[AIツール利用者向け]ChatGPTに商品リサーチ機能が登場:対話で最適な商品を提案

目次

はじめに

 OpenAIが2025年11月24日、ChatGPTに「shopping research」という新機能を発表しました。この機能は、ユーザーが求める商品を見つけるために、ウェブ上の情報を調査し、パーソナライズされた購入ガイドを数分で作成するものです。本稿では、この発表内容をもとに、shopping researchの仕組みと活用方法について解説します。

参考記事

要点

  • shopping researchは、ユーザーが探している商品の説明を入力すると、ウェブ上の情報を調査し、パーソナライズされた購入ガイドを作成する機能である
  • ChatGPTのFree、Go、Plus、Proすべてのプランで利用可能で、ホリデーシーズン中はほぼ無制限で使用できる
  • GPT-5 miniをベースに強化学習で訓練されたモデルが使用されており、製品精度は64%を記録している
  • 電化製品、美容、家庭・園芸、キッチン・家電、スポーツ・アウトドアなどの詳細情報が必要なカテゴリーで特に高い性能を発揮する
  • ユーザーとの対話は小売業者と共有されず、結果は公開されている小売サイトの情報のみに基づいている

詳細解説

shopping researchの基本機能

 shopping researchは、従来のように複数のサイトを自分で調べる代わりに、ChatGPTに求める商品の説明を入力するだけで商品リサーチを代行してくれる機能です。例えば「小さなアパートに適した静音のコードレススティック掃除機を探している」「この3つの自転車から選びたい」「4歳の姪にアートが好きな子向けのギフトが欲しい」といった質問に対して、明確な質問を投げかけながら詳細なガイドを作成します。

 OpenAIによれば、数億人のユーザーがChatGPTを使って商品を見つけ、理解し、比較しているとのことです。この機能は、単純な価格確認や機能の確認といった簡単な質問には通常のChatGPT応答で十分ですが、比較や制約、トレードオフといった深い検討が必要な場合に数分かけて詳細な調査結果を提供します。

 この機能は、ChatGPTのメモリー機能と過去の会話履歴を活用してパーソナライズされた提案を行う点が特徴です。例えば、ユーザーがゲームに興味があることをChatGPTが記憶していれば、新しいノートパソコンを探す際にそれを考慮した提案が可能になります。

5つの主要な使用シーン

 OpenAIの発表では、shopping researchの具体的な使用例として5つのシーンが紹介されています。

 1つ目は「新製品の発見」です。「1,000ドル以下でゲームに適した15インチ以上のスクリーンを持つ強力な新しいノートパソコンを探している」といった具体的な条件を指定すると、それに合う製品を調査します。

 2つ目は「類似品の検索」で、写真をアップロードして「これに似ているが、フルレングスで250ドル以下のドレスを探している」といった要望に応えます。

 3つ目は「並べて比較」の機能で、「軽量でコンパクト、折りたたみが簡単で、幼児に快適(良好なリクライニングとキャノピー)、都市の歩道と少し荒れた地形に対応でき、ミッドからやや高級な予算に合うベビーカーが欲しい。この3つのモデルを比較して、最適な選択肢とトレードオフを教えてほしい」といった複雑な比較要求に対応します。

 4つ目は「ギフトの選択」で、「釣りが大好きだけど全然釣れない父へのギフトが欲しい」といった曖昧な要望からも適切な提案を行います。

 5つ目は「お得な情報の検索」で、「このスニーカーのブラックフライデーのベストディールを見つけてほしい。学生なので割引コードの対象になるか教えてほしい」といったセール情報や割引適用条件の確認にも対応します。

 さらに、ChatGPT Proユーザーには、ChatGPT Pulse機能でshopping researchが利用可能です。Pulseは過去の会話に基づいてパーソナライズされた購入ガイドを先回りして提案する機能で、例えば電動自転車について話していた場合、後日その人に役立つアクセサリーを提案するカードが表示される可能性があります。

使用方法と対話の流れ

 使用方法は非常にシンプルです。ショッピングに関する質問をすると、ChatGPTが自動的にshopping researchを提案します。それをタップして開始するか、(+)メニューから「shopping research」を選択することもできます。

 開始すると、ChatGPTはビジュアルインターフェースを開き、商品オプションについてチャットしたりフィードバックを共有したりできます。予算、誰のためのものか、どの機能を重視するかといった明確な質問に答えることで、リサーチの方向性を定めていきます。

 バックグラウンドでは、価格、在庫状況、レビュー、仕様、画像といった最新情報をインターネット上から検索し、随時オプションを提示します。ユーザーは提案された商品に対して「興味なし」または「これに似たもの」とマークすることで、リアルタイムでフィードバックを提供し、リサーチの方向性を調整できます。

 数分後には、トップ商品、主要な違い、トレードオフ、信頼できる小売業者からの最新情報を含むパーソナライズされた購入ガイドが完成します。これは通常、ユーザー自身が多くの比較、読み込み、確認を行う必要があった作業を代行した結果と言えます。

 商品を購入したい場合は、小売業者のサイトにクリックスルーして購入できます。将来的には、Instant Checkoutに参加している販売者については、ChatGPT内で直接購入できるようになる予定です。

技術的基盤と性能

 OpenAIによれば、shopping researchはGPT-5 miniをベースに、ショッピングタスク専用に強化学習で訓練されたバージョンで動作しています。このモデルは、信頼できるサイトを読み取り、信頼できる情報源を引用し、多くの情報源からの情報を統合して高品質な商品リサーチを生成するように訓練されています。

 さらに、リアルタイムでリサーチを更新・改良できるインタラクティブな体験として設計されており、新しい制約を組み込み、ユーザーの商品選好に関するフィードバックに応じて調整することで、よく調査されパーソナライズされた応答を実現しています。

 性能評価では、「Product Accuracy」という指標が使用されています。この指標は、多くの制約を含む難しい商品発見クエリで構成された新しい評価セットで測定され、各応答の製品がユーザー要件(価格、色、材質、仕様など)を満たす割合を測定するものです。

 その結果、shopping researchの製品精度は64%を記録しました。これは、GPT-5-Thinkingの56%、GPT-5-Thinking-miniの37%、ChatGPT Searchの52%と比較して、最も高い精度となっています。ただし、この64%という数値は、従来の商品検索エンジンで求められる精度と比較すると、まだ完全ではなく、商品の詳細については最終的に販売者のサイトで確認する必要があると考えられます。

透明性と信頼性の確保

 OpenAIは、shopping researchが透明性と有用性を重視して設計されていることを強調しています。ユーザーの会話は小売業者と共有されることはなく、結果は公開されている小売サイトに基づいた有機的なものです。商品ページを直接読み取り、情報源を引用し、低品質やスパムサイトを避ける仕組みになっています。

 販売者がshopping researchの結果に確実に表示されるようにしたい場合は、OpenAIが提供する許可リストプロセスに従うことができます。これにより、特定の販売者を優遇することなく、質の高い情報源からの情報を確保する仕組みが整備されています。

 一方で、OpenAIは制約についても明確に述べています。shopping researchを動かすモデルは、ウェブから商品詳細を正確に引用する能力において他のモデルよりも優れた性能を示していますが、完璧ではありません。価格や在庫状況などの商品詳細について誤りを犯す可能性があるため、最も正確な詳細については販売者のサイトを訪問することが推奨されています。

今後の展開

 OpenAIは、正しい商品を見つけることを簡素化することが目標であると述べています。ChatGPTは、ユーザーの好みをより深く理解し、より多くのカテゴリーをカバーし、商品を比較・発見するためのより直感的な方法を提供することで、今後も改善を続けていく予定です。

 この機能は、eコマースの分野におけるAIの活用方法を示す一例と言えます。従来の検索エンジンやフィルター機能では、ユーザーが自分で条件を設定し、結果を比較する必要がありましたが、対話型AIを活用することで、より自然な方法で商品探しができる可能性があります。

まとめ

 OpenAIのshopping researchは、ChatGPT内で対話しながら商品リサーチを行い、パーソナライズされた購入ガイドを作成する機能です。GPT-5 miniベースの専用モデルを使用し、64%の製品精度を達成しています。すべてのプランで利用可能で、ホリデーシーズン中はほぼ無制限で使用できます。今後、eコマース分野でのAI活用がどのように進化していくのか、注目していきたいところです。

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