はじめに
Anthropicが2025年10月10日、コマンドラインAI開発ツール「Claude Code」にプラグインシステムを導入したことを発表しました。本稿では、この公式発表をもとに、プラグイン機能の概要、活用シーンについて解説します。
参考記事
- タイトル: Customize Claude Code with plugins
- 発行元: Anthropic
- 発行日: 2025年10月10日
- URL: https://www.anthropic.com/news/claude-code-plugins?subjects=announcements
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・記載されている情報は、投稿日までに確認された内容となります。正確な情報に関しては、各種公式HPを参照するようお願い致します。
・内容に関してはあくまで執筆者の認識であり、誤っている場合があります。引用元記事を確認するようお願い致します。
要点
- Claude Codeがプラグインシステムを導入し、スラッシュコマンド、サブエージェント、MCPサーバー、フックを一つのパッケージとして配布・インストール可能になった
- プラグインは/pluginコマンドで簡単にインストールでき、必要に応じてオン・オフを切り替えられる
- GitリポジトリやURLで「プラグインマーケットプレイス」を構築でき、組織内やコミュニティでのカスタマイズ共有が容易になった
- すでにコミュニティメンバーがDevOps自動化、ドキュメント生成、80以上の専門サブエージェントなどを含むマーケットプレイスを公開している
- プラグインは現在パブリックベータ版として、すべてのClaude Codeユーザーが利用可能である
詳細解説
プラグインシステムの概要
公式発表によれば、Claude Codeのプラグインは、これまで個別に設定していたスラッシュコマンド、サブエージェント、MCPサーバー、フックという4つの拡張ポイントを、一つのパッケージにまとめて配布できる仕組みです。
スラッシュコマンドは頻繁に使う操作のショートカット、サブエージェントは特定開発タスクに特化したエージェント、MCPサーバーはModel Context Protocolを通じたツールやデータソースへの接続、フックはClaude Codeのワークフローの重要なポイントで動作をカスタマイズする機能を指します。
これまでユーザーは、こうしたカスタマイズを個別に設定・管理する必要がありましたが、プラグインシステムの導入により、複数の拡張機能を組み合わせた環境を一つのコマンドでインストールできるようになりました。また、プラグインは必要に応じてオン・オフを切り替えられるため、システムプロンプトの複雑さを抑えながら、特定の機能が必要な時だけ有効化できます。
主な活用シーン
発表では、プラグインの主な活用シーンとして5つのユースケースが示されています。
標準の徹底では、エンジニアリングリーダーがプラグインを使ってコードレビューやテストワークフローで特定のフックが実行されるよう保証することで、チーム全体の一貫性を維持できます。
ユーザーサポートでは、オープンソースのメンテナーが、開発者が自分のパッケージを正しく使えるようスラッシュコマンドを提供できます。
ワークフローの共有では、デバッグ環境、デプロイメントパイプライン、テストハーネスなど、生産性を高めるワークフローを構築した開発者が、それを他の人と簡単に共有できます。
ツールの接続では、MCPサーバーを通じて内部ツールやデータソースを接続する必要があるチームが、同じセキュリティと設定プロトコルでプラグインを使ってプロセスを加速できます。
カスタマイズのバンドルでは、フレームワークの作者や技術リーダーが、特定のユースケースのために連携する複数のカスタマイズをパッケージ化できます。
プラグインマーケットプレイスの仕組み
公式発表では、プラグインを共有しやすくするための「プラグインマーケットプレイス」という概念が紹介されています。これは、開発者が自分のカスタマイズを公開し、他の開発者が発見・インストールできる、キュレーションされたコレクションです。
マーケットプレイスを構築するには、Gitリポジトリ、GitHubリポジトリ、またはURLに、適切にフォーマットされた.claude-plugin/marketplace.json
ファイルを配置するだけで済みます。
マーケットプレイスからプラグインを使うには、/plugin marketplace add user-or-org/repo-name
というコマンドを実行し、その後/plugin
メニューでプラグインを閲覧・インストールします。
コミュニティの動き
発表によれば、すでにコミュニティメンバーがプラグインマーケットプレイスを立ち上げており、実用的なプラグインが公開されています。
エンジニアのDan Ávilaは、DevOps自動化、ドキュメント生成、プロジェクト管理、テストスイートのためのプラグインを提供するマーケットプレイスを公開しています。また、エンジニアのSeth HobsonはGitHubリポジトリで80以上の専門サブエージェントをキュレーションし、開発者がプラグイン経由で即座にアクセスできるようにしています。
Anthropic自身も、PRレビュー、セキュリティガイダンス、Claude Agent SDK開発、さらには新しいプラグインを作成するためのメタプラグインなど、いくつかのサンプルプラグインを開発しています。
利用開始方法
プラグインは現在、すべてのClaude Codeユーザーを対象にパブリックベータ版として提供されています。/plugin
コマンドでインストールでき、ターミナルとVS Codeの両方で動作します。

Anthropicは、Claude Codeの開発で使用しているマルチエージェントワークフローの例として、以下のコマンドを紹介しています:
/plugin marketplace add anthropics/claude-code
/plugin install feature-dev
※見解: 開発環境のオープンエコシステム化
筆者としては、今回のプラグインシステムは単なる機能追加以上の意味を持つのではないかと考えます。従来、AI開発ツールのカスタマイズは個人の設定ファイルに留まりがちでした。しかし、プラグインマーケットプレイスの仕組みにより、「ベストプラクティスの共有」が技術的にも文化的にも促進される可能性があります。
特に注目すべきは、マーケットプレイスの構築が簡単であることです。組織内の非公開リポジトリでも、パブリックなGitHubリポジトリでも、同じ仕組みで配布できるため、企業内標準とオープンソースコミュニティが同じ枠組みで共存できます。
ただ、プラグインの品質管理やセキュリティ検証については、今後コミュニティでどのようなガイドラインが形成されていくかが気になるところです。特に、企業環境で使用する場合、信頼できるマーケットプレイスをどう選定するかは重要な課題になるでしょう。
まとめ
Claude Codeのプラグインシステムは、開発環境のカスタマイズと共有を大幅に簡素化する機能です。すでにコミュニティでは多様なプラグインマーケットプレイスが登場しており、今後さらに充実していくことが期待されます。開発チームの標準化やワークフローの共有に興味がある方は、試してみる価値があるのではないでしょうか。