[Google I/O 2025]Gemini大型アップデート解説:AIが日常と創造を加速する新時代へ

目次

はじめに

 本稿では、Googleが発表したAIアシスタント「Gemini」に関する最新のアップデート情報について、公式ブログ記事「Gemini gets more personal, proactive and powerful」をもとに、詳しくご紹介します。

引用元記事

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要点

  • Gemini Liveの無料化と機能拡張: カメラや画面共有を通じたリアルタイム対話機能がAndroidとiOSで無料提供され、Googleアプリとの連携も強化される。
  • 最新モデルImagen 4とVeo 3の搭載: 高品質な画像生成モデルImagen 4と、音声・効果音・キャラクター間の対話生成も可能な動画生成モデルVeo 3がGeminiアプリに統合される。
  • Deep ResearchとCanvasの大型アップデート: Deep Researchではプライベートな情報源(PDFや画像)を組み合わせた分析が可能になり、Canvasではインタラクティブなコンテンツ作成や「バイブコーディング」によるアプリ開発が容易になる。
  • Gemini in Chromeの展開: Chromeブラウザ内でGeminiを利用し、ウェブページの要約や情報明確化が可能になる(Google AI Pro/Ultra加入者向けに米国から順次展開)。
  • インタラクティブなクイズ作成機能: 学生向けに、学習内容に基づいたインタラクティブなクイズを簡単に作成できる機能が全世界で提供開始される。日本を含む一部国の大学生にはGoogle AI Proプランの無料提供も実施される。
  • 新しい料金プランGoogle AI ProとGoogle AI Ultraの導入: より高度な機能やアクセス権を提供する新しいサブスクリプションプランが登場する。
  • デフォルトモデルとして2.5 Flashを採用: 高品質と高速応答を両立した2.5 Flashモデルが標準となる。

詳細解説

Gemini Live:より身近になるリアルタイム対話アシスタント

 今回のアップデートで特に注目されるのが、Gemini Liveの無料化です。これまで一部ユーザーに限られていた、スマートフォンやタブレットのカメラを通して見ているものをGeminiに伝えたり、画面を共有しながら会話したりする機能が、AndroidおよびiOSユーザーであれば誰でも無料で利用できるようになりました。

 例えば、故障した家電製品のトラブルシューティングをGeminiに相談したり、お店で商品を選びながらパーソナルなアドバイスをもらったりといったことが、より手軽に行えるようになります。記事によれば、Gemini Liveでの会話はテキストベースの会話に比べて平均5倍も長いとのことで、これは視覚情報を共有することで、より深く、具体的なやり取りが可能になることを示しています。

 さらに、Gemini Liveは今後数週間で、GoogleカレンダーやGoogleマップ、Google ToDo、Google Keepといった他のGoogleアプリとの連携を深めていく予定です。これにより、友人との夜の予定をGemini Liveで話し合うと、自動的にカレンダーにイベントが作成されたり、特定の料理について尋ねるとGoogleマップから最新情報が得られたりするなど、日常生活における利便性が大幅に向上することが期待されます。これらのアプリ連携や個人情報は、アプリの設定からいつでも管理可能です。

Imagen 4 と Veo 3:クリエイティビティを加速する画像・動画生成

 Geminiアプリには、Googleの最新画像生成モデルであるImagen 4と、最先端の動画生成モデルであるVeo 3が搭載されました。

  • Imagen 4は、その高い画像品質、優れたテキストレンダリング能力、そして生成速度で知られています。プロフェッショナルなプレゼンテーション資料の作成、ソーシャルメディア用のグラフィック制作、イベントの招待状デザインなど、様々な場面で、よりリアルで魅力的な画像を簡単に生成できるようになります。この機能は、Geminiアプリを通じて全てのユーザーが利用可能です。
  • Veo 3は、単に映像シーンを生成するだけでなく、都市の喧騒、木の葉のささやき、さらにはキャラクター間の対話といった音声や効果音までも、テキストプロンプトからネイティブに生成できる世界初のモデルです。これにより、これまでにない没入感のある動画コンテンツ作成が可能になります。Veo 3は、米国のGoogle AI Ultra加入者向けにGeminiアプリで提供が開始されています。

Deep Research と Canvas:情報分析とコンテンツ作成の新たな地平

 情報分析ツールDeep Researchと、クリエイティブスペースCanvasも大幅なアップデートが行われました。

  • Deep Researchでは、公開されている情報に加え、ユーザー自身が保有するPDFや画像といったプライベートな情報源を組み合わせて、カスタマイズされた詳細なレポートを作成できるようになりました。例えば、市場調査担当者が社内の売上データ(PDF形式)をアップロードし、公開市場トレンドと照らし合わせて分析したり、学術研究者が特定の論文を取り込んで文献レビューを充実させたりすることが可能です。将来的にはGoogle DriveやGmailとの連携も予定されており、情報収集と分析の効率が飛躍的に向上するでしょう。
  • Canvasは、Geminiアプリ内でアイデアを形にするためのクリエイティブな空間です。最新のGemini 2.5モデルにより、さらに直感的かつパワフルになりました。インタラクティブなインフォグラフィック、クイズ、さらには45言語に対応したポッドキャスト風の「オーディオ概要」を作成できます。特に注目すべきは、複雑なアイデアを驚くほどの速度と精度で実用的なコードに変換する能力です。「バイブコーディング(vibe coding)」を簡単な指示からアプリケーション全体を迅速に構築できるため、ソフトウェア開発のハードルを劇的に下げ、新しいアイデアのプロトタイピングをかつてないほど高速化します。

Gemini in Chrome:ブラウジング体験を強化

 デスクトップ版ChromeブラウザでもGeminiが利用可能になります。まずは米国で英語をChromeの言語設定にしているGoogle AI ProおよびGoogle AI Ultraの加入者向けに、WindowsとmacOSで順次展開されます。この初期バージョンでは、閲覧中のウェブページに関する複雑な情報をGeminiに質問して明確化したり、情報を要約させたりすることができます。将来的には、複数のタブを横断して作業したり、ユーザーに代わってウェブサイトを操作したりする機能も搭載される予定です。

インタラクティブなクイズ機能:学習体験の革新

 インタラクティブなクイズ作成機能が全世界のGeminiユーザー向けにデスクトップとモバイルで提供開始されました。例えば、「熱力学の練習問題を作って」とGeminiに頼むだけで、パーソナライズされた学習体験が始まります。解答すると即座にフィードバックが得られ、注意が必要なトピックが強調表示されます。クイズ終了後には、苦手だった分野に焦点を当てたフォローアップクイズが提案され、弱点を克服するのに役立ちます。

 さらに、日本、米国、ブラジル、インドネシア、英国の大学生は、Google AI Proプランを1学年間無料で利用できる特典も提供されます(対象国は今後拡大予定)。これは日本の学生にとって、高度なAI機能を学業に活用できる大きなチャンスと言えるでしょう。

新料金プラン:Google AI Pro と Google AI Ultra

 Googleは、Geminiの高度な機能を利用するための新しいサブスクリプションプランとして、Google AI ProGoogle AI Ultraを発表しました。

  • Google AI Proは月額19.99ドルで、Geminiアプリの体験を向上させるAIツール群を提供します。これは従来のGemini Advancedを置き換え、さらに拡張するものです。FlowやNotebookLMといった製品も含まれ、特別な機能やより高い利用上限が設定されています。
  • Google AI Ultraは、最も強力なモデルへのアクセス、最高の利用上限、そして最もエキサイティングな実験的AI製品への早期アクセスを求める先駆者向けのプレミアムプランです。月額249.99ドル(初回利用者は最初の3ヶ月間50%オフのオファーあり)で、現時点では米国のみで提供され、今後対象国が拡大される予定です。Ultraプランの加入者は、Veo 3や今後登場予定の「2.5 Pro Deep Thinkモード」といった最新モデルへのアクセスに加え、デスクトップ向けに近日公開予定の実験的機能「エージェントモード(Agent Mode)」への早期アクセスも得られます。エージェントモードは、ユーザーが目標を述べるだけで、Geminiがその達成に必要なステップを自律的に計画・実行する機能です。ライブウェブブラウジング、詳細なリサーチ、Googleアプリとのスマートな連携といった高度な機能を組み合わせ、複雑なマルチステップのタスクを最小限の監督で処理できるようになるとされています。

デフォルトモデルは「2.5 Flash」へ

 今回の発表で、Geminiの新しいデフォルトモデルとして「2.5 Flash」が採用されたことも明らかになりました。このモデルは、驚くべき品質と非常に高速な応答時間を両立しており、ユーザー体験の向上に貢献します。

まとめ

 今回のGoogle I/Oで発表されたGeminiのアップデートは、AIアシスタントが私たちの生活や仕事において、より多機能で、よりパーソナルなサポートを提供する未来を示唆しています。特に、Gemini Liveの無料化や多言語対応の強化、そして日本の学生も対象となる学習支援機能の充実は、国内ユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。

 画像生成のImagen 4、動画と音声まで生成するVeo 3、そして「バイブコーディング」を可能にするCanvasなど、クリエイティブな活動を支援する機能も大幅に強化されました。Deep Researchによる高度な情報分析や、将来的に期待されるエージェントモードなど、専門的な業務を効率化する可能性も秘めています。

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