はじめに
スマートフォンの進化は、単なるスペックの向上だけでなく、いかにユーザー一人ひとりの使い方に寄り添えるか、という「パーソナライズ」の領域にも及んでいます。2025年8月28日にGoogleの公式ブログ「The Keyword」で公開された記事「4 easy ways to personalize your Pixel 10」では、最新モデルであるPixel 10シリーズに搭載された、ユーザー体験をより豊かにするための新しいパーソナライズ機能が紹介されています。
本稿では、この発表を基に、AIアシスタント機能「Magic Cue」や新しいデザインシステム「Material 3 Expressive」といった新機能の技術的な側面や、それらが私たちのスマートフォン体験をどのように変えるのかについて、解説していきます。
参考記事
- タイトル: 4 easy ways to personalize your Pixel 10
- 発行元: The Keyword (Google)
- 発行日: 2025年8月28日
- URL: https://blog.google/products/pixel/pixel-10-personalization-features/
・本稿中の画像に関しては特に明示がない場合、引用元記事より引用しております。
・記載されている情報は、投稿日までに確認された内容となります。正確な情報に関しては、各種公式HPを参照するようお願い致します。
・内容に関してはあくまで執筆者の認識であり、誤っている場合があります。引用元記事を確認するようお願い致します。
要点
- Magic Cueは、Googleの最新チップ「Tensor G5」とオンデバイスAI「Gemini Nano」を活用し、アプリ間の情報を連携させてユーザーの次の行動を予測・支援する機能である。
- Daily Hubは、Discoverフィード上で一日の予定や関連情報、おすすめコンテンツなどをまとめて確認できるパーソナライズされたダイジェスト機能である。
- Material 3 Expressiveは、UIのデザインやアニメーションをより表現力豊かに、そしてユーザーの好みに合わせて細かく設定できるPixel専用の新デザインシステムである。
- 初期設定の段階からカスタマイズ性が向上しており、ユーザーは購入直後から自分好みの設定をより簡単に行えるようになっている。
詳細解説
Pixel 10シリーズ(Pixel 10, Pixel 10 Pro, Pixel 10 Pro XL, Pixel 10 Pro Fold)に搭載された4つの主要なパーソナライズ機能を、一つずつ詳しく見ていきましょう。
Magic Cue:AIがあなたの次の行動を先読みする
今回のアップデートで最も注目すべき機能の一つが「Magic Cue」です。これは、日々のスマートフォン利用でアプリ間を移動しながら情報を探す手間を省くための、AIを活用したアシスタント機能です。
この機能の心臓部となっているのが、Googleの第5世代独自開発チップ「Google Tensor G5」と、デバイス上で直接動作する軽量AIモデル「Gemini Nano」です。通常、高度なAI処理はクラウド上のサーバーと通信して行われますが、Gemini Nanoはスマートフォン本体で完結させる「オンデバイスAI」です。これにより、インターネット接続がなくても高速に動作し、かつプライバシー性の高い情報(メールやカレンダーの予定など)を外部に送信することなく処理できるという大きな利点があります。
具体的には、以下のような動作をします。
- Gmailで受信したレストランの予約確認メールを検出し、自動でGoogleカレンダーに予定を追加する提案をする。
- カレンダーに登録された旅行の予定に合わせて、現地の天気予報を自動で表示する。
Magic Cueは、ユーザーの邪魔にならないように設計されており、適切な提案が見つからない場合は何も表示しません。また、機能のオン・オフや、どのアプリのデータへのアクセスを許可するかは、ユーザーがいつでも設定からコントロールできます。
Daily Hub:一日の情報をスマートに集約
「Daily Hub」は、GoogleアプリのDiscoverフィード内に新設される、パーソナライズされたダイジェスト機能です。これは、一日の始まりと終わりに、ユーザーが必要とする情報を一つの画面にまとめて提示してくれるものです。
Daily Hubには、以下のような情報が表示されます。
- 今日のカレンダーの予定
- ユーザーの興味に合わせた深掘りすべきトピック
- おすすめの音楽プレイリスト
- Magic Cueによる提案
これにより、朝の忙しい時間や一日の終わりに、複数のアプリを開くことなく、その日の概要を素早く把握できます。もちろん、ダイジェストは朝と夕方だけでなく、いつでも好きな時に確認することが可能です。
Material 3 Expressive:見た目も操作感も、もっとあなたらしく
Pixelシリーズの魅力の一つは、Googleが提唱する「マテリアルデザイン」による洗練されたUIです。Pixel 10には、その最新版である「Material 3 Expressive」がPixel限定で搭載されます。
これは、従来の「Material You」が壁紙の色に合わせてUIカラーを自動調整する機能でパーソナライズを実現していたのに対し、さらに表現力とカスタマイズ性を高めたものです。
- Live Effects: 通知が届いたり、状況が変化したりするのに合わせて、写真の壁紙が動的に変化します。これにより、ロック画面やホーム画面がより生き生きとした印象になります。
- コンポーネントの強化: UIを構成する14の要素(コンポーネント)が新しくなったり、アップデートされたりしました。これにより、場所によって文字の強調具合を変えたり、配色パターンを切り替えたり、アイコンボタンの形を変更したりといった、より細かなカスタマイズが可能になります。
- 流体的なアニメーション: 通知シェードを引き下ろす際の弾むような(springy)アニメーションや、メールをスワイプしてアーカイブする際の滑らかな(smooth)インタラクションなど、操作していて楽しくなるような動きが随所に取り入れられています。

初期設定から始まる徹底したパーソナライズ
Pixel 10では、セットアッププロセスの中で、以下のような多様なオプションを設定できます。
- リアルタイム翻訳機能のオン・オフ
- 周囲で流れている音楽を自動で認識する機能
- ロック画面に表示する情報の選択
- バッテリー消費を抑えつつ時間などを常に表示する「常時表示ディスプレイ」
- デバイスの通知音や操作音の変更
- 緊急時に備え、連絡先などを登録する「あんしん情報」アプリの設定
これらの設定は、もちろん後からいつでも変更可能です。Pixelは、ユーザーの好みやライフスタイルの変化に合わせて、常に最適な状態に調整できるスマートフォンであることを目指しているとのことです。
まとめ
本稿では、Google Pixel 10に搭載された新しい4つのパーソナライズ機能について解説しました。
AIがユーザーの行動を先読みして手助けする「Magic Cue」のような「賢さ」の進化と、UIの見た目や触り心地を自分好みに細かく調整できる「Material 3 Expressive」のような「表現力」の進化。これらの機能によって、スマートフォンは単なる便利なツールから、日々の生活を理解し、サポートしてくれる真の「相棒」のような存在へと変わっていくのかもしれません。