[ビジネスマン向け]ServiceNow、Claudeを標準AIモデルに採用——エンタープライズ向けアプリ開発と社内生産性向上を実現

目次

はじめに

 ServiceNowが2026年1月29日、AnthropicのAIモデル「Claude」を同社のServiceNow Build Agentのデフォルトモデルとして採用し、ServiceNow AIプラットフォーム全体での優先モデルとしても選定したことを発表しました。本稿では、この発表内容をもとに、エンタープライズ企業におけるAI活用の実践例と、ServiceNowが社内外でClaudeをどのように活用しているかを解説します。

参考記事

要点

  • ServiceNowは、ServiceNow Build AgentのデフォルトモデルとしてClaudeを採用し、ServiceNow AIプラットフォーム全体でも優先モデルとして選定した
  • 企業顧客は、年間800億以上のワークフローを処理するServiceNowプラットフォーム上で、Claudeの推論能力とコーディング能力を活用できる
  • ServiceNowは社内の29,000人以上の従業員にClaudeとClaude Codeを展開し、販売準備時間を95%削減、エンジニアリング生産性を向上させている
  • Claude Opus 4.5は主要な医療ベンチマークとライフサイエンス評価でトップの性能を記録しており、医療・ライフサイエンス分野での活用が期待される
  • ServiceNowは今後12か月でBuild Agentの利用が4倍に増加すると予測している

詳細解説

ServiceNowとClaudeのパートナーシップの背景

 ServiceNowは、IT支援、人事、カスタマーサービスなど、企業の幅広い業務を単一のプラットフォーム上で管理・自動化するサービスを提供しています。Anthropicによれば、企業がAIを実験段階から本格的な業務運用に移行する際、規模とセキュリティが能力と同じくらい重要になるとされています。

 今回のパートナーシップについて、AnthropicのCEO兼共同創業者であるDario Amodei氏は「企業がAIで犯しがちな誤りは、AIを時々アクセスする『追加ツール』として扱うことです。しかし、より良い結果を得る方法は、AIを仕事の進め方の不可欠な部分にすることです」とコメントしています。

 ServiceNowのプラットフォームは年間800億以上のワークフローを処理しており、これには セキュリティインシデントの解決、新入社員のオンボーディング、カスタマーサポートキューの管理などが含まれます。企業は、これらのワークフローをClaudeの推論能力とコーディング能力で強化できるようになります。

ServiceNow Build AgentでのClaude活用

 Claudeは、ServiceNow Build Agentのデフォルトモデルとして採用されました。Build Agentは、あらゆるスキルレベルの開発者がAIを使ってアプリや自動化を構築できるエンタープライズ向けコーディングソリューションです。

 Anthropicによれば、Build Agentは既に大きな初期導入実績を獲得しており、ServiceNowは今後12か月で利用が4倍に増加すると予測しています。Build AgentとClaudeの統合により、プロフェッショナルなコーダーだけでなく、市民開発者(専門的なコーディング知識を持たない開発者)も、自然言語プロンプトを使用して、以前は大きな開発者サポートを必要としていたアプリケーションを作成できるようになります。

 また、顧客はClaudeを使用して、より高度なAIを必要とするタスクを処理しながら、AIが何を行うかについて完全な可視性と制御を維持できます。この点は、エンタープライズ利用において重要な要素と考えられます。なぜなら、企業は業務の自動化と同時に、コンプライアンスやガバナンスの要件を満たす必要があるためです。

製品導入の加速

 ServiceNowは、Anthropicと協力して、顧客がServiceNow製品を展開・採用する方法の改善にも取り組んでいます。Anthropicによれば、Claudeを活用することで、顧客の実装までの時間を50%削減することを目標としており、これは初期の販売会話から自律的な展開までの遅延を減らすことを意味します。

 この50%という削減目標は、企業のDX推進において重要な意味を持つと思います。一般的に、エンタープライズ向けソフトウェアの導入には数か月から数年かかることもあり、その期間中に投資効果が得られないことが課題とされてきました。AI支援による迅速な導入は、こうした課題の解決に寄与する可能性があります。

業界特化型ソリューション

 ServiceNowは、医療やライフサイエンスなど特定の業界向けに、Claudeを活用したエージェント型アプリケーションを構築しています。これらの環境では、Claudeは研究分析、請求承認などのタスクをサポートします。

 Anthropicによれば、Claude Opus 4.5は主要な医療ベンチマークとライフサイエンス評価でトップの性能を記録しており、これらのタスクにおいて業界をリードするAIモデルとされています。ServiceNow AIプラットフォームの基盤上でこれらの機能を活用することで、請求承認を数日から数時間に短縮しながら、コストも削減できる可能性があります。

 医療分野では、規制要件が厳しく、データのプライバシーとセキュリティが最重要課題です。ServiceNowのガバナンスプラットフォーム内でClaudeが動作することで、こうした要件を満たしながらAIの恩恵を受けられる点が、実用化において重要と考えられます。

ServiceNow社内でのClaude活用

 ServiceNowは、顧客に提供するAI機能を自社の29,000人以上の従業員にも適用しています。

 販売生産性の向上では、ServiceNowの営業担当者は、Claude活用のコーチングツールを使用して顧客ミーティングの準備を行っています。このツールは、Claudeをリアルタイムのエンタープライズデータとウェブ検索に接続し、営業担当者が見込み客情報、アカウントコンテキスト、その他の関連資料を一か所で統合できるようにします。Anthropicによれば、テスト段階の初期結果では、準備時間が最大95%削減され、営業担当者は手作業での調査ではなく戦略的な会話に集中できるようになったとのことです。

 この95%という削減率は非常に大きな数字です。営業活動において、顧客情報の収集と分析は重要ですが時間のかかる作業であり、これを大幅に効率化できることは、営業チームの生産性向上に直結すると思います。

 エンジニアリング生産性の向上では、ServiceNowはClaude Code(AnthropicのAIコーディングアシスタント)を、エンジニア、開発者、技術チーム全体に展開しています。チームはClaude Codeを使用して、コードの記述とレビュー、問題のデバッグ、反復的な開発タスクの自動化、内部ツールの高速化を行い、組織全体でアイデアから実装までの時間を短縮しています。

提供開始

 Claudeは現在、Build Agentのデフォルトモデルとして、またServiceNow AIプラットフォーム全体の優先モデルとして利用可能です。数万のServiceNowエンタープライズ顧客と同社の全世界の従業員が、Claudeにアクセスして部門を越えたエージェント型の自動化とワークフローを構築・展開できます。

まとめ

 ServiceNowとAnthropicのパートナーシップは、エンタープライズ企業におけるAI活用の実践例として注目されます。Build AgentでのClaude採用、社内での大規模展開、医療分野などへの特化型ソリューション開発により、AIが「追加ツール」ではなく業務の中核に組み込まれる形が示されています。今後12か月でBuild Agentの利用が4倍になるという予測が実現するか、注目したいところです。

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