Googleが「AIエージェント集中講座」の開催を発表!

目次

はじめに

 Googleは、開発者向けにAIの次のフロンティアとされる「AIエージェント」の構築と展開を学ぶための無料オンラインコース「5-Day AI Agents Intensive」(2025年11月10日から14日まで開催)を発表しました。本稿ではこの講座がどのようなもので、何を学べるのかを紹介します。

参考記事

要点

  • Googleが、AIエージェントの構築と展開を学ぶための5日間の無料集中オンラインコースを2025年11月10日から14日にかけて開催する。
  • このコースは、AIエージェントの基礎概念からアーキテクチャ、ツール連携、メモリ管理、品質評価、そして本番環境への展開まで、体系的かつ網羅的なカリキュラムで構成されている。
  • 講師はGoogleの機械学習(ML)研究者やエンジニアが務め、講義だけでなく、ハンズオン形式のコードラボや専門家とのQ&Aセッションも提供される。
  • 学習の集大成として、実践的なスキルを試すキャップストーンプロジェクトが用意されており、任意で参加できる。

詳細解説

そもそも「AIエージェント」とは?

 本題に入る前に、まず「AIエージェント」について簡単に説明します。AIエージェントとは、単に質問に答えたり文章を生成したりするだけでなく、与えられた目標を達成するために自律的に計画を立て、ツール(外部のAPIやソフトウェアなど)を使いこなし、一連のタスクを実行するAIシステムのことです。例えば、「来週の東京の天気予報を調べて、もし雨が降る日があれば、その日の午後の会議をオンラインに変更するよう関係者にメールで通知する」といった複雑な指示を、自ら判断しながら実行できます。従来のチャットボットなどが受動的な応答に留まるのに対し、エージェントはより能動的にアクションを起こす点が大きな違いです。

講座の概要と目的

 今回発表された「5-Day AI Agents Intensive」は、GoogleとデータサイエンスプラットフォームのKaggleが共同で開催するオンライン講座です。過去に開催され、全世界で42万人以上が登録した「生成AI集中講座(Generative AI Intensive Course)」の続編と位置づけられています。

 本講座の目的は、AIエージェント開発の初心者から、既に知識がありスキルを伸ばしたいと考えている専門家まで、幅広い層の開発者がインテリジェントで自律的なシステムを構築するための基礎と実践を学ぶ手助けをすることです。Googleの第一線で活躍する研究者やエンジニアによって作成されたカリキュラムを通じて、単純なAIエージェントから、複数のエージェントが連携して動作する高度なマルチエージェントシステムまで、実世界の問題を解決するエージェントを構築するための知識を習得できます。

学習の進め方

 この講座は、参加者が自分のペースで学習を進められるように設計されています。期間中の毎日、以下のコンテンツが提供されます。

  • 毎日の課題: 理論を学ぶためのホワイトペーパー、内容を音声で確認できるポッドキャスト、そして実際に手を動かしてスキルを身につけるためのコードラボが含まれます。
  • Discordでのディスカッション: KaggleのDiscordサーバーに専用チャンネルが開設され、学習内容に関する質疑応答や、他の学習者およびGoogleの専門家との交流ができます。
  • 毎日のライブ配信セミナー: KaggleのYouTubeチャンネルで、コースの作成者や貢献者がトピックを深く掘り下げるセミナーとAMA(Ask Me Anything: 何でも質問会)がライブ配信されます。

5日間のカリキュラム詳細

 この講座では、5日間で以下のトピックを段階的に学んでいきます。

  • 1日目:エージェントとエージェントアーキテクチャ入門
     AIエージェントの基礎概念やその特徴、そして従来のLLMアプリケーションとエージェントアーキテクチャがどのように異なるかを学び、自律システムの土台を築きます。
  • 2日目:エージェントツールとMCPによる相互運用性
     AIエージェントが外部の機能やAPIといった「ツール」を活用して、どのように具体的なアクションを実行するのかを掘り下げます。また、Model Context Protocol (MCP) を利用してツールを容易に発見・利用する方法についても解説します。
  • 3日目:コンテキストエンジニアリング:セッションとメモリ管理
     過去の対話内容を記憶し、文脈を維持できるAIエージェントの構築方法を学びます。複雑なマルチターンタスクに対応するため、短期記憶と長期記憶を実装する技術を習得します。
  • 4日目:エージェントの品質:観測可能性、ログ、評価、メトリクス
     堅牢で信頼性の高いAIエージェントを構築するために不可欠な、システムの評価と改善手法を学びます。観測可能性(Observability)、ロギング、トレーシングといった手法を用いてシステムの可視性を確保し、主要なメトリクスと評価戦略でパフォーマンスを最適化します。
  • 5日目:プロトタイプから本番環境へ
     ローカルでのテストを超え、AIエージェントを実世界のユースケースに向けて展開(デプロイ)し、スケールさせる方法を学びます。また、Agent2Agent (A2A) プロトコルを用いて、真のマルチエージェントシステムを作成する方法など、本番運用を見据えたベストプラクティスが紹介されます。

実践スキルを証明する「キャップストーンプロジェクト」

 講座の最終日である11月14日には、学習の集大成としてキャップストーンプロジェクトが公開されます。これは任意参加のプロジェクトで、学んだスキルを実践的な課題に応用し、自身のポートフォリオを充実させる機会とされています。優れた成果を上げた参加者には、Kaggleのバッジや記念品といった賞品が贈られるほか、KaggleとGoogleの公式ソーシャルメディアで紹介される可能性があります。

まとめ

 今回ご紹介したGoogleの「5-Day AI Agents Intensive」は、AI開発の新たな潮流であるAIエージェントについて、その基礎から応用、本番環境への導入までを体系的かつ実践的に学べる貴重な機会です。Googleの専門家から直接学べるだけでなく、コードラボや最終プロジェクトを通じて即戦力となるスキルを身につけることができます。

 AIエージェントは、今後のAI技術の発展と社会実装において中心的な役割を担うと考えられています。この分野に興味のある開発者の方は、ぜひこの機会に参加を検討してみてはいかがでしょうか。参加は無料で、以下のページから登録が可能です。

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