Gemini CLIとFastMCPの連携で開発が加速!カスタムツールをコマンドラインで手軽に利用する方法

目次

はじめに

 本稿では、Google Developers Blogの発表を基に、コマンドラインツールGemini CLIと、PythonライブラリFastMCPの連携について解説します。この連携により、開発者は自作のツールやプロンプトを、より簡単にGemini CLIに統合できるようになります。

参考記事

要点

  • Googleのコマンドラインインターフェース「Gemini CLI」と、MCPサーバー構築のためのPythonライブラリ「FastMCP」が公式に連携した。
  • fastmcp install gemini-cli という単一のコマンドで、FastMCPで構築したカスタムMCPサーバーをGemini CLIに簡単かつ自動で設定できるようになった。
  • この連携により、開発者は自作のツール(外部API連携など)プロンプト(定型文の呼び出し)を、Gemini CLI上でシームレスに利用可能になる。
  • 特にローカル環境でのサーバー開発プロセスが大幅に簡素化され、Python開発者がGemini CLIの能力を容易に拡張できるようになった。

詳細解説

連携の背景:Gemini CLIとMCP、FastMCPとは

 今回の連携を理解するために、関連する技術について簡単に説明します。

  • Gemini CLI:
     Googleの大規模言語モデルであるGeminiを、ターミナル(コマンドライン)から対話的に利用するためのツールです。開発者がコーディングや分析の際に、IDEやブラウザを離れることなくAIの支援を受けられるようにします。
  • MCP (Model Context Protocol):
     モデルが、単にテキストを生成するだけでなく、外部のコンテキスト(情報)にアクセスしたり、ツール(特定の機能を持つプログラム)を実行したりするための一連のルール(プロトコル)です。これにより、Geminiは外部のAPIを叩いて最新の情報を取得したり、データベースと連携したりといった、より能動的なアクションを実行できます。
  • FastMCP:
     このMCPのルールに準拠したサーバーを、Pythonで簡単に構築するためのライブラリです。Pythonのデコレータや型ヒントといったモダンな機能を利用して、直感的にツールやプロンプトを定義できるのが特徴です。

今回の連携がもたらす価値

 これまでもGemini CLIでカスタムMCPサーバーを利用すること自体は可能でしたが、サーバーの登録や依存関係の管理などを手動で行う必要がありました。

 今回の連携の最大のポイントは、FastMCP v2.12.3 から導入された新しいコマンドによって、このプロセスが大幅に簡素化された点です。

fastmcp install gemini-cli server.py

 上記コマンドを実行するだけで、server.py ファイルに定義した自作のMCPサーバーが、Gemini CLIに自動でインストール・設定されます。内部的には、設定の管理、依存関係の解決、そしてGemini CLIのMCP管理システム(gemini mcp add)の呼び出しまで、すべてが自動的に処理されます。

具体的に何ができるようになるのか?

 この連携により、Gemini CLIの体験を大幅に向上させる2つの主要な機能を簡単に実装できます。

  1. ツールの統合:
     FastMCPを使って、外部のAPIやデータベースと連携する「ツール」を作成できます。例えば、「社内データベースから特定の顧客情報を検索するツール」や「特定の計算を実行するツール」などをPythonで定義し、Gemini CLIに統合できます。これにより、Gemini CLIはあなたのワークフローに能動的に参加するエージェントとなります。
  2. プロンプトのスラッシュコマンド化:
     よく利用する定型プロンプトをFastMCPで定義し、Gemini CLI内でスラッシュコマンド(例:/promptname)として呼び出せるようになります。これにより、毎回長いプロンプトを入力する手間が省け、対話の効率が飛躍的に向上します。

導入手順

 この連携を試すための手順は非常にシンプルです。

Gemini CLIのインストール

npm install -g @google/gemini-cli@latest

FastMCPのインストール (v2.12.3以降)

pip install fastmcp>=2.12.3


サーバーファイル (server.py) の作成

import random
from fastmcp import FastMCP

mcp = FastMCP(name="Dice Roller")

@mcp.tool
def roll_dice(n_dice: int) -> list[int]:
    """Roll `n_dice` 6-sided dice and return the results."""
    return [random.randint(1, 6) for _ in range(n_dice)]

if __name__ == "__main__":
    mcp.run()

 ここに、カスタムツールやプロンプトをFastMCPの作法に則って記述します。

Gemini CLIへの統合

fastmcp install gemini-cli server.py


確認

 Gemini CLIを起動し、/mcp コマンドを実行して、サーバーが正しく登録されていることを確認します。

    ※より詳細な情報や高度な設定については、公式のFastMCP連携ドキュメントをご参照ください。

    まとめ

     今回のGemini CLIとFastMCPの連携は、開発者がAIの能力を自身の開発環境やワークフローに合わせてカスタマイズする際のハードルを大きく下げるものです。特に、使い慣れたPythonを用いて、複雑な設定なしにGemini CLIの機能を拡張できるようになった点は、多くの開発者にとって朗報と言えるのではないでしょうか。

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