブラウザにGemini 3を統合した大型アップデートを発表しました。サイドパネルでの常駐アシスタント機能、画像変換、Googleアプリとの深い連携に加え、AI ProおよびUltra契約者向けには複数ステップのタスクを自律的に実行する「Auto browse」機能が導入されます。本稿では、この発表内容をもとに、Gemini in Chromeの仕組みと実用性について解説します。
参考記事
- タイトル: The new era of browsing: Putting Gemini to work in Chrome
- 著者: Parisa Tabriz
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年1月28日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/products/chrome/gemini-3-auto-browse/
要点
- Gemini 3を搭載したChromeの新機能が、MacOS、Windows、Chromebook Plus向けに米国でリリースされた
- サイドパネル体験により、タブを切り替えることなくGeminiアシスタントを常時利用できる
- Nano Bananaモデルを使用した画像変換機能が全ユーザーに提供され、ブラウザ上の画像を直接編集可能になった
- Gmail、Calendar、YouTubeなどのGoogleアプリとの統合により、メール検索やフライト予約などを横断的に処理できる
- AI ProおよびUltra契約者向けのAuto browse機能は、ホテル検索、フォーム記入、サブスクリプション管理などの複数ステップタスクを自律的に実行する
詳細解説
サイドパネル体験:常駐型AIアシスタント
Googleによれば、新しいサイドパネル体験により、ユーザーはどのタブにいても常にGeminiアシスタントにアクセスできます。メインの作業を開いたまま、サイドパネルで別のタスクを処理することで、中断のないマルチタスクが可能になります。
この機能は、従来のチャットインターフェースと異なり、ブラウジング体験に統合されている点が特徴です。複数のタブを開いて情報を比較したり、商品レビューを複数サイトから要約したり、複雑なスケジュール調整を支援したりといった用途で活用できると考えられます。
Nano Bananaによる画像変換
Googleは、Nano BananaモデルをChrome上で直接利用できるようにしました。これにより、画像のダウンロードや再アップロードなしに、ブラウザ上で画像を変換できます。
Nano Bananaは、画像生成に特化したAIモデルです。サイドパネルでプロンプトを入力することで、リビングルームのデザインアイデアを得たり、研究データをインフォグラフィックに変換したりといった用途に使用できます。従来は専用の画像編集ツールやアプリケーションが必要だった作業を、ブラウザ内で完結できる点は、ワークフロー効率化につながる可能性があります。
Connected Apps:Googleアプリとの深い統合
Gemini in ChromeはConnected Appsをサポートしており、Gmail、Calendar、YouTube、Maps、Google Shopping、Google Flightsなどとの統合が可能です。
Googleが示した例では、カンファレンスへの出張時に、Geminiが古いメールからイベント詳細を検索し、Google Flightsの情報を参照してフライトを推薦し、その後同僚に到着時刻を知らせるメールを下書きするといった一連の作業を実行できます。これらの機能は、Gemini Settingsの Connected Appsセクションで有効化できます。
この統合により、複数のアプリケーションを行き来する必要が減り、情報の集約と処理が効率化されると思います。
Personal Intelligence:今後数ヶ月で導入予定
Googleは、今後数ヶ月以内にChromeにPersonal Intelligence機能を導入する予定です。この機能により、Chromeは過去の会話から文脈を記憶し、ユーザー固有のカスタマイズされた回答を提供できるようになります。
Personal Intelligenceは、ユーザーが完全にコントロールできる設計になっています。オプトイン方式で、アプリの接続を選択でき、いつでも接続を解除できます。また、ユーザーは特定の指示をGeminiに追加して、よりカスタマイズされた応答を得ることも可能です。
この機能は、一般的な汎用ツールから、ユーザーを理解し、関連性の高い、プロアクティブで文脈を認識したサポートを提供する信頼できるパートナーへと、ブラウジング体験を変革することを目指していると考えられます。
Auto browse:複雑なタスクの自律実行
米国のAI ProおよびUltra契約者向けに、Chrome Auto browseがプレビュー版として導入されます。これは、ユーザーに代わって複数ステップの作業を処理する強力なエージェント型体験です。
Googleによれば、Auto browseは休暇計画の最適化に役立ちます。複数の日付オプションにわたってホテルとフライトのコストを調査するといった単調な作業を実行し、予算に合った旅行時期を見つけることができます。テスターは、予約のスケジューリング、面倒なオンラインフォームの記入、税務書類の収集、配管工や電気工の見積もり取得、請求書の支払い確認、経費報告書の提出、サブスクリプション管理、運転免許証の更新など、さまざまな用途で使用しています。
さらに複雑な例として、Y2Kテーマパーティーの計画があります。その時代を完璧に捉えた写真からインスピレーションを得た場合、Auto browseはGemini 3のマルチモーダル機能を使用して、写真の中身を識別し、類似アイテムを検索し、予算内でカートに追加し、割引コードまで適用できます。また、ユーザーが許可すれば、Google Password Managerを使用してサインインが必要なタスクを処理することも可能です。
この機能は、従来のChrome autofill(住所やクレジットカードの自動入力)を大きく超えた、複雑なワークフローの自動化を実現するものです。ただし、実用性を判断するには、処理の正確性や、想定外の状況への対応能力などを確認する必要があると思います。
Universal Commerce Protocol (UCP)
ChromeはGoogleのUniversal Commerce Protocol (UCP)をサポートします。これは、Shopify、Etsy、Wayfair、Targetなどの業界リーダーと共同開発されたエージェントコマース向けの新しいオープン標準です。
UCPは、AIエージェントがユーザーに代わってChrome上でシームレスにアクションを実行できることを保証します。この標準化により、異なるEコマースプラットフォーム間での一貫した自動化体験が可能になると考えられます。
セキュリティとコントロール
Googleは、Gemini in Chromeを厳格なセキュリティ基準で構築し、新しいタイプのオンライン脅威から保護するための全く新しい防御機能を導入しました。
Auto browseは、追加のコントロールのために、一時停止して明示的に確認を求めたり、購入やソーシャルメディアへの投稿などのタスクを完了するようユーザーに促したりするように設計されています。
このアプローチは、自動化の利便性と、重要な操作における人間の監督のバランスを取るものです。特に金銭的取引や公開投稿など、取り返しのつかない操作については、人間の最終確認を求める設計は、安全性の観点から重要と言えます。
まとめ
Gemini 3を統合したChromeは、サイドパネルでの常駐アシスタント、画像変換、Googleアプリとの深い連携、そしてAuto browseによる複雑なタスクの自律実行という、段階的なAI統合を実現しています。特にAuto browseは、ウェブブラウジングを「情報取得」から「タスク実行」へと拡張する試みと言えます。今後、Personal Intelligenceの導入により、さらにパーソナライズされた体験が提供される見込みです。
