[ニュース解説]OpenAI、ミシガン州に1GW超のAIデータセンター建設へ:再工業化の新しい形

目次

はじめに

 OpenAIが2025年10月30日、ミシガン州Saline TownshipにStargateプロジェクトの新キャンパスを建設すると発表しました。本稿では、この発表をもとに、Stargateプロジェクトの全体像と、AI基盤整備が地域経済に与える影響について解説します。

参考記事

要点

  • OpenAIはOracleとの協力でミシガン州に1GW超のStargateキャンパスを建設する
  • これまで発表された6サイトと合わせて計8GW超、$450億超の投資となり、$500億・10GWの目標に向けて順調に進捗している
  • 2026年初めに建設開始予定で、2,500以上の組合建設雇用を創出する
  • クローズドループ冷却システムにより水消費を大幅削減し、既存の送電容量を活用することで地域への負荷を最小化する
  • テキサス、ニューメキシコ、ウィスコンシン、オハイオに続く全米展開の一環である

詳細解説

Stargateプロジェクトの全体像

 OpenAIによれば、今回のミシガン州キャンパスはOracleとの4.5GWパートナーシップの一環として建設されます。これまでに発表された全米6サイトの容量と合わせると、Stargateプロジェクトは計8GW超の規模となり、今後3年間で$450億を超える投資が計画されています。これは、2025年1月に表明された$500億・10GWの目標に向けて順調に進捗していることを示しています。

 データセンターの電力容量を示すGW(ギガワット)は、施設が消費できる最大電力を表します。1GWは原子力発電所1基分に相当する規模で、8GW超という数字は、大規模なAIモデルの訓練と運用に必要な膨大な計算資源を反映していると考えられます。

ミシガン州キャンパスの詳細

 OpenAIの発表では、ミシガン州のキャンパスはRelated Digitalによって開発され、2026年初めに建設が開始される予定です。建設段階では2,500以上の組合建設雇用が創出されるとのことです。

 環境への配慮として、クローズドループ冷却システムが採用されます。これは冷却水を循環させて再利用する方式で、従来の冷却方式と比較して水消費を大幅に削減できる技術です。データセンターの冷却は電力消費に次ぐ大きな環境負荷要因とされており、この選択は持続可能性への配慮を示していると言えます。

 また、電力供給についてはDTE Energyが既存の余剰送電容量を活用することで、地域の電力供給に影響を与えない設計となっています。施設運営に必要なインフラのアップグレード費用はプロジェクト側が負担し、地域の電力利用者への転嫁はないとされています。

AI基盤整備と地域経済への影響

 OpenAIは、AI発展に必要なインフラと製造業が「国の再工業化」の機会になると位置づけています。ミシガン州は長年にわたりアメリカのエンジニアリングと製造業の中心地であり、同州での建設は地域の強みを活かした選択と言えます。

 AIの発展は医療の改善や公共サービスの向上といった社会的便益をもたらすとされていますが、OpenAIは、そこに至るまでの基盤整備の過程でも、地域社会に経済的機会を提供することを重視しているとしています。雇用創出や地域経済への投資を通じて、AI技術の恩恵を全国のコミュニティが享受できるようにするという方針が示されています。

全米展開の戦略

 今回のミシガン州に加え、OpenAIはすでにテキサス州、ニューメキシコ州、ウィスコンシン州、オハイオ州にStargateサイトを発表しています。これらの拠点は、雇用創出、現代的なエネルギー・産業システムへの投資を促進し、次世代AIを支えるサプライチェーンの強化に寄与するとされています。

 地理的に分散した配置は、単一地域への集中によるリスクを分散し、各地域の経済発展を促す効果があると考えられます。また、全米規模でのAI基盤整備は、アメリカのAIリーダーシップを強化する戦略的な意味も持つといえます。

まとめ

 OpenAIのStargateプロジェクトは、ミシガン州への拡張により計8GW超・$450億超の規模に達し、全米規模でのAI基盤整備が進んでいます。環境負荷の低減と地域経済への配慮を両立させながら、AI発展に必要なインフラを構築する取り組みは、技術発展と社会的責任の両立を目指すものと言えます。今後、各地域でどのような経済効果が生まれるか、注目されるところです。

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