AI研究の二つの潮流:シンボリックAIとノンシンボリックAIを初心者向けにわかりやすく解説!

人工知能(AI)研究の歴史は、大きく二つの潮流、すなわちシンボリックAIとノンシンボリックAIの対立と融合の歴史でもあります。これらのアプローチは、AIの実現方法に対する根本的な考え方の違いに根ざしています。本記事では、それぞれの特徴、歴史、そして現代のAI研究における位置づけを詳しく解説します。

シンボリックAI:知識と推論の追求

シンボリックAIは、人間の知識や記号をコンピューターに与え、論理的な推論を行うアプローチです。これは、人間の思考を記号の操作として捉える「記号処理」の考え方に基づいています。

  • 特徴:
    • 知識を記号やルールで表現
    • 論理的な推論や記号処理に強い
    • 説明可能性が高い
    • 知識の追加や修正が困難
    • 現実世界の複雑な問題を扱うのが苦手
  • 代表例:
    • エキスパートシステム
    • ルールベースシステム
    • 論理プログラミング
  • 歴史:
    • ダートマス会議(1956年)から1980年代にかけて主流
    • 特定の専門分野では高い精度を発揮
    • 知識獲得のボトルネックにより、限界を迎える
記号処理とは:
  • 記号処理とは、現実世界の概念や知識を、コンピューターが理解できる記号(シンボル)で表現し、それらの記号を操作することで推論や問題解決を行う技術です。
  • 例えば、「もしAならばB」というルールを記号で表現し、Aが成立すればBを導き出すといった処理を行います。
  • 人間の論理的な思考や知識をコンピューターに再現することを目指します。

ノンシンボリックAI:データと学習の重視

ノンシンボリックAIは、データから自動的にパターンを学習するアプローチです。これは、人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークを用いて、データから知識を自動的に学習を通じて獲得する「コネクショニズム」の考え方に基づいています。人間側が知識を明示的に与えない点がシンボリックAIと異なります。

  • 特徴:
    • データから自動的に学習
    • パターン認識や柔軟な処理に強い
    • 現実世界の複雑な問題を扱うのが得意
    • 説明可能性が低い
    • 大量のデータと計算資源が必要
  • 代表例:
    • 機械学習
    • ニューラルネットワーク
    • 深層学習
  • 歴史:
    • 1980年代に台頭し、1990年代以降に主流となる
    • 機械学習アルゴリズムの発展
    • 深層学習の登場により、画像認識や自然言語処理などでブレークスルー

コネクショニズムの知能体の特徴は、学習の方式である。コネクショニズムの知能体へは、前もってカテゴリの分類基準を与えたり、前もって作業手順を与えておく必要はない。いわゆる人間の成人が持っている”概念体系”や”常識作法”に相当するものを事前に与えておく必要はない。コネクショニズムの知能体は、最初は”白紙”の状態であり、多数の事例を与えられ、”経験”することで、自らゆっくりと「学習」してゆく。(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/コネクショニズム

引用ンボリックAIとノンシンボリックAIの論争

シンボリックAIとノンシンボリックAIは、長年にわたり激しい論争を繰り広げてきました。

  • シンボリックAI支持者:
    • 人間の知能は記号処理であり、論理的な推論が重要
    • 説明可能性の高いAIを実現すべき
  • ノンシンボリックAI支持者:
    • 人間の知能は脳の神経回路の働きであり、データからの学習が重要
    • 現実世界の複雑な問題を解決できるAIを目指すべき

現代のAI研究:融合と進化

現代のAI研究では、シンボリックAIとノンシンボリックAIの融合が進んでいます。それぞれの強みを組み合わせることで、より高度なAIを実現しようという試みです。

  • ニューロシンボリックAI:
    • ニューラルネットワークと記号推論を組み合わせる
    • 説明可能性と柔軟性を両立
    • 例:深層学習と知識グラフの組み合わせ
  • AIの進化:
    • 近年の大規模言語モデルなどは、大量のデーターを学習することで、あたかも、推論しているような挙動を示す。
    • シンボリックな要素を、ノンシンボリックAIに取り込む研究開発が盛んに行われている。

まとめ

シンボリックAIとノンシンボリックAIは、AI研究の二つの重要な潮流であり、それぞれの強みと弱みを持っています。現代のAI研究は、これらのアプローチを融合し、より高度なAIを実現しようとしています。今後も、両者の長所を組み合わせることで、AI技術はさらに進化していくでしょう。

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