[AIツール利用者向け]Google検索に新機能追加へ:AIとの対話で「言葉にできないもの」を見つけるビジュアル探索機能

目次

はじめに

 本稿では、Googleが2025年9月30日に公式ブログで発表した、Google検索の「AI Mode」に搭載される新しいビジュアル探索機能について解説します。この機能は、ユーザーが言葉でうまく説明できないものを、AIとの対話を通じて視覚的に探し出すことを可能にするものです。(なお、この機能は、まず米国にて英語での提供が開始されます。日本での展開は未定です。)

参考記事

要点

  • Google検索のAI Modeに、対話形式で視覚的な検索ができる新機能が導入された。
  • 「こんな雰囲気」といった曖昧な要望をテキストや画像で伝えるだけで、AIが豊富なビジュアル候補を提示し、さらに対話を通じて絞り込みが可能である。
  • ショッピング検索も「〜すぎないジーンズ」のような自然言語で行え、フィルター操作なしで最適な商品を見つけられる。
  • この機能は、Googleの画像理解技術と最新AIモデル「Gemini 2.5」、そして新技術「visual search fan-out」によって実現されている。

詳細解説

これまでの検索体験との違い

 これまでは何かを探すとき、頭の中にあるイメージをキーワードに変換して検索するのが一般的でした。しかし、「もっとモダンな雰囲気の家具」や「秋らしいけれど、ありきたりではないコート」といった、具体的な言葉にしにくいものを探すのは困難でした。

 今回発表されたAI Modeの新機能は、この課題を解決しようというものです。ユーザーは探したいものの雰囲気を自然な言葉で入力したり、参考になる画像をアップロードしたりするだけで検索を開始できます。すると、AIがその意図を汲み取り、インスピレーションを刺激するような多様な画像を提示します。さらに、「もう少しダークな色合いで」といった追加の要望を伝えることで、対話しながら理想のイメージに近づけていくことができます。

ショッピングがより直感的に

 この新しい検索体験は、オンラインショッピングにも応用されます。従来、ECサイトで商品を探す際には、スタイル、色、サイズ、ブランドといった多数のフィルターを一つひとつ設定する必要がありました。

 新しいAI Modeでは、友人に話しかけるように「 baggyすぎないバレルジーンズ」と入力するだけで、AIが条件に合う商品を視覚的に提案してくれます。この背景には、Googleが持つ500億件以上の商品リストで構成される「Shopping Graph」という巨大なデータベースがあります。このデータベースは1時間あたり20億件以上の商品情報が更新されており、ユーザーは常に最新の価格や在庫状況に基づいた、信頼性の高い情報を得ることができます。

新機能を支える技術的背景

 この直感的なビジュアル探索は、いくつかの高度な技術によって支えられています。

  • Gemini 2.5のマルチモーダル能力
     中核をなすのは、Googleの最新AIモデルであるGemini 2.5です。Geminiはテキストだけでなく、画像や音声も同時に理解できる「マルチモーダル」な能力を持っています。これにより、ユーザーが入力したテキストと画像のどちらからでも、その文脈を深く理解することが可能になります。
  • 新技術「visual search fan-out」
     特に重要なのが、「visual search fan-out」と呼ばれる新しい画像解析技術です。従来の画像検索は、画像に写っている主要な被写体を認識することに重点を置いていました。しかし、この新技術は、主要な被写体だけでなく、背景に写っているものや、画像の細かなディテール、二次的なオブジェクトまで包括的に分析します。
     そして、それらの要素に基づいて複数の検索クエリをバックグラウンドで自動的に実行します。これにより、AIは画像の全体的な文脈やユーザーの自然な言葉のニュアンスをより正確に捉え、関連性の高いビジュアル結果を返すことができるのです。

まとめ

 今回Googleが発表したAI Modeの新しいビジュアル探索機能は、検索を「答えを見つける作業」から「インスピレーションを得るための対話」へと変える可能性を秘めています。言葉にしにくい曖昧なイメージをAIに伝えるだけで、創造性を刺激するような視覚的なフィードバックを得られるようになります。

 この機能は、まず米国にて英語での提供が開始されます。日本での展開は未定ですが、今後の検索体験のあり方を示す重要な一歩と言えます。

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