[AIツール利用者向け]GoogleとKhan Academyが提携、Geminiモデルで学習支援ツールを構築

目次

はじめに

 Googleが2026年1月21日、非営利教育団体のKhan Academyとのパートナーシップを発表しました。Geminiモデルを活用した新しい教育ツールの開発を進めており、特に中高生のリテラシー教育に焦点を当てています。本稿では、この提携の背景と具体的なツールの内容、教育分野へのAI活用の可能性について解説します。

参考記事

要点

  • GoogleとKhan Academyが教育分野でのパートナーシップを締結し、Geminiモデルを活用した学習支援ツールを開発する
  • Writing Coachツールは学生が自分で考えながら文章を作成するプロセスを支援し、グレード7-12で利用可能、グレード5-6ではベータ版として提供される
  • Reading Coachは2026年後半にリリース予定で、グレード5-12の学生向けにカスタマイズ可能な読解学習体験を提供する
  • Schoolhouse.worldではGeminiを活用し、家庭教師がセッション前に仮想の学生プロファイルで練習できるシミュレーター機能を実装した

詳細解説

パートナーシップの背景と目的

 Googleによれば、今回の提携は学習科学に基づいた技術開発と、教育の専門家との協働を重視する姿勢から生まれました。Khan Academyの創設者兼CEOであるSal Khan氏は、学区のリーダーたちが直面する最大の課題として、学業面で遅れている中高生、特に読解力や言語能力の支援を挙げています。

 この提携の特徴は、単にAIが答えを生成するのではなく、学生が自ら学習プロセスを経験することを重視している点にあります。教育分野でのAI活用においては、学習者の主体性を損なわずに支援する設計が重要と考えられており、両社の共通理念がこのアプローチに反映されています。

Writing Coach: 書くプロセスを支援するツール

 Khan AcademyのWriting Coachツールは、Geminiの最も高性能なモデルを統合しています。Googleの発表では、このツールは完成した文章を提供するのではなく、学生がアウトライン作成、下書き、推敲といった一連の執筆プロセスを自ら進められるよう導くことに重点を置いています。

 教師は「完全なインタラクティブ体験」または「フィードバックのみ」のモードを選択できます。現在、米国内のグレード7-12で利用可能で、グレード5-6ではベータ版として提供されています。対応するエッセイのタイプは、説得的、説明的、文学分析の3種類です。

 Geminiの能力により、ツールは学生の現在のレベルに適応します。フィードバックを調整し、具体的な例を提供することで、学生が行き詰まりを解消し、執筆を開始できるよう支援します。従来の自動校正ツールは文法や表現の誤りを指摘するにとどまることが多いですが、このツールは執筆の思考プロセス自体をサポートする設計と言えます。

Reading Coach: カスタマイズ可能な読解学習

 2026年後半にリリース予定のReading Coachは、グレード5-12の学生を対象としています。教師は様々なテキストを用いてインタラクティブな学習体験をカスタマイズし、課題として割り当てることができます。

 Geminiは学生をテキストを通じて導き、理解度を確認するための質問を投げかけます。その後、教師には個別および学級レベルでの洞察と推奨事項が提供されます。読解指導においては、学生の理解度を正確に把握することが重要な課題とされており、AIによる継続的な対話と分析がこの課題に対応する可能性があります。

Schoolhouse.world: 人対人の家庭教師を支援

 Sal Khan氏が共同創設した非営利のピアツーピア家庭教師プラットフォームであるSchoolhouse.worldも、Geminiを活用した機能を導入しました。

 Googleの発表によれば、Schoolhouseでは各セッション後にAIフィードバックを通じて家庭教師にコーチングを提供しています。新しいAIセッションシミュレーターにより、家庭教師は実際の学習者と会う前に、様々な仮想学生プロファイルで練習できます。

 この機能の意義は、AIを教育の最前線で直接使用するのではなく、教える側の人間のスキル向上に活用している点にあります。家庭教師の自信と共感力を高めることで、人間同士の対話の質を向上させるというアプローチは、AI活用の一つの方向性を示していると思います。

教育におけるAIの役割についての考え方

 Google記事では、「教育におけるAIは、接続を強化すべきであり、それを置き換えるべきではない」という原則が強調されています。このビジョンは、AIを単なる質問応答ツールとしてではなく、学習プロセスを通じて学生を導く存在として位置づけています。

 GoogleとKhan Academyの長年にわたる教育への取り組みが、今回の提携で統合された形です。両組織の共通の使命は、テクノロジーを活用してすべての人に大規模な学習機会を提供することにあります。

まとめ

 GoogleとKhan Academyの提携は、Geminiモデルを活用した教育ツールの開発を通じて、学生のリテラシースキル向上を目指す取り組みです。Writing CoachとReading Coachは学習プロセス自体を支援する設計となっており、Schoolhouse.worldでは教える側の人間の能力向上にAIが貢献しています。教育分野でのAI活用において、技術が人間の学びや教えを支援する役割に徹する姿勢が印象的です。

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