はじめに
OpenAIが2026年1月16日、低価格サブスクリプションプラン「ChatGPT Go」を世界展開すると発表しました。同プランは2025年8月にインドで先行導入され、その後171か国に拡大していましたが、今回ChatGPTが利用可能なすべての地域で提供されます。あわせて、米国では無料版およびGo向けに広告テストを開始する計画も明らかにされました。本稿では、これらの発表内容を詳しく解説します。
参考記事
メイン記事:
- タイトル: ChatGPT Go が登場、世界中で利用可能に
- 発行元: OpenAI
- 発行日: 2026年1月16日
- URL: https://openai.com/ja-JP/index/introducing-chatgpt-go/
関連情報:
- タイトル: 広告と ChatGPT へのアクセス拡大に対する OpenAI の取り組み
- 発行元: OpenAI
- 発行日: 2026年1月16日
- URL: https://openai.com/ja-JP/index/our-approach-to-advertising-and-expanding-access/
- タイトル: ChatGPT 料金
- 発行元: OpenAI
- URL: https://chatgpt.com/ja-JP/pricing?openaicom_referred=true
- タイトル: ChatGPT ads are coming, and they’ll be influenced by your conversations
- 著者: Megan Morrone, Kerry Flynn
- 発行元: Axios
- 発行日: 2026年1月16日
- URL: https://www.axios.com/2026/01/16/chatgpt-ai-openai-ads
要点
- ChatGPT Goは2025年8月にインドで先行導入され、171か国に展開した後、2026年1月16日からChatGPTが利用可能なすべての地域で提供される
- 米国での価格は月額8ドル、日本では月額1,500円で、無料プランの10倍のメッセージ送信、ファイルアップロード、画像生成が可能になる
- 米国では今後数週間以内に、無料版およびChatGPT Go向けに広告テストを開始し、Plus、Pro、Business、Enterpriseプランには広告を表示しない
- OpenAIは広告に関する5つの原則を掲げており、ChatGPTの回答は広告の影響を受けず、会話内容は広告主に共有されず、データも販売されない
- Axiosによれば、OpenAIは2030年までに最大1,150億ドルの現金を消費する可能性があり、広告導入は収益化戦略の一環である
詳細解説
ChatGPT Goの世界展開と価格体系
OpenAIによれば、ChatGPT Goは2025年8月にインドで初めて導入され、その後171か国に拡大しました。このプランは、同社で最も成長の速いプランの1つとなり、世界的に見ても手頃な価格のAIサブスクリプションとして普及してきました。文章作成、学習、画像生成、問題解決といった用途で多くのユーザーに採用され、日常的に利用されているとのことです。
2026年1月16日からは、ChatGPTが利用可能なすべての地域で提供されます。米国での価格は月額8ドル、日本では月額1,500円で、一部の市場では地域の通貨で提供されます。
ChatGPT Goは、最新モデルであるGPT-5.2 Instantへのアクセスを、より手頃な価格で利用したい方のために設計されています。無料プランの10倍のメッセージ数、ファイルアップロード、画像生成が可能で、より長いメモリとコンテキストウィンドウも利用できます。これにより、ChatGPTは時間の経過とともにユーザーに関する有用な情報をより多く記憶できるようになります。
3つの個人向けプランの位置づけ
OpenAIは現在、個人向けに3つのプランを提供しています。
ChatGPT Plus(月額20ドル、日本では3,000円)では、GPT-5.2 Thinkingを含む高度なモデルへのアクセスがさらに拡張されます。レガシーモデルを選択できるほか、コーディングエージェントCodexも利用できます。コンテンツやドキュメントの作成、学習や研究、データ分析など、より深い推論を必要とする作業向けに設計されているとのことです。ChatGPT Goと比べて、メッセージ、ファイルアップロード、メモリ、コンテキストの上限が高く設定されており、ChatGPTは過去の会話の詳細をより多く記憶し、より長く継続的なワークフローをサポートできます。
ChatGPT Pro(月額200ドル、日本では30,000円)では、最も強力なモデルであるGPT-5.2 Proへのフルアクセスを利用できます。また、最大限のメモリとコンテキストを利用できるほか、最新機能のプレビューも提供されます。そのため、高度な知能を限界まで活用したいAIパワーユーザーに適したプランとされています。
この3つのプランに加えて、無料プランも引き続き提供されます。無料プランでは、GPT-5.2 Instantへの限定的なアクセスが可能ですが、メッセージ数やアップロード数に上限があります。
広告導入の背景と目的
OpenAIは、AIを誰もが利用できるようにする取り組みの一環として、米国で広告のテストを開始すると発表しました。広告は、ChatGPTを無料または手頃な価格で提供し続けるための支えとなるとされています。
Axiosによれば、OpenAIは2025年9月に投資家に対し、2030年までに最大1,150億ドルの現金を消費する可能性があると説明しました。同社は、データセンターやその他の技術インフラストラクチャに少なくとも1兆4,000億ドルを投資する計画ですが、これまでどのように収益を上げるかについては明らかにしていませんでした。
今回の広告導入は、この収益化戦略の一環と考えられます。OpenAIは2025年5月にInstacart CEOのFidji Simoをアプリケーション部門のCEOとして採用し、同氏は収益化に向けた人材採用を任されました。さらに2025年12月には、Slack CEOのDenise Dresserを最高収益責任者として引き抜きました。
広告のテストは、今後数週間以内に米国において無料版およびChatGPT Goプランを利用している18歳以上のログインユーザーを対象に開始される予定です。Plus、Pro、Business、Enterpriseの各プランには広告は表示されません。
広告に関する5つの原則
OpenAIは、広告導入にあたって、ChatGPTの価値を守ることが極めて重要だとしており、5つの原則を掲げています。
第一に、使命との整合性です。OpenAIの使命は、AGIが全人類に利益をもたらすことであり、広告の取り組みは常にその使命を踏まえて行われ、AIをより利用しやすくすることを目的としています。
第二に、回答の独立性です。広告がChatGPTの回答に影響を与えることはなく、回答はユーザーにとって最も役立つ内容に基づいて最適化されます。広告は常にコンテンツとは分けて表示され、明確にラベル付けされます。
第三に、会話のプライバシーです。ChatGPTとの会話は広告主に共有されることはなく、データが広告主に販売されることもありません。
第四に、選択と管理です。データの使用方法はユーザー自身が管理でき、パーソナライズは無効にでき、広告に使用されるデータはいつでも削除できます。ChatGPTでは、広告を表示せずに利用できる選択肢を常に提供し、その1つとして広告なしの有料プランがあります。
第五に、長期的な価値です。ChatGPTの利用時間を長くすることを目的とした最適化は行わず、収益よりもユーザーの信頼とユーザー体験を優先します。
広告の表示方法と今後の展開
OpenAIによれば、まずは現在の会話内容に関連するスポンサー付きの商品やサービスがある場合、ChatGPTの回答の下部に広告を表示するテストを行う予定です。広告は明確に表示され、通常の回答とははっきり区別されます。また、ユーザーは、なぜその広告が表示されているのかを確認したり、任意の広告を非表示にして理由を伝えたりすることもできます。
Axiosによれば、広告はデフォルトでパーソナライズがオンになっており、オプトアウトが可能です。広告は「Sponsored」とラベル付けされ、チャットとは分離されます。
OpenAIは、健康、メンタルヘルス、政治などの機微または規制対象となるトピックを扱う場合には広告を表示しないとしています。また、ユーザーが18歳未満であると申告している、または同社が18歳未満であると判断したアカウントには広告を表示しません。
将来的には、より役立ち、関連性の高い新しい体験を開発していきたいとしています。会話型インターフェースでは、静的なメッセージやリンクを見るだけでなく、やり取りを通じて必要な情報をその場で深掘りできます。たとえば将来的には、広告を見ながら、購入を判断するために必要な質問をその場で直接できるようになる可能性があります。
業界の文脈と懸念事項
Axiosは、チャットボットにおける広告は常に不可避であり、懸念事項でもあったと指摘しています。人々がChatGPTや他のボットと共有する機密性の高い個人的および感情的な情報の量を考えると、広告導入には慎重な対応が求められます。
同記事は、広告導入によってOpenAIのインセンティブがユーザーへのサービスと広告主を喜ばせることの間で分裂すると指摘し、この溝は時間とともに広がる可能性があると警告しています。歴史的に見て、収益圧力が高まるにつれて、広告ターゲティングに関するガードレールが緩むことが多いとしています。
一方、OpenAIの主要な競合企業であるGoogle、Meta、Amazon、xAIは、ユーザーに広告を配信できる他の製品やサービスを持っています。OpenAIにはそのような選択肢がないため、ChatGPT自体に広告を導入する必要があったと考えられます。ただし、Googleも実験的にAI広告を行っており、Google幹部のDan TaylorはBusiness Insiderに対し「Geminiアプリに広告を導入する計画はない」と述べたものの、GoogleはAI OverviewsやAI Modeに広告を導入しています。
まとめ
OpenAIは、ChatGPT Goの世界展開と広告導入を通じて、より多くの人々に高度なAI技術へのアクセスを提供しようとしています。月額8ドルという価格設定と、無料プランの継続提供は、AIの民主化という同社の使命を反映したものと言えます。一方で、広告導入に伴うプライバシーへの配慮と、ユーザー体験の質の維持がどのように実現されるかが、今後の注目点だと思います。OpenAIが掲げる5つの原則が実際の運用でどこまで守られるか、見守っていく必要があると思います。
