はじめに
Appleの公式統合開発環境（IDE）であるXcodeで、AIモデル「Claude」が正式に利用可能になりました。本稿では、この連携により、Appleプラットフォーム向けのアプリ開発がどのように変わるのか、具体的な機能や利用方法についてお伝えします。
参考記事
- タイトル： Claude is now generally available in Xcode
- 発行元： Anthropic
- 発行日： 2025年9月16日
- URL：https://www.anthropic.com/news/claude-in-xcode
要点
- Appleの統合開発環境「Xcode 26」で、Anthropic社のAIモデル「Claude Sonnet 4」が正式に利用可能になった。
- 主な機能として、自然言語でコードと対話できる「Coding assistant」と、コードのドキュメント生成や説明、SwiftUIプレビュー作成などを行う「Coding Tools」が提供される。
- 利用には、Xcode 26と、Claude Codeの機能を含むClaudeの有料プラン（Pro, Max, Team, Enterprise）アカウントが必要である。
- この統合により、Xcodeの環境を離れることなく、シームレスにAIの支援を受けられるようになり、アプリ開発の生産性向上が期待される。
詳細解説
ClaudeとXcodeの統合が意味するもの
まず、今回の発表を理解するための前提知識を簡単にご紹介します。
- Xcodeとは？
Appleが提供する、iPhone、iPad、Macなど、Apple製品向けのアプリケーションを開発するための公式なソフトウェアです。プログラミング、デザイン、デバッグ（エラーの発見と修正）など、アプリ開発に必要な機能が一つにまとまった「統合開発環境（IDE）」と呼ばれるものです。 - Claudeとは？
Anthropic社が開発した、人間のように自然な文章を生成したり、対話したりできるAIモデルです。近年注目されている生成AIの一種で、特に高い対話能力と安全性に定評があります。
今回の発表は、この二つが公式に連携した点にあります。これまでも開発者がClaudeのAIの支援を受けることは可能でしたが、多くの場合、WebブラウザでAIサービスを開き、そこで質問した結果をコピーしてXcodeに貼り付ける、といった手間が生じていました。
今回の提携により、Xcodeの内部で直接Claudeを呼び出し、コーディング作業をシームレスに支援してもらうことが可能になります。これにより、開発ワークフローが分断されることなく、より集中して効率的に開発を進められるようになります。
Xcodeで利用できるClaudeの主な機能
Xcode 26でClaudeアカウントを連携すると、「Claude Sonnet 4」を搭載した以下の主要な機能が利用できます。
1. Coding assistant（コーディングアシスタント）
自然言語（日本語や英語など、普段私たちが使う言葉）を使って、AIと対話しながらコーディングを進めることができる機能です。
- 対話形式での支援： 「この部分のコードを修正してほしい」「新しい機能を追加したい」といった指示を出すだけで、Claudeがコードの提案や修正を行ってくれます。
- 文脈の自動理解： Claudeは開いているプロジェクト全体の文脈を自動で把握するため、的確なサポートを提供します。
- 会話履歴とファイル添付： 過去のやり取りを記憶しており、関連ファイルを添付して質問することもできるため、複雑なデバッグや機能開発もスムーズに行えます。
2. Coding Tools（コーディングツール）
コーディング作業をさらに効率化するための、より具体的なツール群です。
- ドキュメント生成： 作成したコードが何をしているのかを説明する文章（ドキュメント）を自動で生成します。
- コードの説明： 複雑なコードや他人が書いたコードを選択するだけで、その部分がどのような処理を行っているのかを分かりやすく説明してくれます。
- SwiftUIプレビューとPlaygroundの作成： AppleのUIフレームワークであるSwiftUIのプレビュー画面や、コードの動作を試すためのPlaygroundを簡単に作成できます。
- インラインでのコード変更： エディタ上で直接、コードの変更を提案・適用できます。
利用開始までの手順と対象プラン
XcodeでClaudeを使い始めるための手順は非常にシンプルです。
- Xcode 26をMac App Storeからダウンロードします。
- Xcodeを開き、環境設定メニューから「Intelligence」設定画面に移動します。
- 表示された画面で、お使いのClaudeアカウントでログインします。
なお、この機能を利用するには、Claude Codeの機能が含まれる有料プランに加入している必要があります。対象となるのは、個人向けの「Pro」「Max」プラン、および法人向けの「Team」「Enterprise」プランのプレミアムシートです。
まとめ
今回発表されたXcodeとClaudeの正式な統合は、Appleプラットフォームでアプリを開発する開発者にとって、大きな選択肢のひとつが増えたことを意味します。ClaudeAIアシスタントの支援を直接受けられるようになることで、開発の効率と質が大きく向上することが期待されます。
