[ニュース解説]AI「Claude」の規約更新:あなたのデータはAIの学習に使われる?知っておきたい選択のポイント

目次

はじめに

 本稿では、AI開発企業Anthropic社が提供する対話型AI「Claude」の、個人向けプランにおける利用規約とプライバシーポリシーの更新について、2025年8月29日に発表された同社の公式ブログ記事「Updates to Consumer Terms and Privacy Policy」を基に、その内容を詳しく解説します。

参考記事

要点

  • Anthropic社は、AI「Claude」の個人向けプラン(Free, Pro, Max)において、ユーザーデータをモデルの性能向上のために利用する規約更新を発表した。
  • ユーザーは、自身のデータをAIの学習に提供するかどうかを任意で選択できる
  • データ提供に同意した場合、データの保持期間が従来の30日間から最長5年間に延長される。
  • この変更の目的は、AIモデルの安全性向上と、コーディングや分析、推論といった能力の強化である。
  • 法人向けプラン(Claude for Workなど)やAPI経由での利用は、この更新の対象外である。

詳細解説

なぜ今、規約が更新されるのか?

 AIモデル、特にClaudeのような大規模言語モデルは、より賢く、より安全になるために大量のデータを必要とします。特に、現実世界で人々がどのようにAIを使うかというデータは、AIの応答をより自然で役立つものにするための、非常に価値のある情報源となります。

 例えば、開発者がClaudeと対話しながらコードのデバッグを行う場合、その一連のやり取りは、AIが将来同様のタスクをよりうまくこなすための絶好の学習材料となります。Anthropic社は、このような実世界のデータを活用することで、すべてのユーザーにとってより良いモデルを開発するという好循環を生み出すことを目指しています。

今回の変更で重要となる「ユーザーの選択権」

 今回の更新における最大のポイントは、データ提供の判断が完全にユーザーに委ねられている点です。ユーザーは、自身のデータをClaudeの学習に利用させるかどうかを、いつでも自分で決めることができます。

  • 新規ユーザーの場合: アカウント作成のプロセス中に、データ提供に関する選択肢が表示されます。
  • 既存ユーザーの場合: アプリ内にポップアップ通知が表示され、データ提供に同意するかどうかを選択します。2025年9月28日が選択の期限となっており、それ以降は、この設定を選択しないとClaudeの利用を継続できなくなりますので注意が必要です。

 この設定は、一度決めた後でも、アカウントの「プライバシー設定」からいつでも変更することが可能です。

データ保持期間が「5年」に延長される理由

 データ提供に同意した場合、もう一つの大きな変更点として、データの保持期間が最長5年間に延長されます。これは一見長い期間に思えるかもしれませんが、Anthropic社はその理由を次のように説明しています。

  1. AIの開発サイクルとの連携: AIモデルの開発には通常18ヶ月から24ヶ月、あるいはそれ以上の長い期間が必要です。開発期間中に一貫したデータセットで学習を行うことで、モデルの応答や推論の安定性が増し、ユーザーはモデルのアップデートをよりスムーズに感じられるようになります。
  2. 安全性の向上: 詐欺やスパム、悪用といった有害な利用パターンを検出するシステムは、長期間にわたるデータから学習することで、その精度を高めることができます。これにより、Claudeというプラットフォーム全体の安全性が向上します。

 もしデータ提供に同意しない場合、データ保持期間は従来どおり30日間となります。また、同意した場合でも、個別のチャットを削除すれば、そのデータが将来のモデル学習に使われることはありません。

対象となるユーザーと、対象外のサービス

 今回の更新は、あくまで個人向けの利用が対象です。

  • 対象となるプラン:
    • Claude Free
    • Claude Pro
    • Claude Max
  • 対象外のサービス:
    • 法人向けプラン(Claude for Work, Claude Gov, Claude for Education)
    • API経由での利用(Amazon BedrockやGoogle Cloud Vertex AIなどを通じた利用も含む)

 データの機密性が特に重視されるビジネス用途では、ユーザーデータがモデルの学習に使われることはないため、これまで通り安心して利用できます。

プライバシー保護への取り組み

 Anthropic社は、ユーザーのプライバシーを保護するため、自動化されたツールを用いて機密データをフィルタリングまたは難読化するプロセスを導入していると説明しています。また、ユーザーデータを第三者に販売することはないと明言しています。

まとめ

 今回のClaudeの利用規約とプライバシーポリシーの更新は、AIサービスの透明性とユーザーの選択権を重視する、一つの重要な動きと言えます。私たちユーザーは、AIの性能向上に貢献するというメリットと、自身のデータが長期間保持されるという側面を理解した上で、自らの判断でデータ提供の可否を選択することが求められます。

 重要なのは、この選択権が常にユーザーの手にあるということです。 ご自身のプライバシーに対する考え方に基づき、設定を見直してみてはいかがでしょうか。

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