[Google I/O 2025]Google WorkspaceがGeminiで進化:あなたの仕事を次のレベルへ

目次

はじめに

 本稿では、Google Workspaceが提供するAI「Gemini」を活用した新しい機能について、Googleが2025年5月21日に発表した記事「New ways Workspace with Gemini helps you do your best work — every day」をもとに解説します。

引用元記事

要点

  • Google Workspaceは、Gemini AIを活用し、日常業務をより効率的かつ創造的に行うための新機能を多数発表した。
  • Gmailでは、過去のメールや文脈、ユーザーのトーンを理解するパーソナライズされたスマートリプライ、Geminiへの指示による受信トレイのクリーンアップ機能、Gmail内で完結する迅速なアポイントメント予約機能が導入される。
  • Google Meetでは、言語の壁を取り払うリアルタイム音声翻訳機能が登場し、発言者の声質やトーンを保ったまま自然な多言語コミュニケーションを実現する。
  • Google Vidsでは、既存のGoogleスライドを動画に変換する機能、録画から不要な間やフィラーワードを削除する文字起こしトリム機能、動画全体の音量を均一化する音量バランス調整機能、そして撮影不要でメッセージを伝えられるAIアバター機能が提供される。
  • Workspace全体で、より高品質で詳細な画像を生成できる最新モデルImagen 4が利用可能になり、資料作成の表現力が向上する。
  • Google Docsでは、指定した資料のみを参照して文章作成を支援するソースグラウンデッド(情報源指定)文章作成支援機能が追加され、信頼性の高い文書作成をサポートする。
  • これらの機能は、AIを日常のワークフローにシームレスに統合し、ユーザーがより本質的な業務に集中できるよう支援することを目的としている。

詳細解説

 Googleは、年次開発者会議「Google I/O」にて、Google WorkspaceにAIモデル「Gemini」を深く統合し、日々の業務効率を飛躍的に向上させるための数々の新機能を発表しました。Google Workspaceは既に毎月20億回ものAIによるアシストを提供している実績があり、今回のアップデートはGmail、Meet、Vids、Docsといった主要ツールに及びます。

Gmailの新機能:あなたの時間を最大限に活用

 メールの返信は、関連情報を探したり、長いスレッドを読み返したりと、手間のかかる作業です。Geminiを搭載したGmailは、これらの課題を解決し、あなたの時間を有効活用できるよう支援します。

  1. パーソナライズされたスマートリプライ
    • 概要: この機能は、単に定型文を提案するだけでなく、過去のあなたのメールやGoogle Drive内の情報を参照し、現在の文脈やあなたの典型的なトーン(丁寧、カジュアルなど)に合わせて、より具体的で適切な返信案を作成します。これにより、自分で情報を探し出す手間が省け、あなたらしい、かつ状況に応じたメールを迅速に作成できます。
    • 提供時期: 年内に一般提供予定です。
  2. 受信トレイのクリーンアップ
    • 概要: 溜まっていくメールの整理は多くの人にとって悩みの種です。この新機能では、Geminiに「昨年受信した〇〇(特定の差出人など)からの未読メールを全て削除して」といった具体的な指示を出すだけで、ワンクリックで受信トレイを整理・整頓できます。
    • 提供時期: 来四半期に一般提供予定です。
  3. 迅速なアポイントメント予約
    • 概要: 特に組織外の人との日程調整は、何度もメールを往復させる必要があり、時間がかかります。Gmailに統合されたこの機能は、あなたが会議を設定しようとしていることをGeminiが検知し、Gmail内で直接、あなたの予約可能な時間帯を相手に提示できるようにします。これにより、日程調整にかかる時間と手間が大幅に削減されます。
    • 提供時期: 来四半期に一般提供予定です。

Google Meetの新機能:言葉の壁を越えた自然なコミュニケーション

 言語の違いは、グローバルなチームや海外の家族とのコミュニケーションにおいて根本的な障壁となります。Google Meetの新しい音声翻訳機能は、この課題を解決します。

  • 音声翻訳
    • 概要: この機能は、あなたの話す言葉をほぼリアルタイムで相手の希望する言語に翻訳します。特筆すべきは、あなたの声質、トーン、表現を維持したまま翻訳されるため、まるで同じ言語で話しているかのような自然で信頼感のある会話が可能になります。例えば、英語を話す孫とスペイン語を話す祖父母が、何不自由なく会話できるようになります。
    • 提供時期: まず消費者向けに、Google AI ProおよびUltraプランの加入者向けベータ版として提供が開始されます(初期は英語とスペイン語、数週間以内に他言語も追加予定)。Workspaceのビジネス顧客向けには、年内に初期テストが予定されています。

Google Vidsの新機能:専門知識不要で、誰もが動画クリエイターに

 動画はチームのトレーニング、新入社員のオンボーディング、アイデアの説明などに非常に効果的な手段ですが、作成には時間、編集スキル、予算が必要です。Google Vidsは、これらのハードルを下げ、誰もが手軽に動画を作成できるように支援します。

  1. Googleスライドから動画へ
    • 概要: 既存のGoogleスライドの資料を、魅力的な動画に変換できます。例えば、営業資料や四半期報告のプレゼンテーションを、視聴者の注意を引くダイナミックで共有しやすい動画に生まれ変わらせることが可能です。Geminiがスクリプト作成、ナレーション、アニメーション生成などを支援します。
    • 提供時期: 来四半期に一般提供予定です。
  2. 文字起こしトリム (Transcript Trim)
    • 概要: 動画を録画した後、「えーと」や「あのー」といったフィラーワードや気まずい間が気になることがあります。この機能では、Geminiが録画の文字起こしを生成し、ワンクリックでこれらの不要な部分を特定・削除してくれます。
    • 提供時期: 来四半期にLabs(実験的機能を提供するプラットフォーム)で提供予定です。
  3. 音量バランス調整 (Balance Sound)
    • 概要: 動画の音質が部分的に不均一な場合でも、ワンクリックで動画全体の音量を均一に調整できます。複雑な音声ミキシングは不要です。
    • 提供時期: 来月一般提供予定です。
  4. AIアバター
    • 概要: 動画に適切な話し手を見つける時間や予算がない場合でも、AIアバターがあなたの代わりにメッセージを伝えます。スクリプトを記述し、アバターを選択するだけで、洗練された動画コンテンツを迅速かつ一貫して作成できます。オンボーディング、お知らせ、製品説明などに活用できます。
    • 提供時期: 来月Labsで提供予定です。

 これらの新機能を含むGoogle Vidsは、Google AI ProまたはUltraプランの加入者であれば誰でも利用開始できます。

Google Workspace全体の機能強化:Imagen 4による高品質な画像生成

 スライド、Vids、ドキュメントなどで画像を生成する際に、Googleの最新画像生成モデルImagen 4が利用可能になります。

  • Imagen 4による画像生成
    • 概要: これにより、製品のモックアップ作成、ブランドキャンペーン用の視覚的に印象的なグラフィック生成、四半期プレゼンテーション用の魅力的なインフォグラフィック開発などにおいて、よりリッチで詳細なビジュアルを簡単に作成できるようになります。特に、生成画像内のスペルやテキストのレンダリング精度が向上しています。
    • 提供時期: 本日より一般提供開始です。

Google Docsの新機能:信頼できる情報に基づいた文章作成

 文章作成には集中力が必要ですが、参照すべき情報はスライド、データ、ドキュメントなど、様々な場所に散在しがちです。Google Docsの新機能は、この課題に対応します。

  • ソースグラウンデッド(情報源指定)文章作成支援
    • 概要: 関連するスライド、データ、レポートなどの情報源をGoogleドキュメントに直接リンクすることができます。Geminiは、文章作成支援を提供する際に、これらの指定された情報源のみを参照するため、提案内容は常に信頼できるコンテンツに基づいた、焦点の定まったものになります。進捗報告、調査概要、事業計画など、どのような文書を作成する場合でも、タブを切り替える手間なく、必要な文脈で正確な情報を活用できます。
    • 提供時期: 来四半期に一般提供予定です。

まとめ

 今回発表されたGoogle WorkspaceとGeminiによる新機能群は、AIが単なる目新しい技術ではなく、私たちの日常業務に深く組み込まれ、具体的な成果をもたらすツールへと進化していることを示しています。Gmailでの時間節約、Meetでの言語の壁の解消、Vidsでの動画作成の民主化、そしてDocsやWorkspace全体での情報活用の高度化は、いずれもユーザーがより創造的で価値の高い仕事に集中できるよう支援することを目的としています。 これらの機能は、実用的な助けとなることを目指して設計されており、AIをすべての人にとって役立つものにするための次の一歩と言えるでしょう。日本のビジネスパーソンや教育現場においても、これらの進化するAIツールを理解し活用することで、生産性の向上や新たなコミュニケーションの可能性が広がることが期待されます。

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