[AIツール利用者向け]AI利用の目的が「娯楽」から「学習」へ——Googleの最新調査が示す教育現場の変化

目次

はじめに

 Googleが2026年1月15日、Ipsosと共同で実施した「Our Life with AI」調査の最新結果を発表しました。3年連続で実施されているこの調査で、初めてAI利用の主な目的が「娯楽」から「学習」へと変化したことが明らかになりました。本稿では、21カ国21,000人を対象にした調査結果をもとに、教育現場におけるAI活用の実態と、その影響について解説します。

参考記事

要点

  • 2025年後半に実施された調査で、初めてAI利用の主な目的が「娯楽」から「学習(新しいことを学ぶ、複雑なトピックを理解する)」に変化し、74%のユーザーが学習目的でAIを使用している
  • 学生の85%、教師の81%、保護者の76%がAIを使用しており、特に教師の利用率は世界平均(66%)を大きく上回っている
  • 教師、学生(18歳以上)、保護者の多くが、AIが学習方法に肯定的な影響を与えていると認識しており、教師の67%が教育の質の向上、63%が学生の成果向上を期待している
  • 新興市場では、AIが個別化学習を支援することで学生の成果を改善すると考える人(63%)が、批判的思考を損なうと考える人(37%)を上回っている
  • Googleは、Gemini’s Guided Learning Mode、Gemini for Education、Google AI Pro for Education、NotebookLMなどのツールを通じて、すべての人の学習成果向上と教師の負担軽減を目指している

詳細解説

AI利用目的の転換点:娯楽から学習へ

 Googleによれば、2025年後半に21カ国で実施された調査で、74%のAI利用者が「新しいことを学ぶ」または「複雑なトピックを理解する」ためにAIを使用していることが明らかになりました。これは、過去2年間の調査で首位だった「娯楽」目的を上回る結果です。

 この変化は、AI技術が実験的な段階から実用的な学習ツールへと移行していることを示していると考えられます。特に注目すべきは、調査対象国のほぼすべてで、多数派の人々がAIチャットボットを使用していると回答した点です。これは、AIが特定の技術愛好者だけでなく、一般的なユーザー層にも浸透していることを意味します。

教育関係者のAI利用率:世界平均を大きく上回る

 Googleの調査では、教育に関わる人々のAI利用率が特に高いことが示されています。

 学生(18歳以上)の85%がAIを使用しており、その用途は学校の課題(83%)、複雑なトピックの理解(78%)、日常生活のタスク管理(54%)、意思決定(42%)と多岐にわたります。教師の利用率は81%で、これは世界平均の66%を大きく上回る数字です。教師がAIを使用する主な目的は、新しいことを学ぶ・複雑なトピックを理解する(77%)と、時間の節約(75%)でした。

 実際の時間節約効果については、北アイルランドで実施された6カ月間のパイロットプログラムで、教師がGeminiを使用することで平均週10時間の時間を節約できたと報告されています。これは、教師の事務作業負担が相当なものであることを考えると、実用的な水準と言えます。

 保護者の76%もAIを使用しており、新しいことを学ぶ(77%)、仕事の支援(73%)が主な用途です。特筆すべきは、保護者の約半数(49%)が、転職の検討、収入増加、新規ビジネスの開始にAIを活用していることです。

AI教育に対する肯定的な認識

 Googleの調査によれば、教師、学生(18歳以上)、保護者の大多数が、AIが学習方法に肯定的な影響を与えていると認識しています。具体的には、学生の68%、教師の73%、保護者の77%が肯定的な影響を感じています。

 また、教師の67%がAIによって教育の質が向上すると考え、63%が学生の成果が向上すると期待しています。この結果は、認知能力の低下を懸念するのではなく、AIを学習支援ツールとして前向きに捉える傾向が強いことを示していると言えます。

 アメリカ、カナダ、ヨーロッパ以外の地域でも、この傾向は顕著です。新興市場では、AIが個別化学習を支援することで学生の成果を改善すると考える人が63%であるのに対し、批判的思考を損なうと考える人は37%にとどまりました。

 興味深いのは、PISA(国際学習到達度調査)で高スコアを記録する韓国、日本、シンガポールにおいても、同様に肯定的な態度が見られた点です。これらの国では、15歳の生徒が500点以上のスコアを記録しており、読解力、数学、科学における実践的スキルが高いことで知られています。これらの国でも、教育におけるAIの役割について63%が改善すると考え、37%が悪化すると考えるという結果でした。

適切なガードレールと公平性の課題

 Googleは、AI利用が増加する中で、適切なガードレールを備えたAIツールを構築することの重要性を強調しています。ヨーロッパでの別の調査でも、学生がこれらのツールの使用方法に関するガイダンスを求めていることが明らかになっており、若年ユーザー向けの適切な保護措置を確保する必要性が指摘されています。

 同時に、Googleは「5%問題」と呼ばれるリスクにも言及しています。これは、これらの恩恵が最も恵まれた層や、学習意欲の高い層にのみ届く可能性を指します。調査によれば、一般市民は、テクノロジー企業と政府が協力して、これらのツールが公共の利益に資するよう取り組むことを期待しています。

 「5%問題」という表現は、一般的にはテクノロジー導入における格差の問題を指すものと考えられます。AI教育ツールの恩恵が一部の層に限定されず、より広く行き渡るようにするための取り組みが必要という認識は、教育の公平性を考える上で重要な視点と言えます。

GoogleのAI教育ツール群

 Googleは、「すべての人の学習成果を向上させ、教師が教育に集中できるようにする」ことを教育におけるAIの「北極星」として掲げています。この目標に向けて、以下のツールを提供しています。

 Gemini’s Guided Learning Modeは、学習者に対して段階的なガイダンスを提供する機能です。Gemini for Educationは、教育機関向けに最適化されたAIアシスタントで、教師と学生の双方をサポートします。Google AI Pro for Educationは、Workspace for Educationに統合されたより高度なAI機能を提供するアドオンです。NotebookLMは、教師がGoogle Classroom向けにGemsやNotebooksを作成できるツールで、授業準備や管理業務の効率化に役立ちます。

 Googleは、これらの製品を学習科学と教育者、学生、専門家との深いパートナーシップに基づいて開発しており、責任を持って革新を進めることで、AIがすべての人が潜在能力を最大限に発揮できるよう支援することを目指しているとのことです。

まとめ

 Googleの「Our Life with AI」調査は、AI利用の目的が「娯楽」から「学習」へと転換した重要な節目を示しています。教育関係者の高い利用率と肯定的な認識は、AIが教育現場で実用的なツールとして受け入れられつつあることを示していると考えられます。一方で、適切なガードレールの整備と公平なアクセスの確保という課題にも目を向ける必要があります。今後、AIが教育の質を向上させる可能性と、その恩恵を広く行き渡らせるための取り組みが注目されます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次