はじめに
Googleが2026年1月22日、Google SearchのAI Modeに「Personal Intelligence」を拡張すると発表しました。この機能により、GmailやGoogle Photosの個人データを検索に活用し、ユーザーごとに最適化された回答を提供します。本稿では、この新機能の仕組みと活用方法、プライバシー保護の取り組みについて解説します。
参考記事
- タイトル: Personal Intelligence in AI Mode in Search: Help that’s uniquely yours
- 著者: Robby Stein
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2026年1月22日
- URL: https://blog.google/products-and-platforms/products/search/personal-intelligence-ai-mode-search/
要点
- Personal IntelligenceがGoogle SearchのAI Modeに統合され、GmailとGoogle Photosの個人データを検索に活用できるようになった
- Google AI ProおよびUltraサブスクライバーがオプトイン形式で利用可能で、接続のオン・オフはユーザーが完全にコントロールできる
- 旅行計画やショッピングなどで、メール内の予約情報や写真の記憶を参照し、個人の状況に合わせた提案を提供する
- プライバシー保護のためGemini 3を使用し、GmailやPhotosから直接的なモデル学習は行わない設計となっている
- 米国の英語版から段階的に展開され、個人用Googleアカウント向けの実験的機能として提供される
詳細解説
Personal Intelligenceとは何か
Googleによれば、Personal Intelligenceは「ユーザー固有の体験」をもたらすため、複数のGoogleアプリ間で情報の点と点を結びつける機能です。従来のGoogle Searchは世界中の情報にアクセスできる一方、個々のユーザーに特化した情報提供には限界がありました。この新機能は、その世界的な知識と個人に関連する洞察を統合し、よりパーソナライズされた検索体験を実現します。
今回の拡張では、Google AI ModeにGmailとGoogle Photosを接続できるようになり、ユーザーの個人的なコンテキストや洞察を活用した回答が可能になります。この仕組みは、ユーザーが毎回自分の好みや既存の計画を説明する必要をなくし、最初から個人に最適化された提案を提供することを目指しています。
具体的な活用シーン
Personal Intelligenceは、日常的なさまざまな場面で活用できると考えられます。Googleの発表では、いくつかの実用例が紹介されています。
旅行計画のケース: 家族での旅行を計画する際、AI ModeはGmail内のホテル予約情報とGoogle Photosの旅行の思い出を参照し、家族全員が楽しめる旅程を提案します。たとえば、子供向けのインタラクティブな博物館や、写真に多く残されているアイスクリームの記憶から昔ながらのアイスクリームパーラーを推奨するなど、単なる一般的なレストランやアクティビティのリストではなく、個人の状況に合わせた出発点を提供します。
ショッピングのケース: 旅行用の新しいコートが必要な場合、AI Modeはユーザーが好むブランドを考慮するとともに、Gmail内のフライト確認情報から目的地と時期(例:3月のシカゴ)を特定します。その結果、天候とユーザーの好みの両方に適した、防風性のある多用途なコートを提案します。これは、すでに旅程とスタイルを把握しているパーソナルショッパーのような体験と言えます。
さらに、「もし自分の人生が映画だったら、タイトルとジャンルは何か」や「完璧な一日を描写して」といった、これまで検索では想像もしなかったような楽しい質問にも対応できます。
このような活用シーンは、AIが個人のデジタルフットプリントを理解し、それをリアルタイムの検索ニーズと結びつけることで実現されています。従来の検索エンジンでは実現が難しかった、文脈を深く理解した提案が可能になると考えられます。
プライバシーとユーザーコントロール
Googleは、Personal Intelligenceの設計において透明性、選択肢、コントロールを中核に据えたと説明しています。GmailとGoogle Photosの接続は完全にオプトインであり、ユーザーがこれらのアプリをSearchに接続するかどうか、いつ接続するかを選択できます。また、接続はいつでもオン・オフを切り替えることが可能です。
プライバシー保護の観点から、AI Modeは最も高性能なモデルであるGemini 3を使用し、GmailのインボックスやGoogle Photosライブラリから直接的にトレーニングを行わない設計になっています。トレーニングは、AI Modeでの特定のプロンプトとモデルの応答など、限定的な情報に限られており、これは時間の経過とともに機能を改善するためのものとされています。
また、Googleの内部テストでは、Personal Intelligenceが非常に有用である一方、誤りが発生する可能性も認識されています。システムが無関係なトピック間で誤った関連付けを行ったり、文脈を完全に理解できなかったりする場合があります。推奨内容が適切でない場合、ユーザーはAI Modeでフォローアップの応答により修正や明確化を行うことができ、「サムズダウン」フィードバックも提供できます。
このようなプライバシー保護の仕組みは、個人データを活用したAI機能において重要な課題と考えられます。ユーザーが自身のデータの使用方法を理解し、コントロールできることは、こうした機能の信頼性を高める上で不可欠と思います。
利用可能性と設定方法
Personal IntelligenceをAI ModeのGmailおよびGoogle Photosに接続する機能は、Labs機能としてロールアウトされます。対象となるGoogle AI ProおよびUltraサブスクライバーは、米国の英語版で自動的にこの機能にアクセスできるようになります。この実験的機能は個人用Googleアカウント向けであり、Workspace business、enterprise、education ユーザーは対象外です。
この機能は今後数日間でロールアウトされ、AI ProおよびUltraサブスクライバーにはAI Modeで試用の招待が表示される予定です。招待が表示されない場合でも、設定から手動で有効化できます:
- Searchを開いてプロフィールをタップ
- Search personalizationをクリック
- Connected Content Appsを選択
- WorkspaceとGoogle Photosを接続
段階的な展開という方式は、新機能のテストとフィードバック収集に適したアプローチと考えられます。まず限定的なユーザー層で運用し、問題点を洗い出してから広範な展開を行うことで、品質とユーザー体験の向上を図っていると思います。
まとめ
GoogleのPersonal Intelligence機能は、検索体験を個人に最適化する重要な一歩と言えます。GmailやPhotosのデータを活用することで、より文脈に沿った提案が可能になり、ユーザーはより効率的に情報を得られるようになると考えられます。一方で、プライバシー保護とユーザーコントロールの仕組みが適切に機能するか、実際の使用を通じて検証されていくことになります。この技術が今後どのように発展し、他のプラットフォームにも広がっていくのか、注目していきたいところです。
