はじめに
Googleが2025年12月4日、Geminiアプリに新しい「Gemini 3 Deep Think」モードを追加したと発表しました。このモードは、複雑な数学・科学・論理問題に対する推論能力を大幅に向上させたもので、Google AI Ultraサブスクライバー向けに提供されます。本稿では、この発表内容をもとに、Gemini 3 Deep Thinkの性能と技術的特徴について解説します。
参考記事
- タイトル: Gemini 3 Deep Think is now available in the Gemini app.
- 著者: Tulsee Doshi
- 発行元: Google Blog
- 発行日: 2025年12月4日
- URL: https://blog.google/products/gemini/gemini-3-deep-think/
要点
- Gemini 3 Deep ThinkモードがGoogle AI UltraサブスクライバーのGeminiアプリで利用可能になった
- Humanity’s Last Examで41.0%(ツール不使用)、ARC-AGI-2で45.1%(コード実行あり)という業界トップの成績を記録している
- 高度な並列推論を用いて複数の仮説を同時に探索する仕組みである
- Gemini 2.5 Deep Think variantsは国際数学オリンピックと国際大学プログラミングコンテストで金メダル標準を達成している
- プロンプトバーで「Deep Think」を選択し、モデルドロップダウンで「Gemini 3 Pro」を選択することで利用できる
詳細解説
Gemini 3 Deep Thinkモードの概要
Googleによれば、Gemini 3 Deep Thinkモードは、最先端モデルでも難しいとされる複雑な数学、科学、論理問題への対応を想定して設計されています。このモードは、従来のGeminiモデルと比較して、推論能力において大幅な改善を実現したとのことです。
Deep Thinkモードは、Google AI Ultraサブスクライバー向けに提供されており、Geminiアプリのプロンプトバーで「Deep Think」を選択し、モデルドロップダウンで「Gemini 3 Pro」を選択することで利用できます。
ベンチマーク性能
Googleの発表では、Gemini 3 Deep Thinkは厳格なベンチマークで業界トップの成績を記録しました。具体的には、Humanity’s Last Examで41.0%(ツール不使用)、ARC-AGI-2で45.1%(コード実行あり)という結果です。
Humanity’s Last Examは、人類の知識の限界を試すような高度な問題を含むベンチマークとして知られています。また、ARC-AGI-2は、抽象的推論能力を評価する指標で、AIモデルの汎化能力を測る上で重要視されています。これらのベンチマークで高い性能を示したことは、Gemini 3 Deep Thinkが複雑な推論タスクに対して実用的なレベルに達している可能性を示すと考えられます。
並列推論の技術
Gemini 3 Deep Thinkの特徴は、高度な並列推論(advanced parallel reasoning)を使用している点です。Googleによれば、このモデルは複数の仮説を同時に探索することで、複雑な問題に対してより効果的にアプローチできるとされています。
並列推論とは、複数の推論経路を同時に検討し、最適な解答を導き出す手法です。従来の逐次的な推論では、一つの経路が行き詰まると別の経路を試す必要がありましたが、並列推論では複数の可能性を同時に評価できるため、より効率的に解答に到達できると考えられます。
過去の成果との関連
Googleの発表では、Gemini 2.5 Deep Think variantsが最近、国際数学オリンピック(IMO)と国際大学プログラミングコンテスト(ICPC)世界大会で金メダル標準を達成したことにも言及されています。
国際数学オリンピックは、高校生レベルの数学の最高峰とされる競技であり、金メダル標準の達成は極めて高い数学的推論能力を示します。また、ICPCはプログラミングとアルゴリズム設計の能力を競う大会で、こちらでの金メダル標準達成も、AIモデルの問題解決能力が実用的なレベルに達していることを示すと思います。
Gemini 3 Deep Thinkは、これらの成果を基盤として構築されており、さらなる推論能力の向上を目指して開発されたと考えられます。
利用方法と対象ユーザー
Gemini 3 Deep Thinkモードは、Google AI Ultraサブスクライバー向けに提供されています。利用するには、Geminiアプリのプロンプトバーで「Deep Think」を選択し、モデルドロップダウンで「Gemini 3 Pro」を選択する必要があります。
まとめ
Gemini 3 Deep Thinkモードは、複雑な推論タスクに対して業界トップレベルの性能を示すAIモデルです。並列推論という技術的アプローチにより、数学オリンピックやプログラミングコンテストレベルの問題に対応できる能力を獲得しています。今後、このような高度な推論能力が、どのような実用的な場面で活用されるのか注目されます。
